WRC世界ラリー選手権に参戦するTOYOTA GAZOO Racing WRTを率いるトミ・マキネンは、チームのエースドライバーであるヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)が2017年のチャンピオン候補であると語った。
■マキネン、2戦連続表彰台で自信深める
今年18年ぶりWRCの舞台に舞い戻ったトヨタ。当初、シーズン後半には表彰台争いに絡んでくると予想されていたが、1月の第1戦モンテカルロで2位表彰台、2月の第2戦スウェーデンでは劇的な初優勝を飾っている。
これによりラトバラはドライバーズランキングでトップに浮上。同2番手のセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)とは4点差となっている。
チーム代表のマキネンは「今年、ヤリ-マティ(・ラトバラ)は(タイトル争いを)戦うだけのポテンシャルがあると感じている」とコメント。トヨタ復帰初年度でのチャンピオン争いに自信を覗かせた。
「彼にもっと自信をつけてもらい、もっと快適にマシンを操れる環境が用意できると思っているよ。私も以前(WRCの)戦いに身を投じていたから、そういった環境づくりがどれだけ重要なのか、誰よりも分かっている」
「ラリー・スウェーデンでの戦いぶりを見て、ヤリ-マティが世界最強のラリーストだと確信した」
また、ラトバラはシーズン開幕前、2017年はポイント獲得が目標と語っていたものの、開幕2戦を終えて考えを改めるべきと述べている。
「ラリー・モンテカルロのスタート前、モンテではトップ6に、ラリー・スウェーデンではトップ5に入ることができたら最高だと思っていた」とラトバラ。
「しかし、今後はこういった考え方を改める必要があるかもしれないね」
■オジエ、スウェーデンでアクセル緩めた? 「メキシコで“掃除役”を務めなくて済む」
上述の通り、ラトバラは4点リードでランキング首位につけている。今季のレギュレーションでは、ポイントリーダーは各大会競技初日に先頭走者を務めることが義務付けられており、ラトバラは3月10~12日の第3戦メキシコでその役目を務める。
ラリー競技では、走行順が早いほど荒れた路面コンディションで走る必要があるため、タイムを出しにくく、総合順位を上げることが難しくなる。
今季開幕2戦で先頭走者を務めたオジエは、ラリー・メキシコで先頭走者にならないよう、ラリー・スウェーデンの最終ステージでアクセルを緩めたと明かした。
オジエは「(ラリー・スウェーデンの最終SS18で)ヤリ-マティがわざとペースを落として、メキシコで僕に先頭走者を務めさせるかもしれないと一瞬考えた。彼が全開で攻めてくれてハッピーだよ」と冗談交じりにコメントしている。
「SS18で全開アタックはしなかった。ヤリ-マティがポイントリーダーになることは、ほぼ確実だったから3~4点の追加点が獲れれば良いと思っていたからね」
「そして予想通り、ヤリ-マティが4点差でランキング首位になった。これで僕はラリー・メキシコで“清掃役”を務めなくて済むわけだ」
なお、そのラリー・メキシコは気温と標高が高く、マシンやドライバーに大きな負荷がかかるイベント。開発期間中、トヨタが灼熱の高地でテストを行ったことはなく、チームにとっては大きな試練になると考えられている。
対策として、チームは今週スペイン南部のアルメリアでテストを行っているが、ラトバラが走行開始直後にマシンを横転させたため、テストは早々に切り上げられている。