トップへ

「遙かなる時空の中で」が愛され続ける理由は? その魅力を”乙女”たちがとことん語りつくす!

2017年02月23日 18:24  アニメ!アニメ!

アニメ!アニメ!

「遙かなる時空の中で」が愛され続ける理由は? その魅力を”乙女”たちがとことん語りつくす!
2000年にプレイステーション向けに発売されて以降、今なお多くの女性を虜にする恋愛アドベンチャーゲーム『遙かなる時空の中で(以下『遙か』)』シリーズ。2016年12月22日には『遙かなる時空の中で6』の続編となるPS Vita用ソフト『遙かなる時空の中で6 幻燈ロンド』が発売し、『遙かなる時空の中で3』を究極の形で蘇らせたPS Vita用ソフト『遙かなる時空の中で3 Ultimate』も2017年2月23日に発売を予定している。
異世界に召喚された現代の女子高生が「神子」となり、「八葉」と呼ばれる男性達と共に戦い、恋に落ちる過程を描いた本シリーズ。物語の舞台は作品ごとに異なる過去の日本によく似た世界で、『遙か3』は平安時代、『遙か6』は大正時代がベースで、ときには実在した人物が攻略キャラクターとして登場することも。思わずときめいてしまう素敵なキャラクターや重厚な世界観、心に深く寄り添うストーリーなどが長くファンに愛され、ゲームに留まらずコミカライズやアニメ化、舞台化など多彩な展開をみせている。

そんな本シリーズの魅力について、乙女ゲームを愛する編集部とライターが座談会を実施。アニメ!アニメ!編集部のタカロク、ライターのまいたこ、こんたの3人が、池袋・ナンジャタウンで開催している「遙かなる時空の中でinナンジャタウン」で『遙か6』シリーズや『遙か3 Ultimate』を中心に熱く語り合った。
[取材・構成:こんた]

■シリーズ初心者にオススメしたい!大正時代を思わせる『遙か6』シリーズ

タカロク
こんたさんは『遙かなる時空の中で』シリーズは『遙か6』から入られたんですよね?

こんた
はい、「ハマったら絶対まずい!帰って来れない!」って思っていたのと、シリーズが長いのでどこから入ろうかずっと迷ってたんです。でも実際に遊んでみるとどのタイトルから遊んでも全く問題ないのが分かって…もっと早く触っておけばよかった。

まいたこ
『遙か』はシリーズごとにキャラクターも世界観も全然違いますから、どこからでもすっと入っていきやすいですよね。でも『遙か6』は、確かに入口として丁度いいタイトルかもしれません。

タカロク
今までのシリーズを遊んだプレイヤーとしては『遙か6』の主人公が「黒龍の神子」というのが衝撃でした。黒龍の神子って怨霊を浄化する能力もないし、主人公に据えてどうするんだろうと…。でもそれを上手く『遙か』らしく完成させたのが『遙か6』だと思います。それと、どんどん自分達の時代に迫ってきているなあというワクワク感がありました。

こんた
『遙か6』は世界観もそうですが、それぞれのキャラクターが胸の内に抱えているものも現代に通じるものがあったかなと。例えば「主君に命を懸ける」みたいなレベルだともう次元が違いますけど、自由というものや立場について悩むとか、今の時代でも共感しやすい部分が多い気がしました。

まいたこ
全体的にですが、『遙か』シリーズはシナリオがすごくしっかりしていて、歴史的な部分や戦闘とか、恋愛以外の要素もすごく作り込まれていますよね。
『遙か6』の続編『遙か6 幻燈ロンド』は本編の恋愛で足りない部分を補完するというものじゃなくて、キャラクターそのものをもっと好きになるための作品でしたね。恋愛エピソード以外もちゃんとやってて、ファンディスクとしてすごく嬉しい内容でした。


タカロク
FDと言えば、最初に「ハネムーンBOX」を聞いた時、あまりにもインパクトが大きすぎるパワーワードに「どうしちゃったの?!」と思いました。

こんた
イベントで発表された時の絶叫やらどよめきはすごかったですね。「ハネムーン?!」って。

タカロク
他の時代では「ハネムーン」って単語は出てきませんからね(笑)

こんた
昔の時代じゃないと出来なかったこともあれば、現代に近づいてきたからこそ出来るようになった新しい試みがある。シリーズを通してみると、なかなか面白い部分ですね。あと、背景ビジュアルがすごく素敵だなと。時代も感じさせながら今らしさもあって、『遙か』の世界をすごく緻密に、丁寧に表現してる。

タカロク
メニュー画面のシルエットもすごくオシャレですよね。レトロというかモダンというか、時代にあったモチーフの使い方が上手い。

こんた
蝶のモチーフがすごく可愛いですよね。あとBGMも、ちょっと恐ろしいようなイメージもありつつカッコイイ。

タカロク
あと『遙か』の音楽って素晴らしいですよね!とくにオープニングが印象的で『遙か6 幻燈ロンド』も鳥肌が立ちました。楽器の音色の奥行きがすごい。音楽の良い乙女ゲームは他にもありますけど、ここまで力を入れているのは、歴史大作ゲームの多いコーエーさんならではな気がします。

まいたこ
キャラ紹介だけじゃなくて、短い時間で世界観とかまでしっかり表現されている良いオープニングだと思います。起動する度につい何回も見ちゃいますね。

(次ページ:鬼の首領、小説家、自動人形まで個性的な攻略キャラが勢ぞろい)

■隊長、鬼の首領、小説家、自動人形まで個性的な攻略キャラが勢ぞろい

タカロク
ちなみに推しキャラは誰ですか?

こんた
皆好きだから誰か突出してるっていうのがないんですよね(笑)

タカロク
私も似たような感じですが、強いていうなら村雨さん(里谷村雨)でしょうか。演じられてる安元洋貴さんが好きというのもあって。あとは虎(本条政虎)が…。

こんた
虎はずるい!本当にずるい!!

タカロク
虎はヒーローでしたよね。今までの『遙か』シリーズは、攻略キャラが思い悩んでいるところを一緒に解決するみたいな話が多かったんですけど、虎は一貫して梓ちゃん(高塚梓/主人公)のヒーローでいてくれたので、プレイヤーとしても胸が熱くなりました。

こんた
虎は梓ちゃんを背負える、力強い人でしたね。でも最初は結構「ええっ?!」みたいなところから始まるじゃないですか。最悪の印象から始まって、最後がずるい…。「お前にだったら梓ちゃんを嫁にやってもいい!」ってなっちゃう。恋愛的にもなかなかに計算高くて、周りから固めていくのも頭いいなって(笑)

タカロク
少年漫画のようなお風呂でばったりイベントとか、『遙か』では珍しいタイプです。梓ちゃんが“神子”じゃなくてと“女の子”のままでいられたのは虎かなと思います。

こんた
個人的に秋兵さん(片霧秋兵)は、かなり序盤から梓ちゃんの旦那様って感じが出ていて「いつ結婚してもおかしくないな」って印象でした。

タカロク
まさに攻略キャラって感じですよね。最初から好意を示してくれて、色々な困難を乗り越えて恋愛関係になるっていう。


まいたこ
ネオロマンスシリーズは乙女ゲームの典型的なキャラってあまりいませんよね。皆、使命みたいなのを帯びてるし。

こんた
秋平さんは帝国のお偉いさんがお父さんっていうお金持ちのお坊ちゃまですし、恋愛対象としての立場は申し分ない。女性のエスコートとか、ちょっとした所作にも育ちの良さが滲み出ていて眩しかったです。

まいたこ
育ちの良さは感じさせるけど、あからさまではないですよね。ネオロマンスシリーズ全体的に言えるけど、キャラに品の良さがあります。ヒロインに対してアグレッシブにアピールするキャラでも、奥ゆかしさがあるというか。壁ドンとかキスとかばかりじゃなくて、そっと隣に寄り添うだけでも良いんですよ!

タカロク
分かる…次はルード(ルードハーネ)について。ストーリーではお互いの手が触れてドキッとするとか、意識し合っているのがありありと伝わってきて…すごくピュアで「まさに乙女ゲームだ!」と(笑)
本人のルートももちろん良いんですけど、他のルートでも良いポジションでした。とくにダリウスのルートでは拍手を送りたい!

こんた
家事全般が得意なキャラなのは分かってましたけど、あそこまでやるとは思いませんでした(笑)

タカロク
別ルートで他のキャラクターの一面が垣間見えるというのも、シナリオの濃い『遙か』シリーズならでの面白いところですね。ちなみにダリウスはどうでした?頼れる大人かと思ったら、精神的には幼い人だったかなと。

こんた
独占欲が強かったですね。最初は鬼の首領として皆に頼られているという感じだったのに、それこそ段々と“仮面が剥がれていく”とでも言うか。梓ちゃんがいたからこそ見えてきた部分なんでしょうけど、少しずつ印象が変化していくのは面白かったです。とはいえ、まさか最後に梓ちゃんが王子様のようになるとは。

まいたこ
女の子が強い『遙か』シリーズならではとも言えるエンディング。

タカロク
そう思うと、最初と最後の印象が1番変わったのはダリウスですね…逆に、見た目が少年のルードとかコハクは大人ですよね。コハクは本当に良い子で、幸せになってほしいなと思いました。

こんた
コハクは記憶を失った経緯とか、背負っているものが重かったですよね。笑い方が可愛くて、明るい少年らしさはありつつも根は大人びていた気がします。色々と苦労もあった分、これから幸せを願わずにはいられないキャラでした。
梓ちゃんへのアプローチは比較的強いほうでしたけど、やっぱり「おれの女神様♪」っていうのはずるいですね。生活力もありそうなので、パートナーとしても安心して梓ちゃんを任せられると思います。

タカロク
では、九段(萩尾九段)はどうですか?

こんた
立場的にもっと固いキャラかと思ったんですが、世間知らずゆえの幼さみたいなものが残る感じだったのは意外でした。やっぱりアイスクリーム好きの印象が強いのかな。千代ちゃん(駒野千代)との絡みも多かったせいか、梓ちゃんと3人で並ぶと完全に女子会(笑)

タカロク
星の一族って今までだと個性的すぎるというか、アクの強いキャラという感じでしたが…そんな中で今回は甘味好きのふわふわ系という九段さんがやってきて…声が四反田マイケルさんなので、『遙か5』のアーネストとのギャップもありましたね。


こんた
有馬隊長はどうですか?

まいたこ
私はこうしたメインの立ち位置にいるキャラクターから攻略して、『遙か』の世界に足を踏み入れる準備をしてから他のキャラを進めるんですよ。本当に『遙か』の世界観を体現しているキャラだと思います。
こういう中心的な人物をあえて最後までロックする乙女ゲームもありますけど、彼は「とりあえずやってほしい!」という立ち位置でした。あんまり恋愛的なコメントじゃないですけど(笑)

タカロク
ある意味一番『遙か』らしいキャラでしたね。村雨さんはどうでした?『遙か』シリーズに必ずある、鍵となる部分を担っていた人でしたが。

まいたこ
村雨さんはビジュアルがストライクだったので、最後まで大事に大事に取っておきました。

こんた
勢力としてみても、鬼側なのか帝都側なのか、どっちなのかはっきり分からないミステリアスな部分も惹かれました。そういうのも、大人のキャラだからこそなせる気がします。色々なことを経験してきたからこそ出せる厚み、みたいな。

タカロク
起承転結の中でも、他のキャラと比べて“転”が多い人ですよね。さらに『遙か』シリーズの攻略対象では最年長という。ただスチルはピュアなものが多い気がしました。電車とか、お祭りのハプニングとか…。そう思うと、『遙か6』では一般的には王道だけどあまりシリーズ内では見なかった展開が多かったですね。

こんた
続編の『幻燈ロンド』では、新たな攻略キャラクターとして下野紘さん演じる萬が加わりましたね。男とか女とか関係なく、一度でいいから誰かに「御主人(マスター)」って呼ばれてみたい、みたいな欲望にも応えてくれる…。

まいたこ
『遙か』に今まであまりいない生い立ちのキャラで、新しかったですね。

タカロク
ファンディスクだからこそ追加できたご褒美のようなキャラかなと。下野さんは『遙か5』にも桐生崇という役で出てましたけど、かなり可哀想なキャラだったので…。

こんた
声優さんのファンとしては、攻略キャラでの登場は嬉しいですね。

(次ページ:幾多の女性ユーザーを引き込んだ乙女ゲームの決定版『遙かなる時空の中で3』)

■幾多の女性ユーザーを引き込んだ乙女ゲームの決定版『遙かなる時空の中で3』

こんた
そして、満を持して『遙か3 Ultimate』が発売となります。まずこの「アルティメット」っていうタイトルからしてすごいですよね。

タカロク
強い(確信)私は『遙か3』から乙女ゲームを始めて、そこから前作をプレイしたんですけど、『遙か3』はそれまでの流れとは違っていて挑戦的な作品でした。
主人公は、ある出来事がきっかけで時を戻ることができるようになるんですけど、それがまたショックな展開で…そこから頑張ろうと必死な姿が泣けて。世界を救えるくらい最強なんだけど、悲劇のヒロインとしての要素も背負っています。

まいたこ
『遙か3』にはその時を戻るっていう「運命上書き」システムがあって、悲劇を辿ってしまう人の運命を改変していくタイムリープのような要素があるんですよ。『遙か』シリーズで最も感動する、泣かせにくるシナリオだと思います。
『遙か』『遙か2』は、全体的に美しい、綺麗、幻想的みたいなイメージだったんですけど『遙か3』はぐっと攻めたストーリーになって。主人公は異世界に飛ばされただけでも大変なのに、そこから皆を救うという決断をする。周りと一緒に成長していくというより、彼女自身が成長しなきゃいけないと思って成長していく、アウトロー的な強さがありました。

タカロク
それまでは怨霊を相手に戦っていたけれど、『遙か3』では人間とも戦わなきゃいけない状況になるんですよね。恋愛と戦いが並行していて、神子の背負うものが最も重かったのが『遙か3』だと思います。


こんた
乙女ゲームって色々な背景はありつつも、やっぱりメインは恋愛でしょってなりますし、ファンからもそういう期待を寄せられますよね。そこでイーブンに持ってくるのはかなり挑戦的。
でも乙女ゲームの始まりが『遙か3』で、そこからどっぷりハマったという人がかなり多い印象です。

まいたこ
『アンジェリーク』が出て、そろそろ新しい流れが来るんじゃないかなとワクワクしていた頃に出たのが和風モチーフの『遙か』で、初期からユーザーを引き込んでいたと思います。『遙か2』でユーザーの裾野が広がって、『遙か3』でさらに広がってファンが増えたというのも要因かもしれません。
『遙か3』は源平合戦っていう、日本史を勉強したら誰でも一度は通る部分を舞台にしているから入りやすかったのも大きいのかな。

こんた
武蔵坊弁慶とか、歴史はもちろん色んな作品に出てきて誰でも知っているような人物を「乙女ゲームでこう表しました」っていうのも面白いですよね。

タカロク
これまでに出てきた人物にも知ってる名前はいたんですけど、武蔵坊弁慶、源九郎義経とかであれば誰でも知ってますよね。で、どんなキャラだろうって思って見てみたらイメージとギャップが…でも段々と「これが弁慶なんだ」って思うようになりました。
服装のデザインもすごいですよね。初期は雅な雰囲気だったんですけど『遙か3』ではアクション寄りになって。でも『遙かなる時空の中で3 十六夜記』の九郎さんのフリルは…いや、彼はある意味ヒロインだから良いんでしょうけど(笑)

まいたこ
攻略キャラでは弁慶とか、ヒノエが人気ですよね。

タカロク
ヒノエは乙女ゲームらしいキャラですね。女の子に優しくて、強くて、一本筋が通っていて。見た目は少年だけど、中身は大人っぽい。ちなみに私は梶原景時さんが大好きです!

まいたこ
私は…リズヴァーンかな。それか声が三木眞一郎さんなのもあって、有川将臣が好きですね。もともと青龍と、石田彰さん枠の推しです。声優といえば、今じゃ乙女ゲームにこんな揃わないだろうっていう方ばかりですよね。しかも『遙か3 Ultimate』ではフルボイスになって、新規イベントやスチルが追加されて、さらにファンディスクもセットっていう決定版ですから「とりあえず遊んでくれ!」と(笑)『遙か6』とかから入った人にも、これぞ『遙か』という真髄を味わってほしいです。

タカロク
本当に「やってくれ!」としか言えないんですよね。ストーリーが本当に良い。もう「どう言えばやってくれるの?!」っていう感じなんですよ、こっちとしては(笑)


まいたこ
歴史を改変するというのは、他のアドベンチャーゲームとかでも結構使われているモチーフなんですけど、すごくドラマチックに描いていて、プレイヤーとして「どうしても改変したい!助けたい!」っていう強い気持ちにさせられるんですよ。

タカロク
…今の時点で言えるのは「リズヴァーン先生は最後にしておけ」くらいです(笑)

こんた
ループものって、そもそも運命を変えたいって強く思えるような、しっかりとした土台の上に築かれたストーリーあってこそですよね。そこは流石、歴史の長いコーエーさん。

タカロク
ではそろそろ…最後に一言ずつどうぞ。

こんた
PSPからPS Vitaに乗り換えてしまったあとは、PSP以前のゲームをプレイするハードルがさらに高くなってしまって…PS Vita向けへのリメイクは本当にありがたいです!

まいたこ
PS2版は2004年、PSPの愛蔵版ですら2009年ですもんね。久しぶりに和服の『遙か』が遊べるのは感慨深いです。
乙女ゲームって、グラフィックの向上に合わせてときめきや感動がさらに向上しますよね。乙女ゲームに限ったものじゃないですけど、なかでも乙女ゲームはリマスターの価値がすごく高いと思います。ぜひどんどんリメイクを!

タカロク
その通りです、リメイク待ってます!本日はありがとうございました!