長い間友人のように付き合っていた会社の同僚に、突然ゲイだとカミングアウトされたという男性が、今後の振る舞い方について悩んでいる――。
夕刊フジに寄せられたこの悩みを取り上げたのは2月3日の「5時に夢中!」(TOKYO MX)。男性は43歳で、入社以来20年付き合いのある同期同性からの、お酒の席での突然のカミングアウトだったという。(文:みゆくらけん)
「別に男だったら誰でもいいというわけじゃないよ」
その場ではお酒の勢いもあり、「ゲイでも関係ないよ」と大いに盛り上がったというが、翌日になってその同僚と今後どうやって付き合っていけばいいのかわからなくなったのだとか。複雑なその心境を男性はこう伝えている。
「頭では『良くない』と考えるのですが、どうも同性愛を生理的に受け付けることができないのです。わたしは今後どうしたらいいでしょうか?」
今、日本のLGBTの割合は7.6%(電通ダイバーシティ・ラボのLGBT調査2015より)というデータも出ており、これは13人に1人がLGBTということになる。つまり、考えている以上に身近なところにLGTBの人たちが存在しているといえるだろう。どのクラスにも、どの職場にも1人や2人はもはや普通、という感覚だ。職場の人に突然カミングアウトされるのも、珍しいことではないのかもしれない。
同性からゲイやレズビアンの告白を受けた時、ひとつ注意すべきポイントがある。それは、カミングアウトされたからといって、恋愛対象として自分に好意を持っているわけではないということだ。
番組アシスタントのミッツ・マングローブは「わりと男の人ってそのへんの回路が図々しい」とし、
「同性の友達にカミングアウトすると、自分が恋愛対象として狙われるんじゃないかと勘違いするんですけど『いや、そういうことではないですよ』と。別に男だったら誰でもいいというわけじゃないよ」
と説明した。確かに人には好みというものがある。「俺(私)狙われてる!?」と早とちって嫌悪するのはあまりに驕傲だ。
「生理的に受け付けないっていうのを『偏見だ、差別だ』言っていたら前に進まない」
ただ、その「図々しい勘違い」から生まれる嫌悪ではない、もっと生理的な部分での嫌悪に関しては、「仕方のない感情」だと話すミッツ。今後の付き合い方に戸惑う男性に理解を示し、(今後どう振る舞えばいいのかは)難しい問題だと指摘した。
「生理的に受け付けないというのを否定するのはまた不自然。生理的に嫌だなと思うのはしょうがない」
確かにこれは難しい問題だ。そして、とても繊細な問題でもある。20年来の同僚からの突然のカミングアウト。された側もビックリだが、する方もさぞかし勇気が要っただろう。心を許した大事な友人として、自分のことを理解してもらいたい。自分を隠したまま20年も接していたのは、もしかしたら本人にとってとても辛いことだったかもしれない。
思いきってカミングアウトしたはいいが、「生理的嫌悪」というどうしようもない問題に直面する場合もある。それは、ミッツのいうように、綺麗事では済まされないマイノリティ特有の"永遠の課題"かもしれない。
「生理的な違和感だったり嫌悪というものとも、マイノリティといわれている人たちはこれから上手につきあっていかないとダメだと思う。生理的に受け付けないっていうのを『偏見だ、差別だ』言っていたら前に進まないですから」
昔に比べると、テレビタレントの影響でLGBTの人たちへの偏見は薄れてきているように思う。ただ、それでも本当の意味での理解には遠い。筆者が特に感じるのは、「女性たちのゲイへの(間違った)憧れ」だ。海外ドラマ「SEX and the CITY」の影響か、いつのまにか、ゲイの友人を持つことは女たちのステイタスになっているような気がしてならない。
「ゲイ友がいる私ってイケてるでしょ?」的な。ファッション感覚でマイノリティの人を捉えるのは、絶対に何か違うと感じずにはいられない。最後にミッツはこうも伝えた。
「もちろん、一般と言われている人たちも嫌悪だったり生理的な違和感っていうものをどうやって相手に伝えるか、世の中に表していくかっていくのを考えないと、そこからまたいろんな差別が生まれてしまう」