2017年02月16日 10:33 弁護士ドットコム
お金はあればあるだけ使ってしまうけど、貯めたい気持ちはあるーー。そんなタイプの人でも、強制的に給与から天引きすれば、確実にお金がたまるはずだ。それを実現するのが、財形貯蓄だ。
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事業主が金融機関と契約して、社員の給与・賞与から一定額を積み立てていく制度だが、どのような制度なのだろうか。三宅伸税理士に聞いた。
「財形とは『勤労者財産形成促進制度』の略で、今から45年前(昭和46年)に社員の財産づくりを支援するためにつくられました。財形貯蓄は目的により3種類に分かれています。
・自由に使える「一般財形貯蓄」
・マイホームの購入等のための「財形住宅貯蓄」
・年金のための「財形年金貯蓄」
企業の財形貯蓄制度導入割合は昭和60年代をピークに年々減少しており、従業員1,000人以上規模の会社で75.5%、30人~100人規模の会社では35%が導入しています(平成26年度分厚生労働省大臣官房統計情報部「就労条件総合調査」 等)。なお、導入企業のうち正社員の加入割合は平均26%で、規模の小さい会社ほどこの割合が低くなります」
どのようなメリットがあるのだろうか。
「昭和46年導入当初、財形の大きなメリットは利子等運用益の非課税でした(「一般財形貯蓄」は除く)。しかし現在のようなマイナス金利の下では、利子等の非課税による恩恵は望めません。
しかし、それでもなお大きなメリットがあります。給与天引きで自動的に差し引かれていれば、心理的ストレスが少なく貯蓄できます。貯金が苦手な人ほど、この『天引き効果』は大きいでしょう。
また、財形加入者は低い金利で融資「財形持家転貸融資制度」が受けられることもメリットです。会社によっては財形貯蓄を利用する社員に貯蓄奨励策として『給付金制度』を導入しているところもあります」
逆に、注意する点はないのだろうか。
「注意する点はあります。一般財形以外は、目的外の払い出には利子や運用益に税金が課されます。また『財形年金貯蓄」及び『財形住宅貯蓄』の加入年齢は55歳までです」
もし勤務先が財形を導入していない場合には、あきらめるしかないのだろうか。
「勤務している会社が制度として導入していなければ、財形は利用できません。しかし、その場合でも『銀行の自動積立』や『確定拠出年金』をご自身で加入することで、財形と同様コツコツ貯金のメリットを受けることができるでしょう。
たとえば、老後資金が目的であれば所得税・住民税の減税メリットが大きい『確定拠出年金』、住宅取得のためなら融資が受けられる『財形貯蓄』など、ご自身のライフプランに合わせた貯蓄の方法を選択し資産形成を推進してみてはいかがでしょうか」
【取材協力税理士】
税理士 三宅伸(みやけしん)
大阪府立大学経済学部卒業後大手リース会社勤務。仕事、育児、勉強を両立しながら大阪の税理士法人に勤務。平成26年11月堂島で三宅伸税理士事務所を開業。設立当初からクラウド会計の導入をすすめている。常にお客様の立場に立って考えお客様と共に成長していくことをモットーに相続、起業支援、介護事業支援等を軸に幅広く活動している。
事務所名 : 三宅伸税理士事務所事務所
URL: http://miyake-tax.jp/index.html
(弁護士ドットコムニュース)