2017年02月23日 09:53 弁護士ドットコム
2人の子どもにも恵まれ、明るい未来を描いていたある日、唐突に夫から「離婚しよう」と突きつけられてしまったーー。30代女性から、弁護士ドットコムにそんな体験談が寄せられました。
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2カ月前には楽しく家族旅行に行き、車も買い替えたばかり。夫からの申し出は、予期せぬものでした。そこで、女性は考え直すように話します。しかし、「どんなに至らない点を詫びても、子育て協力者としてだけでも構わないと懇願しても門前払いで、子どもに暴力まで振るわれることもしばしば」でした。
さらに、信じられない言葉をかけられます。「新しく作るので子ども達はいらない。面会も求めないから養育費を要求するな。あまりにしつこいと子ども達が死ねばなって願ってしまう」。
この言葉を聞き、冷静になった女性は、別居に同意。また、調べてみると、夫の不倫と、相手と新居まで契約していた事実がわかったそうです。調停を経て、裁判で離婚が確定。子どもたちの親権は女性が持ち、元夫が慰謝料と養育費を支払い、面会交流をすることが決まりました。
そして最近、信頼できるパートナーに出会ったそうです。気になるのは、もし再婚した場合、養育費や面会交流のことです。今後、女性が再婚する場合には、養育費、面会交流のルールが変わることはあるのでしょうか。森元みのり弁護士に聞きました。
女性が再婚し、女性の子どもたちが再婚相手と養子縁組をした場合、養父が第一次扶養義務者となります。そのため実父から養育費減額請求がなされたときには、養父と実父の収入等に応じ、実父からの養育費は減額またはゼロとなります。
なお、面会交流に関しては、再婚・養子縁組によって必ずしも条件が変更となるわけではありません。養育費が仮にゼロとなっても、面会交流は続くという判断もあり得ます。再婚後の何らかの事情により、面会交流がお子さんにとってマイナスとなっているなどの事情があれば、判断は異なります。
今回、相談を寄せた方の場合は、面会交流、養育費について離婚時に裁判所で決められています。このような場合、養育費や面会の条件を変更するには、再度の調停などが必要です。裁判所が再調停などを受けて判断することになります。当事者間の話し合い等であれば、裁判所とは異なる解決内容となることもあり得るでしょう。
そもそも、離婚を切り出した際に『子ども達はいらない』と言っていた元夫ですから、養育費と面会がいつまで続くか分かりません。女性の再婚後、仮に元夫が養育費を払わず面会もしなくなっても、離婚時に決めた条件を変更する再調停等が必須ではありません。
お子さんたちのためにどうするのが最善か、再婚相手の方とも相談しながら良い選択ができるといいですね。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
森元 みのり(もりもと・みのり)弁護士
東京大学法学部卒業。2006年、弁護士登録、森法律事務所入所。
著書・監修書に、『簡易算定表だけでは解決できない養育費・婚姻費用算定事例集』(新日本法規)『一番よくわかる離婚の準備・手続き・生活設計』(西東社)他。
事務所名:森法律事務所
事務所URL:http://www.mori-law-office.com/