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WRC:2017年型WRカーで速度向上も、FIAは“速すぎる”ステージは認めない姿勢

2017年02月17日 11:42  AUTOSPORT web

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WRC第2戦スウェーデンのSS9で平均時速137キロを記録したオット・タナク(フォード・フィエスタWRC)
新たな車両規則が導入され、これまで以上に速度が増している2017年のWRC世界ラリー選手権。しかし、FIAは“速すぎる”ステージでの走行は認めない姿勢を示した。

 2月9~12日に行われたWRC第2戦スウェーデンでは、SS9でオット・タナク操る17年型マシン、フォード・フィエスタWRCが平均時速85.62マイル(約137キロ)を記録。主催者とFIAは平均速度が高すぎるとして、SS9を再走するSS12の走行をキャンセルしている。

 この1件を受けて、FIAは平均時速が80マイル(約128キロ)を超えるステージを認めないよう、レギュレーションを変更することも検討しているという。

 FIAでラリーディレクターを務めるヤルモ・マホネンは「新型WRカーが旧型マシンより速いのは分かっている。しかし、クノンで行われたSS9では16年型マシンも最高時速130キロ以上を記録していた」と説明する。

「今回のステージキャンセルで、主催者側が新しいステージを提示してきた場合、我々としてもしっかりと調査をするべきという教訓を得た」

「時速130キロを超えてしまうということは、それはステージ構成も見直すべきという知らせなんだ」

「もちろん我々としても(クノンでのステージは)速すぎたと考えている。ガイドラインを作るべきとも思ったが、それよりもレギュレーションに盛り込んでしまうべきだろう」

 また、マホネンはほかの大会主催者たちに、ラリー・スウェーデンでの1件を教訓にするよう求めている。

「ステージキャンセルは、ほかのラウンドを主催する者たちへのメッセージとしての意味合いもある。ラリーのルート設定は注意深く行ってもらいたい」

「我々としては最高時速130キロ以下のステージを求めている。しかし、私が主催者としてWRCに携わっていた時、わらで作った障害物でシケインを作りたいと思ったことは1度もなかったのも事実だ」

「彼らの事情や考えも理解できるから、私からの提案はもっと道幅が狭いルートを使うべきというシンプルなものになる」」

 なお、ドライバーからはラリー・スウェーデンでキャンセルされたSS9自体を批判する声もある。

 あるドライバーは「FIAが介入してくる前から、あのステージの面白みや見どころが理解できなかった」と明かす。

「本当にまっすぐな道だったんだ。危険な要素は一切なく、つまらないと感じるくらいだった。FIAが事前にルートをチェックしたときも、そう感じていたと思うけどね」

 マホネンによれば、今後FIAは新しく設定されたステージの調査を強化する方針だというが、それ以上に主催者側が努力するべきだとした。

「いくつかの主催者は(ステージの事前チェックに)ラリーの実戦を離れて長いドライバーを起用している。彼らには、現在のWRCがどれだけハイスピードなのか、想像もつかないだろう」