トップへ

2017年からスーパーGTの“シード権”の仕組みが変更。最大参加総台数は48台に

2017年02月23日 16:22  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

海外戦であるスーパーGTタイ戦のスタートシーン。タイも台数が制限される可能性が高い。
スーパーGTをプロモートするGTアソシエイションは2月22日、メディア向けに2017年版のスポーティングレギュレーション(SpR)を公開した。このなかで、2017年から『公式登録基準』というものが設けられており、参加総台数、Aシード、Bシードといった新たな設定がなされている。少々難解な項目ではあるが、レギュレーションからどんなものになるか読み解いてみよう。

■増え続けるスーパーGTの参加台数。参戦チームにシードを設定
 日本国内で最も観客動員を集めるスーパーGTは、近年国外からも注目が高まっており、海外チームの参戦なども増えている。一方で、コースによっては参加可能な上限台数を超えるケースもあり、参加に向けての調整が必要になることは、近年GTアソシエイションの坂東正明代表もしばしば発言を残していた。

 すでに2016年中から、各チームに対し「2017年はランキングによるシードが設定される」という情報が出ており、とくにGT300クラスのランキング下位だったチームは、その対策のためにドライバーを起用するなどしていた。スーパーGTでは、16年までも『シード』という言葉はあったが、今季から導入されるものは、これまでの「前年のランキング上位15台までは決勝レース出場保証」とは異なるものだ。

■決勝出場を保証。Aシード&インターナショナルチーム
 まず、SpR内の『公式登録基準』に定められているのは、『2017年本シリーズに参加できる総台数は次の48台であり、当該チームのみが公式登録申請を行うことができる』というもの。これまでは各サーキットごとには最大出走可能数が定められていたが、シリーズとして最大数が定められたのは初めてのことだ。なお、サーキットごとの最大出走可能数は別途ブルテンで公示される。

 上記の『次の48台』に定められるのは、6パターンある。ひとつずつ見ていこう。

(1)Aシード権チーム
クラスI(GT500)全チーム
2016年度クラスII(GT300)チームポイントランキング18位まで

 こちらはシンプル。GT500クラスの参戦全車(2017年で言えば15台予定)と、GT300クラスの2016年ランキング18位までが該当する。今後例えばGT500の台数が増えたり減ったりした場合、この数字は変動する可能性がある。

(2)インターナショナルチーム
GTA/GTE(GTエントラント協会)がチーム体制やスポンサー状況等、諸条件を総合して認めたクラスII(GT300)車両
2チームまで

 インターナショナルチームは、その名のとおり海外からのGT300エントラントに向けた枠。2017年は1チームの参戦があるとされており、2チームには満たない。

 上記のAシード権チームと、インターナショナルチームは、すべての提出書類が完備され、車両
検査による安全性が確認されているかぎり、決勝レースへの出場権が保証される。

■継続参戦チーム、ランキング下位はBシードに
(3)クラスII(GT300)チームで2008年から継続参戦しているAシード権以外のチーム

 こちらのチームは、これまでも坂東代表が「長年一緒にやってきた仲間は大事にしたい」と語っていた内容に沿うものだろう。

(4)上記(1)~(3)をのぞき2016年度クラスII(GT300)の獲得チームポイントランキング(各競技車両単位)上位から数え、上記(1)~(3)と合算して42台となるクラスII(GT300)チームの車両

(4)は少々複雑だが、42台からGT500全車、GT300のランキング上位18台、インターナショナルチーム、08年からの継続参戦チームの合計の数字を引いた台数となる。ランキング上位で上にいればいるほどこの枠に入る可能性が高まる。

 また、インターナショナルチーム、08年からの継続参戦チーム、42台の枠のなかに入ったチームは、総称として『Bシード権チーム』と定められている。

■新規、そして無得点だとCグループに……!?
(5)Aシード権チームおよびBシード権チーム以外の既存チーム(GTE休会チームを含む)からクラスII(GT300)にエントリーする車両

(6)Aシード権チームおよびBシード権チームおよび(5)を含め、合算して48台以内で新規チームからクラスII(GT300)にエントリーする車両

 Aシード、Bシード以外の既存チーム(GTエントラント協会休会チームを含む)からエントリーする車両、また新規チームは、『Cグループチーム』として定められた。

 ただし既存チームからの参戦であっても、複数年にわたって複数台をエントリーさせた実績があるチーム以外は複数台エントリーが認められなくなったほか、新規チームはGTエントラント協会による審査が行われる。

 また、今シーズンから海外大会およびGTAが特に指定するレースについては、参加できる競技参加者数が制限される。たとえばSUGOのようにピットに限りがある場合がこれに当てはまるだろう。一方で、それ以外のレースは国内戦全戦の参戦が義務づけられている(クラッシュ等で車両修復ができない場合はこの限りではない)。

 これらの理由から、2018年に向けたAシード/Bシードのチームの選抜は、車両単位のチームポイントの最大6戦分で行われる。ただし、興味深いポイントとして、下記の項目がある。

既存のチームからチーム権利を取得して新規にエントリーする場合は、新規チームがGTEの審査を受け承認されたならば、GTAは既存チームのシード権を引き継ぐことを認める。

 つまり、新規エントラントでも参戦を休止した既存チームから、その“権利”を継ぐことができるというわけだ。新規の場合は、この方策を使えば参入のハードルはかなり低くなるだろう。

■予選落ちは“補欠”に。すぐには撤収不可
 今シーズンのスーパーGTは、まだ年間エントリーリストは出ていないが、上記までのレギュレーションを読むと、一部レースをのぞいたほぼ全戦で同じマシンたちが揃うことになる。現在のところオートスポーツwebの予想ではあるが、48台には満たないはずだ。

 ではもし、決勝の最大出走可能数を超えた場合はどうなるのか。今季からは、競技会審査委員会がクラスIIのみ『補欠』を指名することができることになった。補欠車両は最大3台で、予選後30分以内に補欠申請をした後、決勝スタートのグリッド表が発表されるまで待機することになる。

 一方で、予選落ちを喫した場合でも、そのまま補欠申請をせずに、すぐにサーキットを後にすることはできない。プロモーション規則で、予選落ちを喫したエントラントも決勝終了まで撤収しないこと、土曜のキッズウォークやピットウォークでのシャッター開放、車両の展示などのプロモーションへの協力が定められているのだ(ドライバーやレースクイーンのファンサービスは任意)。

 Aシード、Bシードのそれぞれの特典や、Cグループの参加条件等は別途公示されるという。GT300チームにとっては、出走のための権利を獲得することも重要になってくるが、ある意味でレギュレーションとして明文化されたことで、不公平なく従うことができるようになったのかもしれない。