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「ヤマト2202」小野大輔×神谷浩史インタビュー “ヤマト愛”に溢れたこの艦に、一緒に乗ってほしい

2017年02月22日 12:54  アニメ!アニメ!

アニメ!アニメ!

「ヤマト2202」小野大輔×神谷浩史インタビュー “ヤマト愛”に溢れたこの艦に、一緒に乗ってほしい
2013年にテレビ放送された『宇宙戦艦ヤマト2199』。1974年よりテレビ放送されたあの『宇宙戦艦ヤマト』を、ストーリーはそのままに、新たなアニメーション作品として制作した作品である。美しく緻密なアニメーションと、波動砲の迫力や戦艦としての細かな設定など、SF作品の金字塔である旧作の価値をより高めた偉業は、『ヤマト』ファンを中心に幅広い世代に受け入れられた。コアなファンからお茶の間まで、多くの人々に『ヤマト』が現代に通じる普遍の物語であることを知らしめた。

その『宇宙戦艦ヤマト2199』放映終了から3年5ヶ月。続編となる新作『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』が制作され、2月25日より劇場上映されることとなった。『ヤマト』ファンであればわかるだろうが、1978年に公開され社会現象を巻き起こした劇場用映画『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』のストーリーをベースにした作品だ。しかし今作ならではのオリジナルキャラクターが登場するなど、『宇宙戦艦ヤマト2199』の続編として観るとより楽しめる作品となっているようだ。
『宇宙戦艦ヤマト2199』に続き古代進役を演じる小野大輔と、『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』から登場するガミラスの新キャラクター「クラウス・キーマン」を演じる神谷浩史に、新たにヤマトに乗り込む意気込みをたっぷりと伺った。
[取材・構成:大曲智子]

『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』第一章 嚆矢篇
http://yamato2202.net/
2017年2月25日(土)より全国15館にて2週間限定劇場上映

■小野「古代進と自分は似ているところがある。今は運命を感じます」

――小野さん、『宇宙戦艦ヤマト2199(以下、2199)』の主人公・古代進役に選ばれ、作品が世に出たとき、どのような手応えを感じていたかお聞かせください。

小野大輔(以下、小野)
オリジナルの『宇宙戦艦ヤマト(以下、ヤマト)』という作品は日本のSFアニメの金字塔であり、そして誰もが知っているような偉大な作品だということは理解していました。なので古代進を演じることが決まって、いろんな方向からのプレッシャーを必要以上に感じていたと思います。
でもできあがったものを見ていただいたとき、昔からの『ヤマト』ファンだけではなく、新しい世代の方たちも「『ヤマト』って面白いね」と言ってくださった。そこで手応えをすごく感じましたね。スタッフやキャストも、昔からある『ヤマト』をそのまま作り直すのではなく、現代に即したストーリーで、そして現代の技術で新しく『ヤマト』を作りたい、そうして次の世代に伝えていきたいという思いがあった。『2199』の旅をすることでそれが全うできたことは、演者としても嬉しかったです。


――『2199』は、特にどのあたりが若い世代にも響いたと思われましたか?

小野
今言ったことと逆説的になるかもしれないんですけど、絆、愛、友情という普遍的なものを描いているからだと思います。『ヤマト』が描いてるものって、年月が経ったとしても変わらない。どの世代の方が見ても納得がいく、共感できるストーリー。若い人にウケているんじゃなく、若い人にもわかっていただける。旧作から見てくださっているファンの方たちにも喜んでいただける(笑)。老若男女問わず、みんなが楽しめる作品だからだと思いますね。

――神谷さんは『2199』が始まった時、『ヤマト』が新たに作られることをどのように感じていましたか?

神谷浩史(以下、神谷)
『ヤマト』の定義がここでまた新しくなったのかなという気がしましたね。旧作『ヤマト』はSFアニメの金字塔であり、日本のアニメを語るうえでまず最初に名前が出てくるタイトルになっているし、誰もが知っているタイトルなのは間違いない。ただ、ちゃんと観たことがない人が増えているのも事実だと思うんですよね。
そんな時に『2199』が新たに作られることになって、『ヤマト』がある意味、古典や昔話のようなものになったんだなと思いました。そう言うと聞こえが悪く感じるかもしれないですが、古典や昔話って普遍のもの。『桃太郎』をちゃんと読んだことがなくてもお話は知っているように、そういうものに『ヤマト』もなったんだなと思いましたね。日本のアニメーションの長い歴史の中で、ひとつの物語が古典や昔話と同義に昇華したのかもしれないなと思いました。

――おふたりは、ご自身が『ヤマト』に初めて触れたときのことを覚えていますか?

小野
神谷さんがおっしゃったように、僕も主題歌だけは知っている、ストーリーもなんとなくわかる。でもちゃんと観たことはないという状態で、『2199』のオーディションを受ける際に初めて観たんです。観たことがないのに知ってる作品だから、自分の中で伝説みたいになっている。自分はこれから伝説に関わるのかと思うと、ある種の恐怖すら感じました。自分にできるのかっていうプレッシャーを感じていましたね。それが最初の印象でした。

神谷
僕が初めて『ヤマト』に出会ったのは、子供の頃の消しゴムのオモチャです。上と下でパーツが分かれていて、下が赤くなっていて上が黄色とかになってるヤマトのオモチャ。自分で欲しがって買ったのか、年上のいとこがくれたのか、なぜうちにあったかはわからないんですけど。『ヤマト』世代ではないので、「大人が好きな漫画、お兄ちゃんたちが好きなやつ」っていう印象。僕にとってのヤマトは、「このフォルムが超かっこいいんだ。ここから波動砲出るんだ。これが宇宙を飛ぶんだぜ」みたいな。アニメは観たことないけど知っているっていうものでしたね。


――それぞれの役柄について伺います。小野さんが古代進を演じるにあたって大切にしていることを教えてください。『2199』から長く演じられて、変化してきた部分はありますか。

小野
古代進は自分の使命にまっすぐ挑んでいく、本当に男らしい男だなと思っています。旧作での古代進像は熱血であり、猪突猛進、とにかく前向きでストレート、というものだったと思うんですね。だけど『2199』での古代進は、お兄さんの古代守のことが心に残っていて、葛藤を繰り返しながらヤマトに乗ることで、旅を経て成長していく。その思いが最終的には艦を進める力になっていく。考えを試行錯誤したうえで、「ええいままよ」って思い切りよく飛び出していく。僕もいろいろ頭の中で考えるんですけど、結果「ええいままよ」って飛び込んでいくことが多いんです。これは僕が演じる意味合いがそこにもあるなと思い、大事にしている部分でもありますね。今となってはすごく運命的なものを感じています。

――神谷さん演じるキーマンは、完全オリジナルの新キャラクターですね。どのようなキャラクターなのでしょうか。

神谷
キーマンは第二話からの登場なんですが、僕は第二話の台本とキャラ設定表しかいただかなかったんですよ。どういう人物か全く分からない状態でアフレコに向かいました。現場でスタッフからご指示いただけると聞いていたのですが、普通にAパートの収録が始まってしまって、「嘘だろ……」と。Aパートの本番が終わった後に、羽原監督と廊下で会いまして。「後でキャラクターについて説明しますので」って言われて、いや今お願いしますって(笑)。「さっきので大丈夫でした?」と聞いたら「大丈夫でした」って言っていただけて。そこでお時間をいただいて、脚本の福井晴敏さんと羽原監督からお話を伺いました。「その解釈でOKです」と言っていただけて安心しましたね。その名の通り、今後キーマンになるという情報をいただいたので、改めて気合いを入れました。
これから先の展開を今ここで僕が全部しゃべってしまうことも可能なんですけど、怒られてしまうので(笑)。最初はただニュートラルな気持ちで「なんだこいつ?」っていう視線で見ていただくのが、一番正しいと思いますよ。


小野
ちなみに僕もキーマンがどんなやつなのか、まったく知りません。彼の真意というか、何のためにいるのかというのを知らない。もっと言うと、僕は(古代を演じるうえで)まだ知る必要もないと思うので。

神谷
キーマンは、かつて地球人と敵対していたガミラス星人。ガミラスは現在、地球と同盟関係にある。目的のためにはガミラスの協力も絶対必要だろうということを地球側にちらつかせながら、古代たちにアプローチしていくのかなと。ガミラスの真意がどこにあるのかは、追い追い描かれるのだと思います。

■神谷「『2199』で古代進を全うし続編に導いた。小野大輔はすごいと思った」

――『2199』は綺麗な形で終わりましたが、旧作『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち(以下、さらば)』をベースにした『2202』が作られることをどう受け止めましたか。

小野
『2202』が作られると知って、「再びヤマトに乗る意味って何なんだろう」ってところから考え始めましたね。『2199』の旅って、地球を救うという使命を帯びた、すごく大きな愛だったと思うんです。そして『さらば』で描かれていた壮絶な愛の形もまた、必ず描かれるであろうなと。そういう意味で、自分もあそこに身を投じなきゃいけないっていうプレッシャーは、今回もすごく感じています。
ただ僕は今回、先の展開がどうなるかを意識的にも無意識的にも考えないようにしていて。キーマンが何者かも正直知りたくないですし、本当に古代と同じ気持ちになっているんです。これから起こること全てに身を投じ、情熱や誰かに対する愛情、もっと言うとヤマトが好きだという気持ちを持って全力で臨んでいかなければいけない。そうすればこの『2202』という作品に魂を込められるんじゃないかなと感じているんです。福井さんも、「『さらば』のストーリーをしっかり描くけれど、あのままではない」とおっしゃっていました。何より「救いのない物語は描かないです。そこは安心してください」のことでしたね。


――神谷さんは『さらば』を観てどんな感想を持ちましたか?

神谷
「みんな死んじゃうんだ」って思いました(笑)。『さらば』から40年経って、僕たちは当時の成り立ちを知ってしまっている。みんな死んでしまって、テロップで「二度とヤマトに会う事はないでしょう」とまで書いたのに、続編が作られたり・・・。でもあの時は“さらば”のつもりで作ったんだろうなって。そんな事情も知ったうえで改めて『さらば』を見ると、悲壮感がすごく強いですよね。一度完結させた『ヤマト』をもう一回動かす意味をつけている。彼らを決死の覚悟で戦わせるという、ものすごい高尚なところにテーマを置いちゃっているから、最初から最後まで悲壮感と緊張感とがものすごくて、観終った後に疲労するくらいです。
そんな『さらば』を基に新しく『2202』を作るわけです。過去、当時のニーズに応えて作ったものを現在の技術で、ちゃんとした大人たちが、全てを理解した上で作ろうとしている、ということなんだなと思います。ただし『2199』でやりたい事はたぶん全部やっちゃってるし、綺麗に終わっているし、森雪を一度死なせているし。だから『2202』では森雪をは殺しにくいですよね。「また死んだ!」って言われちゃうから。

小野
結構ぶっちゃけてるよ?(笑)

神谷
(気にせず)そのうえで作ろうというんだから、今回は別のところにハードルを設けている、もっと凄いものを見せてやろうという意気込みで作っているはずなんですよね。それを背負っている羽原監督と、猛烈なる知識量とストーリーテリング力を持っている福井さんが、どんなものを作りたいのか。そこが今作の注目すべきところの一つだと思います。


――考えなしに『さらば』に手をつけるわけがない、と。そういう見方をしてみると、地球とガミラスが同盟を結んでいる時点で『さらば』とは別ルートに入っていることになりますね。やはりキーマンは作品のポイントになる?

神谷
もちろんなると思います。地球人とガミラス星人が政治を動かしていて、同じ席に座って会話をしているけれども、やっぱりちょっと温度差というか空気が違うんですよね。この世界はそういうもののうえに成り立っているんだなと、ビシビシ伝わってくる。そのことが解決に向かっていくのか、新たな敵が現れることで地球人とガミラスというふたつの種族が交わっていくのか、もしくは再び反していくのか。そんなところも見所になってくると思います。大変なことになっていくんだろうなっていう予想はできますよね。

(次ページ:神谷「小野くんに関してはあまり興味がない」)

――おふたりはラジオ番組を10年続けていますし、共演作も多かったりと、旧知の仲だと思います。今回『2202』で対立するキャラクター同士を演じることになり、どう思われましたか? 役者としてのお互いの印象を知りたいです。

小野
『2202』にキーマンという新キャラクターが出てきて、それが神谷さんだと聞いたときに、本当にまさしくこれはキーマンになるんだろうし、新しい『ヤマト』を作っていくうえで、これ以上ない方が来てくれたなと思いましたね。どんな役か知らないけれど(笑)。理屈じゃない安心感がありました。
ただしこの人がやるということは、相当一癖も二癖もある、物語を確実に動かしていくような役柄なんだろうなと。さっきも言ったように、僕は古代みたいなメンタリティーを持っている部分があるんですけど、神谷さんはいつも冷静に見てくださって、作品のことも俯瞰で見てくださる方なので。そういう意味では、役は敵か味方かわからないけど、役者さんとしては強力な味方がこの艦に乗ってきてくれたなって感じました。僕が、考えすぎて「もういい! やるしかない!」ってなる古代っぽさがあるとすると、神谷さんは真田さんみたいな分析能力がある(笑)。それと熱量の高さを両立されているので、すごいなぁと思いますね……。


――小野さんが照れくさそうにしていますが、神谷さん、今の小野さんの言葉を聞いていかがですか。

神谷
まぁ、興味ないんですけど。

小野
うん、そこから入るか。興味持てよ。

神谷
小野くんに関してはあまり興味がない。一緒にラジオ番組をやらせていただいていますが、それが長く続ける秘訣なのかもしれないなと思ってるんですよね。あまりお互い干渉しないし、どうでもいいと思っている。やっぱり同じ役者だし、同性だし、ある意味ライバルではあるじゃないですか。小野くんが大きなタイトルに出たり、いい役をやっていると聞くと、どうしてもライバル心が生まれる。そんな気持ちを持ちながら一緒にラジオ番組をやって、いい空気が生まれるかといったら、僕はうまくやれる自信がない。だったら無関心でいようと。もともと関心もないし。

小野
もう、それ以上は……(笑)。

神谷
でも小野くんが『ヤマト』に関わることが決まった時、「すごい。また一つ上のステージに行ったな」と思ったんですよ。とんでもないところに行ったぞ、と。もちろん段階を踏んでいるんですけど、僕も『ヤマト』という作品の大きさは知っている。そのステージに小野くんは行ったんだ、これは負けてられないなと思いました。ただやっぱり別の人間だし、個性も違う。僕が古代進をできるかといったらできないですから。だったら自分は違うところで活躍すればいいと思っていたところに、今回奇しくも『ヤマト』に関われることなった。


神谷
今回『2202』に関わらせていただくことになり、『2199』を全部観ました。実は『2199』のBDは全巻家にあったので。なるほど今の技術でこういうものを作ったんだ、それを最後まで正しく導いて、古代進という役を全うした小野大輔は本当にすごいなぁと思いました。なおかつそれを続編に導けるっていうことも。もちろん小野くんだけの力ではないですけれど。旧作『ヤマト』もその後続いたのだから、『2199』も続編ができたらいいなって、視聴者は勝手だから考えちゃう。小野大輔はみんなの希望を叶えて、なおかつこの作品の真ん中に最後まで立っていられた。これは僕にはできないことだったなと思いましたね。

■小野「いろいろな愛が描かれる。それはヤマト愛と言っていい」

――古代進と対峙することになるキーマンという役柄を演じるにあたり、小野さんに負けないという気持ちはありますか。

神谷
どの作品でもそうなんですけど、自分の役を理解し、そこで輝けるようにという思いは常にあるんですよ。でも自分が変に目立ってしまうと、作品のバランスを崩してしまう。相手を引き立たせた上で、自分の役も活きるというやり方が、僕はとても現場にいて居心地がいいし、そういうポジションを目指しているんです。例えば古代がかっこいいシーンならば、その引き立て役に全力でなる。この瞬間はキーマンが目立たなきゃいけないのだったら、古代を食わなきゃいけない。そういうことを考えながらこれからやっていこうと思っています。幸いラジオの収録で会う機会があるので、もし何かあったら作品について話す機会も持てなくはないので。基本的には話しませんけど。

小野
でも珍しかったんですよ。ある日ラジオが終わって一緒にタクシーで帰った時に、『ヤマト』の話をしたんです。その作品の話って、その現場で話をするもの。ほかの現場で「今どういうアフレコ状況?」とか、今どんなストーリーになってるか話すことって、そんなにないんですよね。ただ今回は「キーマンが出てくる前、第一話はどんなストーリーだったの?」って神谷さんから聞かれて、説明しました。キーマンがどんな役かをアフレコ前に気にしていたので、「この人、気合い入ってる!」って思いました。ラジオを10年やってきたことで、そういう話もできるようにもなったのかなとも思って、それも嬉しかったですね。

――おふたりはまさにこれから『ヤマト2202』という艦に乗り込んでいくわけですが、ちなみにご自分が演じる役以外で好きなキャラクターはいますか?

神谷
僕は旧作から真田さんが好きなんです。(旧作で演じていた)青野武さんがすごく好きなんですけど、『2199』から大塚芳忠さんが引き継がれた。僕、芳忠さんも大好きなので。眼光の鋭いキャラクターデザインと芳忠さんの声が、すごくマッチングしているなって思います。真田さんがいるとすごく安心するので、旧作から大好きですね。


小野
僕は当然すべてのクルーにまんべんなく、同じ愛情を持って見ていますから。誰かひとりと言われても……雪ですね!

――めでたく古代と結婚しますしね。

小野
やっぱり雪ですよ。桑島法子さんの声は、雪そのものだと思う。これがヒロインだよなぁっていう声。美しくて凛としていて、すごく好きですね。

――今作では古代とふたりきりで車に乗って帰るシーンで、古代にしか見せない表情が見られますね。

小野
そうですね、ああいう可愛い部分も持ち合わせている。そしてちょっとしたミステリアスさもありますし。

神谷
ちょっとどころか相当ミステリアスだよ? 昔の記憶が全然ないんだから。

――おふたりはまさにこれから『ヤマト』の新たな伝説を作っていくことになると思います。『2202』が始まる今、どのような心境ですか。

小野
始まる前は、伝説的な作品ということにプレッシャーを感じていましたけど、『2199』の旅を終えて感じたのは、「やっぱりヤマトって面白い」っていう思いだったんです。ファンの方々も、若手の役者さんたちも、みんなすごく面白がっていた。ヤマトが好きだって思いが現場に溢れていて、それが幸せだったんですね。旅を終えたときにものすごく達成感を感じましたし、何より「俺たちはヤマトに乗ったんだ」っていう誇りが生まれた作品だったんですよ。だから『2202』に挑む今は、もうプレッシャーはなくて。完全新作に臨んでいくときのワクワク感や、またヤマトに乗れるという喜びで満ちあふれていますね。なのですごく単純な言葉になっちゃいますけど、今すごく気持ちが楽です。楽しみで仕方ないです。

神谷
『2202』って、すごい作品になることが宿命づけられている気がします。前作『2199』がすごく評価されたのだから。やっぱりそれには負けたくないですよね。なおかつベースとなる『さらば』は、シリーズの中で一番興行成績や評判が高い作品。そういうプレッシャーの中、それでも自分たちはこの作品を作りたいんだという思いで、スタッフは作ろうとしている。そんな作品に自分が関われているということが、猛烈に幸せです。僕が演じるのはオリジナルキャラクターだから、キーマンを通じて福井さんの意思が描かれていくだろうし。声優としてのキャリアを考えると、プレッシャーを感じるような状況、ギリギリのところに放り込まれるのって、役者としてすごくありがたいんですよね。どの作品でも気を抜いていませんけど、「ますます気抜けないな」って思います。


――最後に『2202』を楽しみにしているすべての人たちにメッセージをお願いします。

神谷
『2202』は、作るうえで恐ろしいほどいろんなハードルがあって、「それでもやります!」と答えたスタッフが作っている以上、中途半端なものは絶対にできないはずなんですよ。今後出てくるキーマンの台詞を借りて言うならば「とにかく見ろ。いいから!」ということですね。

小野
旧作からのファンの皆様にはもちろん、これからヤマトを知る新しい世代の方々にも必ず楽しんでいただける、普遍のテーマを描いた作品であると思っています。それはイコール愛。いろんな愛が描かれると思いますし、製作陣のヤマト愛も感じて頂けると思います。ヤマトが好きなキャスト、スタッフ一同がヤマト愛を注ぎ込んだ、このヤマトという艦。昔からずっと旅を続けているこの艦を、また新しい世代に渡していくような作品にもなるといいなと思っています。この愛があればそれも可能だと思っているので、ヤマト愛を感じていただければうれしいです。一緒にこの艦に乗ってください、よろしくお願いします!