フェラーリが合法性に関してFIAに問い合わせを行ったトリックサスペンションシステムについて、他のF1チームも加わって協議したものの、意見の一致が得られなかったことが分かった。プレシーズンテストの前に、FIAが技術指令書の形で見解をチームに通達する見込みだ。
昨年末、フェラーリはFIAに対して、新たなサスペンションシステムの導入を考えているとして、それがレギュレーションに合致したものかどうかの問い合わせを行った。今は禁止されているFRIC(フロントとリヤの相互連結サスペンションシステム)と似た効果を、フロントとリヤの物理的な接続なしに達成するシステムが、空力パフォーマンスを向上させるものであり、可動式空力パーツを禁止する規則に抵触している可能性があるのかの確認を、フェラーリは求めた。これに対しFIAのF1レースディレクター、チャーリー・ホワイティングは、フェラーリが説明したシステムはF1技術規則第3条15に反する可能性が高いとの解答を行った。
フェラーリの問い合わせの意図は、自身の開発についてというよりも、メルセデスやレッドブルといったライバルチームが開発するコンセプトの合法性に疑問を呈することであったと考えられている。
先週、各チームのテクニカルディレクターとFIAとが会合を持ち、この件についてさらなる議論を行ったといわれている。しかしサスペンションシステムに関して具体的に何を許し、何を許すべきでないのかについて、チーム間で意見の一致がみられなかったようだ。
Auto Motor und Sportの報道では、フェラーリからの疑問を支持したのは3チームのみだったということだ。
会合では、従来のサスペンションに戻る説、アクティブサスペンションへの移行、現在の油圧式コンセプトの許可などを含む、さまざまなアイデアが出たものの、チームの意見はまとまらなかった。
結局、ホワイティングが、プレシーズンテストがスタートする前に、新たな技術指令書という形で彼の見解をチームに伝えることになった。
この指令書が、チームが開発中のシステムを制限するもので、シーズン開幕直前にチームが大幅なデザイン見直しを強いられるのか、あるいは、問題となっている複雑なシステムがレギュレーションの範囲内であるという見解を示すものになるのかは、明らかになっていない。
いずれにしても、ガイドラインによって何が許されるのかが明確にされ、少なくとも27日のテストからチームがシーズン開幕に向けた調整を行えることが期待されている。
一方、ホワイティングの見解はアドバイス的な意味しか持たず、実際に合法かどうかを判断するのは各グランプリのレーススチュワードであるため、チーム間の意見に相違のあるまま開幕を迎えた場合、チームがライバルのシステムに対して抗議を行い、それがFIA国際控訴裁判所にまで持ち込まれる可能性がある。