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深夜の居酒屋で「チューしよ」…同僚女性の唇を無理やり奪い、刑事事件に【傍聴記】

2017年02月18日 08:33  弁護士ドットコム

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「チューしよう」。深夜の居酒屋チェーン店で、嫌がる同僚女性にキスしたとして、都内の飲食店につとめる20代男性が強制わいせつ罪に問われた事件で、東京地裁は2月16日、懲役1年6カ月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。


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男性は飲食店店長で、女性は同じ店のアルバイト従業員。つまり、上司と部下の関係だったが、交際しているわけでなかった。むしろ、厨房などで男性とすれ違うたび身体に触れられることなどがあったため、女性は距離をおいていたという。今回、ただの「セクハラ」におさまらず、「刑事事件」にまで発展した。


●「その場の雰囲気、ノリで終わったと思っていた」

昨年初夏の事件当日、深夜遅くに店を閉めたあと、2人はほかの同僚数人と一緒に居酒屋チェーン店に入った。女性はこの日も、「男からセクハラされるかもしれない」と飲酒せずに警戒していた。だが、話題が恋愛話におよぶ中で、女性の隣にすわっていた男性は「チューしよう」と話しかけ、嫌がる女性の両手首をつかんで、強引にその唇を奪ったのだ。女性は被害届を提出した。


今年2月上旬の初公判で、検察側は「(男性のことが)好きなわけでも、付き合っているわけでもなかった」「気持ち悪かった」「年上で、バイト先の上司だったので、強く抵抗できなかった」「他のスタッフにも言いふらされた」と女性のやりきれないコメントを読み上げた。


地味な服装で出廷した男性は「大変申し訳ない気持ちがある」と反省を口にしつつ、起訴内容を全面的に認めた。しかし、「その場の雰囲気、ノリで終わったと思っていた」「言いふらしていない」などといった言い訳も繰り返した。


●裁判官「酒をやめても同じことを繰り返すんじゃないの?」

さらに男性は、犯行に及んだ経緯について「酒に飲んで気が大きくってしまった」と説明した。だが、「二度と同じことを繰り返なさない」「(再犯しないために)飲みに行く回数を減らす」と述べたことについて、裁判官は「酒をやめても同じことを繰り返すんじゃないの?」と厳しく問い詰めた。


実はこの男性、今回の犯行後、職場内で、盗撮行為もおこなっていたのだ。こちらについては現在のところ刑事事件にまで至っていない。裁判官から「盗撮も、酒に酔っ払ってやったの?」と問われると、男は「そうじゃないです・・・」「悪い気持ちはあります・・・」とボソボソとこたえた。


検察側は「犯行は卑劣で悪質だ。再犯の可能性が高い」として、懲役1年6カ月を求刑。弁護側は(1)計画性はなく、突発性の犯行だった、(2)キスは1回かぎりで、一瞬だった(3)反省している(4)離婚など社会的制裁を受けたなどとして、寛大な処分を求めていた。


(弁護士ドットコムニュース)