小さい子どもがいる場合を除き、「専業主婦が家事全般を担うべき」という意見にほぼ異論はない筆者です。だからといって、「奴隷じゃないぞ」とも思います。
妻が外で働いていない場合、夫はどこまでも妻に甘え、度が過ぎるとモラルハラスメトになりかねない。そんなことを感じる記事が、2月18日、はてな匿名ブログに投稿されました。「夫の言ってることが全然わからない。宇宙人としゃべってるみたい。」というタイトルで、大きな反響を呼び、はてなブックマークは1000以上、週間「暮らし」部門で3位になりました。(文:篠原みつき)
「なんでお前に合わせないといけないのか」1時間説教
投稿者は海外駐在員の妻で、家事の100%を負担する30代前半の専業主婦。夫は帰宅時間がまちまちのため、夕食は作っておいたものを夫が帰ってきたら温めて出すのが前提になっています。
ところが、投稿者が以前から行く予定だったライブに1人で行って帰ってくると、夫はリビングに用意しておいた料理には手を付けず、自室でビールを4本空けていました。どうしたのかと顔をのぞくと「はやく料理あっためろ!」。手を洗っていると「早くしろ!」と怒鳴られます。さらに、急いで料理を温め直しながら、妻である投稿者が言った一言が、なぜか夫の逆鱗に触れました。
"「ビールどれにする?」って言ったら、突然切れた。
「お前は違うことしてるのになんで俺に対して同じことを強要するんだ!!!」"
妻は意味が分からず切れた夫をなだめるのに四苦八苦。夫の言い分は「なんでお前に合わせないといけないのか」。お前は(ライブに行くという)いつもと違う行動をとったのに、なぜ俺には「ビールどれにする?」といつも通りの、しかも決めつけのセリフを言ったのか、と怒り心頭です。
ライブに行く予定は知っていたはずで、当日あらかじめLINEに所要時間などの連絡を入れて返信ももらっていたのに、何が気に入らないのか妻には理解できません。
「ほんとにわかんないわたしのために夫が1時間くらい説得(という名の説教)してくるんだけど夫の言葉だとわかんない。宇宙人としゃべってるみたいでなんか言ったセリフとか覚えられない」
と困惑し、「こういうことがけっこう多くて疲れる」などと訴えていました。
「夫が喜ぶ最適解を遂行し続けても正しい夫婦になれるわけじゃないのよ」
これは典型的なモラハラでは?と感じたのは筆者だけではないようで、コメントは、「残念ながらあなたの夫は頭のおかしいモラハラ男です。ご機嫌とりやっても、それが一生続くだけだよ」など、厳しい指摘もありました。投稿者は、ふだんから夫をねぎらう言葉を欠かさず、マッサージなどもしてあげているといいます。
コメントの中には、まるで新宿2丁目バーのママのような秀逸なアドバイスもありました。長文で夫の心理を分析した後、
「あなたに甘えているのね。そしてね、あなたも多分それに積極的に荷担してしまっているんだと思うわ」
と指摘します。表面的なご機嫌取りをしている場合ではなく、まともでない部分に気付いたなら、
「少なくとも改善の要求をしましょうよ、夫婦として生きていくつもりなら。夫が喜ぶ最適解を遂行し続けても正しい夫婦になれるわけじゃないのよ」
などと噛んで含めるように諭します。妻がすべて夫に合わせすぎて、夫の我儘をさらに助長させているという指摘です。さらに、「専業主婦であることに引け目を感じることはないのよ」との励ましまで。「この解説すごい」とさらに評判を呼んでいました。
一方で、「旦那さんは、いつもと違う行動をとるのがものすごくストレスになるタイプ」と、理解を示す男性からの声もありました。似たような作業を繰り返すことが重要な仕事(研究者とか)なら、逆にこのタイプは重宝されるといいます。若い時には言葉が下手だが、30、40代と仕事を通じて言語化能力が発達するので心配無用とのこと。
投稿者の追記によれば、それほど毎日苛烈に怒られている訳ではなく、良いところもある夫のようです。アドバイスを読んで反省する部分もあり、「『相手はビール4本飲んだ酔っ払い』という認識が抜けてた」と緊張を解いたコメントをしていました。