VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーの運営団体は、2017年から新たなサポートシリーズとして『SuperUtes(スーパー・ユート)』と呼ばれる新カテゴリーを発足することを発表。その参戦第1号メーカーとして、豪州ミツビシがトライトンでの参戦に名乗りを上げた。
昨シーズン中盤の7月より、VASCは伝統の『V8スーパーカー』の名称に代わり、新たにヴァージン・オーストラリア・スーパーカーとして生まれ変わった。その流れを汲み、傘下の人気シリーズとして地元オーストラリアで愛されてきた『V8 Utes(V8ユート)』も、新時代の選手権に生まれ変わる。
オーストラリアの自動車市場では、この“ユート”という独特の名称で呼ばれるセダン派出型のピックアップ車が好まれており、VASCに参戦するホールデンやフォードも、コモドアやファルコンにユートのボディ形状を用意し販売するなど人気を博してきた。
必然的に、これらユートモデルをベースとしたモータースポーツ・カテゴリーも、長年ファンに親しまれてきたという背景がある。
今回の新カテゴリー創設に際して、スーパーカーのマネージングディレクターを務めるマット・ブレイドは「オーストラリアのモータースポーツにおける新たな進化を具現化するものになるだろう」とコメントした。
「V8ユートは人気があり本当に面白いカテゴリーだったが、変化する自動車市場に合わせてユート・シリーズも市場との関連性を高めていくことが重要だ」
「新シリーズに参戦可能なのは、現在オーストラリアで発売されているダブルキャブ形式のピックアップ・トラックで、4気筒のターボディーゼル搭載車に限られる」
「新たなマニュファクチャラーへの門戸を広げつつ、ファンにもさらに魅力的な要素を提供することが狙いだ」
その新選手権に向け、昨年のV8ユートの王者であるジーダーズ・レーシングが参戦意思を表明。マシンをこれまでのホールデンから、ミツビシ・トライトンにスイッチすると明かした。
「豪州ミツビシは我々の参戦意思を受けマシンのホモロゲーション取得を進めると同時に、参戦に向けた車両のキット開発でも協力体制を敷いてくれている」と語るのは、チーム代表のルーク・ジーダーズ。
スーパーカー・シリーズのワーキンググループと共同開発しているという車両キットは、チームが参戦する場合にマシンを安価で製作できるよう、コストを抑える狙いで設計されている。
キットの価格は60000豪州ドル(約600万円)がターゲットにされており、サスペンション、ブレーキ、ギヤボックスとレシオギヤ、さらにディファレンシャル、ホイール、タイヤなどの基幹部品に加え、共通ECUなどの制御パーツまで含まれている。
ジーダーズ・レーシングでは、サテライトチームへの供給を含めて最大5台のエントリーを予定。前出のブレイドによれば開幕戦に15台のマシンが並ぶ見積もりだという。
この新選手権はドライバー、スポンサー、メーカーの露出を最大限にするため、初年度はいくつかの選ばれたVASCイベントでサポートカテゴリーとして開催を予定しており、最初のイベントは7月のタウンズビルを予定。さらにイプスウィッチ、バサースト、ゴールドコースト、ニューキャッスルでの開催を目指している。
そして2018年にはVASCと並ぶラウンド数に拡張される見通しで、現時点で参戦を表明したミツビシ以外に、フォード、トヨタ、フォルクスワーゲン、ホールデン、ニッサン、そしてメルセデスベンツが参戦可能な車種を有している。