2017年02月23日 09:53 弁護士ドットコム
沖縄県石垣市の自宅で大麻を隠し持っていたとして、大麻取締法違反(所持)の罪に問われた元女優、高樹沙耶(たかぎ・さや)被告人の刑事裁判が那覇地裁でおこなわれている。
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報道によると、高樹被告人はこれまでの公判で、大麻の使用を認めながらも、所持については否定。2月上旬の第2回公判の被告人質問で、弁護人から「今後、国内で二度と大麻を使用しないと約束できるか」と問われると、高樹被告人は「約束する」と述べたという。
このような発言について、ネット上では「海外では使用するということか?」といった疑問の声もあがっている。海外であれば、法的に問題ないのだろうか。刑事事件にくわしい村木亨輔弁護士に聞いた。
「大麻取締法では、大麻の『所持』『譲受け』『譲渡し』などを禁止しています。
一方で、この法律は、同法で大麻の所持が認められていない人による吸引など、自己使用それ自体を禁止していません。この点、違法薬物を使用すること自体を禁止する『覚せい剤取締法』や『麻薬取締法』などとは大きく異なります」
なぜ、大麻を使用することが禁じられていないのだろうか。
「理由はいくつかあるようですが、代表的なものとしては、大麻すなわち麻が、神社のしめ縄や下駄の鼻緒、七味の成分などで利用されていることもあって、たとえば、大麻の生産者が栽培や製品の加工の際に誤って葉の成分を吸引したことによって刑罰が科されるのを回避することが理由にあげられます。
そうは言っても、大麻の『所持』や『譲受け』は禁止されていますので、「使用したに過ぎないので犯罪は成立しない」と主張すること自体、無理があると思います」
海外で使用することは問題ないだろうか。
「海外で大麻を所持した場合、大麻取締法では『保護主義』が取られています。(刑法2条、大麻取締法24条の8)。
保護主義とは、日本国益を保護するため、犯罪地や犯人の国籍を問わず、刑事罰の適用を認めるという考え方です。そのため、国内犯と同じように、海外で大麻を所持した場合も刑罰を科されるおそれがあります。
一方で、国外の大麻の『使用』については保護主義が取られておらず、その場合に刑罰を科されるわけではありません。しかし、『使用』にかぎった主張が難しいことは、国内犯の場合と同じでしょう」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
村木 亨輔(むらき・きょうすけ)弁護士
虎ノ門法律経済事務所神戸支店の支店長弁護士。東京本店を中心に、全国に25の支店があり、今後も各地に拡大する予定。本店支店間が相互に連携を取ることにより、充実したリーガルサービスの提供を可能とする。
事務所名:虎ノ門法律経済事務所 神戸支店
事務所URL:http://kobe.t-leo.com/