ニッサン/ニスモが2013年以来、アルティマで参戦しているVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカー。同シリーズでニッサン・ワークスを率いるトッド・ケリーは千代勝正へ「いつかアルティマ・スーパーカーに乗せてみたい」とラブコールを送っている。
ニッサンGT-RニスモGT3をドライブして14年にバサースト12時間へ初参戦し、壮絶なクラッシュを経験したのち、15年には総合優勝を飾った千代。その戦いぶりは開催国オーストラリアのモータースポーツファンの間でもカルト的人気を誇っており、スタードライバーのひとりとして認知されている。
2月5日に決勝が行われた17年大会では、序盤のミッショントラブルが響き総合32位に終わったが、関係者の間でも“ハードチャージャー”として評価の高い千代に対し、ケリー兄弟の長兄トッドは「チヨをアルティマ・スーパーカーのテストに参加させようと、これまでにも何回か日程調整をしたことがある」と明かした。
「彼のスケジュールのうち、数日間でも我々のテストデーのスケジュールとあわせられないか調整したんだ。(VASCの)ルーキーテストが行われる日程まで調べたりしてね」とトッド。
「現実的には非常に難しい問題で、レースウイーク以外に我々のマシンを走らせることができる日数はとても限られている」
「しかし、我々のアルティマをドライブする機会を提供できたら、チヨがマシンを操る姿を見るのは、チームにとっても本当に素晴らしい経験になるだろうね」
VASCではシリーズ全15戦のうち、レース距離500マイル(約804キロ)を超えるイベントに対して、セカンドドライバーを起用して別タイトルを設ける“耐久カップ”制度を導入している。トッドは、その耐久カップドライバーとして千代を起用することを視野に入れているようだ。
「彼はGT3で参戦するバサーストのトラック(マウント・パノラマ)で非常に速く、もしエンデューロカップで起用できたら本当に面白いだろう」
「バサースト12時間で彼のチームメイトだったアレックス(・バンコム)は、我々のチームで耐久カップドライバーとして戦った経験がある」
「しかし、そのためには少なくとも1度か2度は、冬の間にマシンの感触を確かめてもらう必要があるだろう」
一方、千代本人もバサースト12時間での現地取材に対し「(VASCは)映像で見ていても本当に興味深いシリーズだし、いつかマシンに乗ってみたい」とコメントしている。
「このスーパーカー・シリーズのレースは本当にエキサイティングで、バサーストのようなコースがいくつも存在していて楽しそうです」
「しかし残念ながら、例年スケジュールが合わなくてスーパーGTとのバッティングが避けられません。いつの日か、アルティマに乗れるといいですよね」
今季のVASCに向けては、トッド&リックのケリー兄弟に加え、エースドライバーとして台頭著しいマイケル・カルーソが引き続きニッサン・アルティマをドライブ。さらに、新戦力として元インディカードライバーのシモーナ・デ・シルベストロがチームに加わっている。