ここ数年、パワースポットブームで寺社仏閣を訪ねる人が増えている。中でも御朱印を集める女性は「御朱印ガール」と呼ばれ、メディアで特集も組まれるほどだ。しかし、ブームに乗じて、ありがたい御朱印を転売してお金儲けをしようとする困った人もいるようだ。
2月22日放送の「羽鳥慎一ワイドショー」(テレビ朝日系)で御朱印の転売問題が報じられた。
最初から転売目的で「何枚までだったら貰える?」と聞く人も
1100年もの歴史を持つ、京都市・粟田神社の御朱印。この神社では、初穂料500円を納めれば御朱印をもらうことができる。しかしこの御朱印が、オークションサイトやフリマサイトで売買されていたという。出品額は最高で2000円。4倍もの値段がつけられていた。明らかに転売目的の参拝客もいるようで、同神社の佐々貴敏道宮司は、
「何枚までだったらもらっていいですか? 十何枚いただけますか?と聞かれる」
と話す。
このことを受けて、粟田神社は「御朱印につきまして」という張り紙を掲示した。内容は「御朱印の転売・代行販売をしないでほしい」という切実なものだ。
「御朱印は神社にご参拝された方が神様とご神縁を結ばれた証しであり、そこにはご神気が宿るとされます。必ずお参りをされますようにお願いいたします。」
「転売屋・代行屋を通して手に入れられた御朱印にはそうした繋がり、ご神縁は生まれません。意味のないものとなってしまいます」
この張り紙は「周りの方々にもご周知賜りまして、転売屋・代行屋などの依頼されないことを切に願っております」と締められている。番組内で、佐々貴宮司は切実に呼びかける。
「実際に足を運んでもらうことで神様との縁を結んでいただけたらありがたいと思っております」
御朱印ブームが巻き起こす転売 「自分で行くからこそ意味がある」を忘れずに
このような事態に危機感を覚え、寺社仏閣ではさまざまな対策が取られている。京都市・清洗華院では、期間限定で配布した御朱印が初穂料300円のところ1500円で出品されていた。現在、常時配布をすることで転売を防いでいるという。
また、寺社ではないが、福島県会津若松市・飯盛山もそうだ。御朱印の書き手が1人しかおらず不在になることも多いという。その入手しにくさ故に、約20倍の値段で売買されていたという。今では「1人1枚のみ」が徹底されている。
転売が起こってしまう理由について、御朱印収集家で御朱印関連書籍を出版している菊池洋明さんは番組内で、
「以前は行列になって待つということがなかった。何十分はざらで、最高で1時間~2時間待つこともある」
と、このブームが引き起こした問題だと指摘する。
実際、オークションサイトでは大量の御朱印が出品されている。キャリコネニュースが調べたところ、ヤフーオークションで八王子子安神社(東京)の御朱印だ。2月12日、初午祭で限定配布された計2種の御朱印が3600円まで高騰している(2月22日18時現在)。通常、数百円~千円程度の初穂料でもらえるため、現時点で倍以上の金額になっていると推測できる。またフリマサイト・メルカリでも御朱印1枚につき千円前後で出品されていた。
しかし、売る側も問題だが、買う側もまた問題だ。番組放送後ツイッターでは「御朱印は神社に行ってからこそ意味があるものだから、転売買うのも売るのもどうかと思うよ」という声が寄せられていた。