CDをつるしても、ゴミ置き場にネットをかけても、カラスは学習してゴミを荒らす。もはや人間とカラスの知恵比べと言っても過言でもない。中々有効な対策が見つからない中、「カラスに挨拶をしたらゴミを荒らさなくなった」というツイートが話題となっている。
投稿者は以前、「カラスに挨拶などをすると仲間と思って悪さやゴミ荒らしをしなくなる」というツイートを見つけた。それ以来、家の周りのカラスに挨拶をするようになったという。
「『おはよー!』とか『よっ』とか手を振ったりとかしてたら、本当にウチと両隣りの家のゴミ荒らさなくなった。ちょっと離れた家のゴミは容赦なく荒らす」
効果はてきめん。カラスは、投稿者が変装をした姿も認識するらしい。挨拶するときは「あくまで同格、という風に」するのもポイントのようだ。
1~2年挨拶し続け「近頃では、挨拶をすると鳴き声で返してきますよ」
このツイートはトゥギャッターでもまとめられ、はてなブックマークにも多くのコメントが寄せられた。多くの人が「カラスは頭がいい」と思っているようだ。また、
「カラスのおでこ大好きなんじゃー!かわええ」
「こういうの好き。信じる信じないとか言うより、その平和な感じが」
と、カラスのかわいさやツイートの雰囲気にほのぼのする人もいた。似たような話は意外とあるようで、ヤフー知恵袋にも次のような書き込みがあった。
「毎日カラスに挨拶をし続けた(1~2年)結果…見事に、いたずらが無くなりました。近頃では、挨拶をすると鳴き声で返してきますよ」
「人間に敵意がないと分かっての行為かもしれない」
実際、「カラスに挨拶をする」ことがゴミを荒らし対策になるのだろうか。NPO法人札幌カラス研究会の中村眞樹子代表はキャリコネニュースの取材に「ツイートでは情報が少なすぎるため、見解のひとつとして受け止めてもらえば」と述べた上で、次のように語った。
「実際にこのような報告を受けたことがある。論文やデータがないので断定できないが、人間に敵意がないと分かっての行為かもしれない」
現に中村代表がよく挨拶するカラスは、近くに飛んできてじっと見てくることもあるという。ただ、毎日挨拶するのは大変だ。そのため、
「カラスは視覚で食べ物を認識しているので、対策をするならゴミ置き場のゴミにブルーシートをかけた上で重石を置くのがいいですね」
と語った。また一例として「あえてパンをあげる」人もいたそうだ。毎日エサを与えることで「ゴミ荒らし」はなくなったが、多くのカラスが来てしまう可能性もあるので推奨はしないという。
カラスに「ヤバいヤツ」認定された可能性も
一方で、宇都宮大学農学部、動物機能形態学研究室・杉田昭栄教授は少し懐疑的だ。人間側からの挨拶によって仲良くなった可能性も捨てきれないとするも、
「人間風に考えれば『仲良くなった』と考えてしまう。でも、カラスにとっては『自分に対して変な反応をする怖いもの』と感じられ、困って距離を取っているのかも」
と語る。確かに、今まで何もしてこなかった生き物が、突然「おはよー!」や「よっ」と話しかけてくると、怖い。「ヤバいヤツ」認定されてもおかしくはない。また、安易にエサを与えるのもやはりダメで、
「仲良くしようとしてエサを与えると別の問題が起こることも。距離を取っていくことが必要でしょう」
と語っていた。人間もカラスも「親しき仲にも礼儀あり」「ヤバいヤツには近づくな」という概念があると思うと、うまく共生していきたいものだ。
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