2017年のMotoGP世界選手権シリーズのMoto2クラスに参戦するイデミツ・ホンダ・チーム・アジアの中上貴晶が2017年シーズンへの思いを語った。
■17年型カレックスのフィーリングは良好
16年シーズンはポールポジション1回、表彰台に4度登った中上。第8戦オランダGPでMoto2クラス初優勝を飾り、ポイントランキングでは自身最高位の6位でシリーズを終えた。
昨年11月に行われたへレステストとバレンシアテストでは17年型のカレックスシャシーを使用しトップタイムを記録。バレンシアでは16年のMoto2チャンピオン、ヨハン・ザルコが記録したサーキットベストラップを更新し速さを見せた。
「17年型シャシーは16年型よりもフィーリングが良かったです」と中上はテストを振り返った。
「ヘレスとバレンシア両方ともかなりいいタイムで走れました。(16年は)本当にいい形で終えられたので、今はまったく不安はないです」
「マシンは一次旋回がすごくよくなりました。17年型はフレームの剛性が少し上がっていて、特にフロント部分が上がっていました。自分がいきなりマシンに乗った時から第一印象がよかったです」
「タイヤに関しては、まだ(16年の)最終戦後だったので特に変わりはなかったです。昨シーズンのタイヤはハード側のアロケーションだったんですが、今シーズンは逆にソフトよりのアロケーションになると思います。なので、17年はタイムがぐっと上がると考えています」
「開幕戦までにプライベートテスト2回、ヘレスとカタールでのオフィシャルテスト2回、計4回のテストがあります。そこできちっとした土台を作っておかないと、スタートでつまずいてしまいます。なので、いろんなことに惑わされない、レベルの高い土台を作って、開幕に向けて集中して取り組んでいくだけです」
17年はチャンピオンのザルコに加え、アレックス・リンス、サム・ロウズ、ジョナス・フォルガーといったMoto2ライダーがMotoGPへ昇格していった。中上はライバルたちの昇格については「悔しさはもちろんあります」とコメント。
「特に今年でいうとMotoGPアカデミーからずっと一緒だったジョナス(・フォルガー)なんか年齢も自分より若いですし、ランキングも自分より下でしたが早々にMotoGPへ上がりました」
「15年に圧倒的速さでチャンピオンを獲ったザルコでさえ、MotoGPへ上がる条件があまり良くなかったので最終的にMoto2に残留しました。本当にこの世界はタイミングが重要だと感じましたね」
■17年シーズンのライバル
そんな速いライダーたちが抜けた17年シーズンのMoto2。17年はトーマス・ルティやフランコ・モルビデリといった速いライダーたちが残っている。いちばんのライバルについて聞くと、中上はモルビデリの名前を挙げた。
「単純に考えていちばんのライバルはモルビデリと思っています」と中上。
「ルティに関しては、すごくベテランなのでバトルに関しても結構落ち着いていますし、あまりレースをかき回すタイプではありません。もちろん速いときはスタートから逃げきるタイプなので注意はしています」
「モルビデリは、昨シーズンは終盤で5戦連続表彰台を獲得しています。日本GPでは競り負けた相手ですし、バトルにすごく強い。自分にとって彼は注意しないといけないですね」
16年の中上はMoto2のトップライダーと互角以上の戦いを見せ、世界から大きな注目を集めている。その分、17年シーズンにかける思いはかなり強いようだ。
「ランキングでいうと自分は昨シーズン6位で、上位の3人が抜けました。自分より上はルティとモルビデリのみなので、本当に単純に考えれば今年どんなに悪くてもランキング3位。いいシーズンにできるという自信がありますし、自分にとって本当にいいモチベーションになっています。一日でも早くMotoGP昇格というニュースを届けられるように精一杯努力していきます」
17年シーズンは勝負の年となる中上。今シーズンの活躍に期待したい。