2017年02月20日 10:14 弁護士ドットコム
配偶者が不倫している動かぬ証拠をつかんだが、夫婦が別居した後のことだったーー。こんな場合でも、裏切った配偶者や不倫相手の責任を追及したいと考える人は少なくありません。
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弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも、「別居後に、(夫に)彼女がいる事を知りお互いの家に宿泊したりしてる事を知りました」といった女性からの相談や、「別居中の妻が隠れて男とつきあっている。(相談者と)離婚したら結婚しようとしている」といった男性からの相談など、多くの悩みが寄せられています。
一般的に、離婚協議中で別居していたとしても、配偶者以外の異性と交際した場合、慰謝料などを請求される可能性はあるのでしょうか。男女の法律問題に詳しい橘里香弁護士に聞きました。
芸能人の方に限らず、不貞に関する相談は増加傾向にあります。昔と違い、昨今は、権利意識も高まり、きちんと相手に責任をとって欲しいと望む方が増えてきているのでしょう。不貞に伴う法的責任について正しく理解し、慎重に行動することが大切です。
別居して離婚協議中である状態で、配偶者以外の方と交際に至った場合、不貞行為として法的責任を負うかどうかは、不貞行為に及んだ時点で「婚姻関係が破綻していたと評価できるかどうか」によります。
「別居」は、婚姻が破綻していること推認させる大きな事情といえますが、別居しているからといって、婚姻関係が破綻しているとは一概には言えません。たとえば、単身赴任や一方的別居など、別居にも様々なかたちがあるからです。
法的には、婚姻関係が破綻しているかどうかは、別居の有無だけでなく、その経緯や当事者の修復の意欲、交流状況など、様々な事情を総合的に考慮し、婚姻関係が修復できる可能性があるかなどの観点から総合的に判断されます。
判例の中には、離婚を希望して、別居し、離婚調停を申し立てた後、不貞関係に至った事案でも責任が認められているものもあります。
つまり、別居後であっても、婚姻関係の破綻前であれば、妻が不貞相手に慰謝料請求を行うことは可能です。逆に、婚姻関係が破綻した後であれば、「婚姻共同生活の平穏の維持」という権利または法的保護に値する利益を侵害したとは言えないことから慰謝料の請求は認められないことになります。
また、交際相手からは、既に婚姻関係は破綻していると聞いて交際を開始したが、実際は破綻しておらず、慰謝料の請求を受けたという場合でも、安易に信じたことに過失が認められれば、損害賠償責任が生じますので、注意が必要です。
やはり、離婚成立前の交際は慎重になった方が良いでしょう。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
橘 里香(たちばな・りか)弁護士
沖縄県那覇市出身。1979年生まれ。
メンタルケア心理士の資格を持ち、「相談しやすさ」「話しやすさ」に定評がある。離婚・相続といった家事事件を専門とし、これまで数多くの事件を解決に導いている。
事務所名:弁護士法人新潟第一法律事務所 新潟事務所
事務所URL:http://www.n-daiichi-law.gr.jp/