先日、発言小町に「大学まで出たのにどうして主婦になってしまうの?」というトピックが立ちました。トピ主は2歳の子どもがいる30歳の女性。国立大学を出て上場企業に入社後、出産後も育休を取り同じ会社で働き続けています。(文:篠原みつき)
専門的な資格はなく、辞めてしまうと再就職が大変と聞くため、仕事と家事の両立は大変ながらも夫と協力しながら頑張っているとのこと。しかし、妊娠出産を機に退職する女性の割合が半数を超えると聞き、疑問を感じているといいます。
「せっかく大学まで行って就活も頑張って入った会社をどうして辞めようと思えるのでしょうか。何の為にお金をかけて大学に入ったのでしょうか?」
「今の時代、何が何でも正社員の椅子を手放してなるものか」
今の時代、一度辞めてしまえば主婦には時給800円のパートくらいしかなく、生涯世帯年収には大きなマイナスとなり、子どもの希望する進学に備えられないという主張です。
「学歴はお金持ちの男性と結婚する為の道具なのでしょうか?それとも出産を機に退職される方は大卒未満の方が多いのでしょうか?」
と質問を重ねていました。ただし、夫が高収入で働く必要がない、資格を持っていて再就職が容易、子どもや自身が病気など働けない人は除くとのこと。
確かに、大学にかかる費用は高額のため、せっかく正社員で入社したのに働き続けないのはもったいないという考え方は正論です。レスには「トピ主さんに全面同意です」「もったいないですよねぇ」という賛同が多数ありました。
「学生時代の友人は誰一人出産で辞めていない、職場でも出産で退職した人はここ10年くらいいない」という人は、友人といつもこう話すといいます。
「今の時代、何が何でも正社員の椅子を手放してなるものか」
「まだまだ有休や育休が思うようにとれなかったりするのが現状」
一方で、それ以上に多かったのが「大きなお世話」という怒りや忠告の言葉です。専業主婦からはもちろん、高キャリアの方たちも、「誰もがトピ主のように夫や職場が理解ある恵まれた環境ではない」と指摘します。
「一部のコンプライアンスな上場企業を除いて、まだまだ有休や育休が思うようにとれなかったりするのが現状です。本当にわからないのですか?」
という反発が多くを占めていました。
また、「大学は就職予備校ではありません」、「就職のためではなく、単なる教養・思い出の一部です」などの声も。「大学に行ったことにより現在の夫に出会い余裕のある子育てが出来て、なんら恥じることはない」と言い切る人も少なくありませんでした。
年代による違いも感じます。主に40代以上の人たちから、続けたかったけれど泣く泣く辞めたという嘆きが溢れていました。
頑張っている自分を肯定するために、他人の生き方を否定しないで
トピ主は反響に対して、止むを得ず退職している方のことを取り上げているわけではなく、
「子供が産まれたからという理由だけで何も考えずに退職される人達が勿体無い」
と反論しています。さらに、「私も夫が年収2千万越えの高収入なら辞めて専業主婦になりたい」「母親が働いて養育費を稼ぐのも育児の一つ」という考えも明かしました。
トピ主の中では、大卒で事情もなく専業主婦になる人は「楽をしたい、将来を考えていない人」と答えが出ているようです。しかし、事情もなく何の考えもなしに辞めてしまう人は、今どきそれほど多くはないでしょう。外で働くのに向いていない人だっています。
筆者は専業主婦歴が長いため、この手の話題にはいつも辟易します。トピ主は「どうして?」と聞きたいのではなく、頑張っている自分を肯定するために、他人の生き方を否定しているように見えます。矛先はそこではなく、日本企業全体の職場が男女とも子育てしやすい環境になるべき、と考えて欲しいです。
子どものために学費を稼ぐ、子どものために自分が育てる。よく議論になりますが、どちらが正しいということはありません。どちらも正しいのです。ただ、優先順位が人によって違うだけ。スレッドはこんな声が多く見られました。
「何に重きを置くかはそれぞれの価値観です。どんな選択をしてもその人の人生、迷惑をかけられてるわけじゃないのに他人のことをあれこれ言うのは下品だとは思いませんか?」