1月31日に、長年在籍したボルボのワークスチームであるポールスター・シアン・レーシングを離れ、レーシングドライバーを引退すると発表したロバート・ダールグレンが、電光石火の翻意でプロ復帰と移籍を決断した。
また、あわせて長年在籍したボルボを離脱し、STCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権でセアト・ディーラーチームとして参戦するPWRレーシングと3年契約を交わしたことも明かしている。
■引退宣言から半月での撤回
昨年のSTCCではチームメイトのリチャード・ゴランソンと最終戦まで激しいタイトル争いを展開したダールグレンだが、オフシーズンに入った当初には「来季もボルボのWTCCプログラムか、新たなTCR規定マシンの開発に携わりたい。とにかく、1年間一緒に戦えることを願っている」と発言していた。
しかしポールスター・シアン・レーシングは、ダールグレンに対し母国スウェーデン北部のボルボ系列販社の統括というマネジメント職を打診。これを了承したタールグレンは、プロドライバーとして身を退く決断を下していた。
今回の発表は、その引退宣言からわずか半月足らずで行われた上、長年在籍したボルボからの離脱も重なり、ふたつの衝撃を与えている。
■ダールグレンは引退撤回理由に言明せず
「我々とロバートとの活動の可能性を繋げてくれたことに感謝したい」と語るのは、セアト・ディーラーチームを運営するPWRレーシング代表のダニエル・ハグロフ。
「今後数年間で、チームにもたらされるメリットは計り知れないものになるだろう」
「彼のレーシングドライバーの資質に加えて、チームプレーヤーとしての振る舞いはチームにポジティブな影響を与えるはずだ。ロバートとともに働けることを楽しみにしているよ」
一方、この電撃移籍を決めたダールグレン本人は、引退撤回の理由について明言は避けたものの、発表した声明文には次のように記されている。
「PWRレーシングは、現時点でSTCCにおける最強のチームだと言っていい。ともにTCR規定車両の開発と新たなSTCCの歴史を作り上げていけるのを楽しみにしている」
STCCでは、昨年までルノースポール・トロフィー向けのワンメイク車両の製作などを手がけてきたフランスのコンストラクター、ソリューションFが開発製造したワンメイクの鋼管パイプフレームシャシーに、ニスモ製V6共通エンジンを搭載したTTA規定マシンでレースを行ってきたが、今季から新たに世界中で人気のTCR規定を採用して生まれ変わる。
PWRレーシングはすでに4台のセアト・レオンTCR(カップカー準拠)のデリバリーを受けており、今後は主にダールグレンのドライブでテストを進める予定だという。
またチームメイトには、昨年ダールグレンと王座を争った元チームメイトで、昨季のSTCC王者であるリチャード・ゴランソンの加入も噂されており、PWRレーシングがボルボなき新世代のSTCCで黄金時代を築けるかどうかに注目が集まる。