又吉直樹の小説『火花』が映画化され、11月から全国東宝系で公開される。
『第153回芥川龍之介賞』を受賞した『火花』は、夢を抱いて漫才の世界に入るも結果を出せずにいる徳永と、強い信念を持った天才肌の先輩芸人・神谷が出会い、壁にぶつかりながらも自分の道を歩もうとする様を描いた青春物語。単行本の累計発行部数は253万部を突破しており、昨年にNetflixでドラマ化されたほか、2月26日からNHK総合でも同ドラマが放送される。
映画版の監督を務めるのは同作が3作目の長編監督作となる板尾創路。脚本は、『青い春』『ナイン・ソウルズ』などの監督作を発表している豊田利晃が板尾と共同で手掛ける。豊田が脚本のみで映画に参加するのは約20年ぶりとなり、豊田作品に多く出演している板尾からのラブコールによって実現した。
徳永役を演じるのは菅田将暉。先輩の神谷役をauのCM「三太郎」シリーズで菅田と共演している桐谷健太が演じる。菅田と桐谷は共に大阪出身。撮影前に入念な稽古を行なうことも予定されている。
さらに神谷の恋人・真樹役に木村文乃がキャスティング。また徳永とお笑いコンビ「スパークス」を結成するツッコミ担当の山下役を川谷修士(2丁拳銃)、神谷と「あほんだら」を結成するツッコミの大林役を三浦誠己が演じる。「漫才コンビのツッコミ役は、ボケ役よりも高度なお笑いの技術が要求されるため、経験者を入れたい」との板尾監督の思いから2人がキャスティングされたという。
菅田は同作への出演にあたり「お笑いがなかったら、今の僕は存在していないと思います」と明かしているほか、桐谷も「幼い頃から、人を笑かして笑顔と笑い声が生まれた時のエネルギーが大好きでしたとコメント。また板尾監督は「最終的に『スパークス』と『あほんだら』という二組の漫才コンビを誕生させ、M1グランプリに出場させたいです」と意気込みを語っている。
■菅田将暉のコメント
お笑いがなかったら、今の僕は存在していないと思います。常に芸人さんの繰り出すパンチが好きで好きで好きで好きで仕方なかった。人を笑わす、この痛みが無いと生きていけないとすら思っています。そんな自分にとって神様であり日常である芸人さんを演じるという事に物凄く怖さがあります。でも板尾さんと出会ってなんかもうどうでも良くなりました。だってこんなにおもろそうな座組。原作。そして聞いたら芸人さんあるあるだと言うじゃないですか。知りたい。そんな欲求がある事をお赦し下さい。ただ好きなものに邁進して良いと言う許可が下りたので、この度マイクスタンド一本のステージに立たせて頂きます。
映画『火花』宜しくお願いします。
■桐谷健太のコメント
幼い頃から、人を笑かして笑顔と笑い声が生まれた時のエネルギーが大好きでした。
同時にウケへんかったら…とゆう、底知れぬ恐怖を感じ、眠れない夜も何度もありました。
人に笑ってもらえる最上の喜びと、この上ない困難さ。それを生業とする芸人さんは狂気の沙汰。怪物です。そんな世界に生きようとする、愛おしい男たちの物語。役者が芸人を演じるのではなく、芸人を生きます。あーコワ。
■木村文乃のコメント
誰もが知ってる物語の、誰もがどこかで経験したことのある苦さのなかで、少しだけホッといられるような存在になれるよう、板尾監督を信じてスタッフキャストの皆さんと一歩一歩踏みしめていけたらと思っています。
■板尾創路監督のコメント
この小説を映像脚本にするのは大変苦労しました。
語りを画にして登場人物の思いを観客に届けるのが私の今回の一番の仕事だと思い半年かけて脚本を作りました。キャスティングに関しては、関西出身のドリームキャストで何の心配もしていません。最終的に「スパークス」と「あほんだら」という二組の漫才コンビを誕生させ、M1グランプリに出場させたいです。
■又吉直樹のコメント
「火花」は自分の作品ではありますが、舞台に立ったすべての芸人、それを支えてくださった多くの人達が大切に共有していた風景を、たまたま僕が書かせて貰っただけだと思っています。謙遜などではなく、むしろ大それた恥ずかしい発言かもしれませんが本気です。
その風景を子供の頃から尊敬している板尾さんに預かっていただけることが嬉くてなりません。脚本は豊田利晃さん。僕が東京で最初に好きになった大人です。キャストを聞いたときも興奮しました。菅田将暉さん、桐谷健太さん、木村文乃さん、お三方とも僕にとって色気と才気が爆発している特別な俳優さんです。そして、2丁拳銃・修士さん、俳優の三浦誠己さん。昔からお世話になっている大好きな先輩なので心強いです。なぜでしょう。
監督、脚本、俳優、優しいけれど喧嘩が強い方々ばかりが揃った印象です。ドキドキしてきました。よろしくお願いいたします。