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町田康、島本理生、山戸結希ら著名人『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』に絶賛コメント

2017年02月22日 15:03  リアルサウンド

リアルサウンド

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 現在公開中の映画『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』に、町田康、山戸結希ら各界の著名人がコメントを寄せた。


参考:J・ギレンホールがN・ワッツを肩車 『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』本編映像


 本作は、『ダラス・バイヤーズ・クラブ』のジャン=マルク・ヴァレ監督と、『ナイトクローラー』のジェイク・ギレンホールが初タッグを組んだヒューマンドラマ。交通事故で妻を亡くし、精神的に病んでいた投資銀行家デイヴィスが、シングルマザーのカレンと彼女の息子クリスとの出会いによって、徐々に自分を取り戻していく姿を描く。主人公デイヴィスをギレンホールが演じるほか、『追憶の森』のナオミ・ワッツ、『8月の家族たち』のクリス・クーパー、新鋭ジューダ・ルイスが名を連ねた。


 コメントを寄せたのは町田康、島本理生、山戸結希、佐々木俊尚ら各界の著名人たち。本作の感想をそれぞれ綴っている。


■著名人 コメント


●町田康(作家)
身近な人を失って初めて知る本当の自分。その本当の自分は容赦なく、いままでの自分をぶち壊す。
ぶち壊し、ぶち壊されてなお、もう一度立ち上がろうとする人間の姿が美しい、と思いました。人間は一度はぶち壊れないと真っ直ぐに立てない、歩けないのだと知りまた。


●山崎ナオコーラ(エッセイスト・小説家)
冷蔵庫やパソコンや妻、内側を知らないまま毎日接していたら、ある日突然、妻を失ってしまう。
配偶者を亡くしたときに、人の心がどう動くのか。それを軽快に見せてくれる。


●島本理生(作家)
主人公の壊れていく過程が、危うくも清々しく、不思議な解放感を覚えた。
遅すぎた愛が切ない。


●廣木隆一(映画監督)
ふと、立ち止まった時に人は何を考え、何を見るのかを教えてくれる映画です。
ナオミ・ワッツが変わらない静かな狂気を孕んだ演技が嬉しい。


●深田晃司(映画監督)
大小様々な破壊を並べて人が走り出すための導火線を探すような映画だった。
人間なんてそんな簡単に成長するものでもないのが現実だ。しかしこの映画の最後に仕掛けられた驚くほど大きくて小さな破壊は、
等身大の成長をもたらすに相応しいサイズだったのだろうと思う。あとは、映画館を出た私たちが走り出せばそれでいいのだ。   


●山戸結希(映画監督)
良い映画と悪い映画の違いについてよく考える。
良い生き方と悪い生き方の違いについて考える。
良い死に方と悪い死に方の違いについても。
きっと私の好きな人は、私よりも早く死ぬ。
五分五分の賭けを一緒に生きているのが今だとして、
どうか映画みたいに生きてね、
人間みたいに死んでも良いよ。


●maegamimami(イラストレーター)
主人公のとった手段は決して荒療治なんかじゃない。一見乱暴に映るかもしれないけれど、これは再生へ向かって進んでゆく正しい姿なのだ。”喪失”という現実に向き合う為の準備を無我夢中でしている主人公の姿が心に焼きついて離れない。


●さえり(ライター)
痛みに気づくにはいくらかの勇気がいる。けれどそれらをきちんと感じられたとき、意外にも人は清々しい気持ちになれるのだろう。
登場人物たちの「再生の兆し」を見届けるのは、冬の朝に背筋を伸ばし新鮮な空気を心に広げる感覚に似ていた。


●佐々木俊尚(作家・映画ジャーナリスト)
「喪った」と口にしても現実感がないから、どうしていいかわからず無謀な行動に出てしまう。でも本当はそんな大きな言葉ではなく、
ささやかな日常に哀しみはあったはずなんだ。人間の心の不思議をゆるやかにたどっていくような物語だった。  


●大谷ノブ彦(ダイノジ、DJダイノジ)
雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』という不思議なタイトルの映画を観た。
妻を亡くした男の子物語とは凡庸なと思いつつ、物語は大きくカーブして僕をはたく。
映画はそのタイトル通りの映画だった。僕らはずーっと失ってばかり。その度に破壊して再生する繰り返し。
あぁ、そうか
愛とは気づくことなのか。


●ブルボンヌ(女装パフォーマー/ライター)
「ご冥福をお祈りします」なんてテンプレで片付くわけがない。
なのにみんな、失った想いまで型に合わせて生きている。
何もかもぶっ壊す型破りな悼み方で、見えていなかった世界と自分に気付く彼の物語に、私たちも少し壊されてみよう。


●文月悠光(作家)
〈弱さ〉を抱えた人々を、本作は魅力的に切り取っている。
脆い心と自由な勇敢さによって、主人公は感情を取り戻していく。
過去の〈破壊〉は、〈再生〉への力強い一歩。さぁ走り出そう!


(リアルサウンド編集部)