オーストラリアの人気ツーリングカーシリーズであるVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカー選手権で、今季から本格導入される『Gen2』規定を取り入れた新型『ホールデン・コモドア』のレンダリングイメージが公開された。
シリーズの前身である『V8スーパーカー』選手権では、その名の通りV8エンジン搭載の4ドアサルーンのみという規則を20年来の伝統として保持。
2013年に導入されたカー・オブ・ザ・フューチャー規定(COTF)の際に、初めて「同一マニュファクチャラー内の製造によるエンジンなら載せ替え可能」となり、ニッサンは手持ちのVK56を改良してアルティマに換装、新規参戦を果たした。
そして15年7月にアナウンスされたGen2規定では、その規制緩和を一歩進めてV6や4気筒ターボ、クーペボディでの参戦も認めるという、時勢にあわせた大幅な変革が盛り込まれている。
これにより、ホールデンも市販モデルで展開する『ホールデン・スペシャル・ビークルズ(HSV)』の技術を導入した、ダウンサイジングエンジンを搭載する可能性が出てきている。
エンジンの詳細はまだ公式には明らかにされていないが、現在ホールデンはこの新たなマシンに搭載する新型エンジンを北米で開発中と噂されており、内部関係者によれば、すでにこの数週間でダイノ・テストにかけられ、5500時間以上の開発時間を経ているという。
ホールデンが開発中の新型コモドアは18年から導入予定。実戦デビューに向け、ホールデンは新たにレッドブル・レーシング・オーストラリア(RBRA)のトリプルエイト・レースエンジニアリングをファクトリー指定し、ワークスチームとしてマシン開発を託した。
先の17年参戦発表会でRBRAのカラーを公開したチーム代表のローランド・デーンは、この数カ月で新型マシン開発の作業を進めていることを説明し、新型コモドアがGen2規定に合致していることを明かした。
「我々はこの半年ほど、18年に投入予定の新規定モデルの開発で忙しくしている」と代表のデーン。
「チーム全員、この新たなチャレンジに興奮しているし、素晴らしいルックスのマシンに仕上げるつもりだ。もちろん、パフォーマンスは損なわないようにした上でね」
ホールデンは来季からGen2規定に移行すると発表した最初のマニュファクチャラーとなったが、今後トリプルエイトはホールデンで戦うそのほかのチームに向け、マシン製造と供給の役割も担うこととなる。
スーパーカー・シリーズのテクニカル・ディレクターを務めるデイビッド・スチュアートは、このGen2規定は「テクニカルレギュレーションの劇的な見直しではなく、従来規定からの進化だ」と強調した。
「このGen2は純粋にCOTFの延長上にあり、“次世代”というものが何を目指しているのかを具現化したものだ」
「つまり、多くのマニュファクチャラーにガレージのシャッターを大きく開け放ち、V8とは異なるエンジンしか持たなくとも、レースを戦う権利を得られるようにすることだ」
「もし(4ドアサルーンとは)異なるボディ形状を持ち込みたいなら、我々にもその用意があるし、扉は開かれている。ただ、17年現在でそれを実現、実行したメーカーはまだ存在しないため、多少の調整などは必要だろう」
COTF規定では、シャシーと共通ロールケージの使用が義務付けられ、その上に独自のボディを架装することとなる。その際“エアロダイナミクス・ボックス”による採寸が行われ、空力的アドバンテージが生じないよう事前に精査される。
技術ディレクターも務めるデーンは「つまり、そのボックス内にマシンが収まり、かつ空力性能が著しく高いなどの相違がなければ、マシンが6ドアなのか、2ドアなのかは問題にならない」と語っている。
これと同様に、エンジンにもシャシー適合に向けたボックスが用意され、平均的出力と加重平均など、いくつかの指数をクリアすれば使用が許可される。