F1サスペンションシステムの合法性をめぐる騒動を解決する最もシンプルな方法はアクティブサスペンションの復活であると、F1チームの大半が考えていることが分かった。
昨年末にフェラーリが、空力パフォーマンス向上の効果を持つプリロード・サスペンションシステムの合法性をFIAに問い合わせた後、チーム間で論議したものの見解の統一は見られなかった。そのため、FIAは、2月27日から始まるバルセロナでの最初のオフシーズンテストの前までに、サスペンションに関する現在のレギュレーションをチームに対して明確にすることを検討しているものとみられている
この問題について、4つの解決案がマクラーレンの作成した文書を元に検討されている。そのうちのひとつが1994年シーズンから禁止されているアクティブサスペンションの復活だ。
変更の規模の大きさから、仮にチームとFIAが合意したとしても、実際にレギュレーションの変更が施行されるのは早くても2018年になる見込みだ。
アクティブサスペンションがF1を技術的に「21世紀へと移行させる」ことになると見る向きもあるが、復活案にはアクチュエータの標準化によりコストのかかる技術戦争を防ぐ狙いが盛り込まれている。
アクティブサスペンションを復活させる場合は、2014年のメルセデスの提案をベースに検討を進めていくことになるかもしれない。これは縦方向と横方向の動きを電子的に制御できる、4チャンネルシステムを特徴とするものだ。
ふたつめの選択肢は、空力プラットフォームに影響を及ぼすために設計されたパッシブシステムを禁止するために、サスペンション関連のレギュレーションを厳格化することである。
これはフェラーリの提案が元になっており、アクティブサスペンションを禁止する、元々の決定をより厳密に解釈するというもので、これにより空力の影響について定めたテクニカルレギュレーション第3条14の修正が必要になると思われる。
3番目の選択肢は、サスペンションシステムに関して、空力の影響を定めるテクニカルレギュレーションの適用を除外することである。
それにより、空力プラットフォームを制御するためにデザインされたパッシブシステムを使用できるようになるが、FRIC(Front to Rear InterConnected=前後の相互連結)サスペンションのようなシステムを禁止することができなくなるだろう。
この案は特定のシステムの合法性についての疑問を除外することができるが、高いコストがかけられるようになる懸念がある。
4番目の選択肢は、既存のレギュレーションを保持するというものだ。ただしFIAはコンプライアンスを徹底するためにさらに厳しいチェックを行い、各チームはそれぞれのサスペンションデザインについて説明した文書の提出を求められることになるものと思われる。
これら4つの選択肢が現在行われている議論のベースとなり、今年のレギュレーションの解釈と、2018年の大幅な変更の可能性を方向付けていくことになりそうだ。