トヨタの若手ラリードライバー育成プログラム、『TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラム』の一環として、WRC世界ラリー選手権第2戦スウェーデンのWRC2クラスに新井大輝と勝田貴元が参戦。2台揃って完走を果たした。
2015年にスタートした同プログラムはラリーで世界に挑戦する若手ドライバーの支援を目的にしたもの。総勢71名のエントリーから新井、勝田の両名が選抜され、今年からはコドライバーの足立さやかがプログラムに加わっている。
新井、勝田は、トミ・マキネン・レーシングのフォード・フィエスタR5でラリー・スウェーデンに参戦した。両名にとって世界選手権参戦は昨年夏のラリー・フィンランドに続き2度目のこと。
この大会では運転技術とペースノート作成スキルに加え、世界レベルで要求される集中力と体力のトレーニング、よりグリップ力の高いスノータイヤへの対応、タイヤのスタッドを残しながら走りきるスキルなどが試された。
新井は現地10日のデイ2で2度のパンクに見舞われたほか、デイ3ではスピンやロアアームの破損なども発生。度重なるトラブルに襲われたものの、いくつかのステージではライバル勢とそん色ないタイムを記録してみせ、クラス7位、総合19位でフィニッシュした。
「いろいろなアクシデントがありましたが、初めてWRCを完走できて嬉しいです」と新井。
「雪道とグラベルの混じった道は思った以上にタイヤへの影響が大きく、2度もスローパンクチャーに見舞われました。また、ペースノートは悪くなかったと思いますが、想像以上に路面が滑りやすく、何度かスピンもしてしまいました」
「今回の経験で、トラブルが起きたときに自分がどうすればクルマをゴールまで運べるかを考え、クルマを理解することも重要だと学びました。今後の課題を多く見つけることができた収穫の多いラリーでしたね」
勝田もデイ2にパンクや雪壁へのスタック、スピンなど、さまざまなアクシデントに遭遇したが、デイ3から一転して安定したパフォーマンスを発揮。クラス9位、総合22で大会を終えている。
また、勝田は大会名物のジャンプスポットである“コリンズ・クレスト”で、全クラスで2番目に長い42メートルの大ジャンプを披露して観客を沸かせた。
勝田は「今回も多くの点で勉強になったラリーでした」と大会を振り返る。
「スウェーデンの道は(1月末に参戦した)ラップランド・ラリーとは同じ雪道でもまったく違うものでした。雪壁が少なく、ところどころグラベルになっていて、思った以上に滑りやすかったです」
「また、WRカーが走った後の道はわだちもきつく、路面(コンディション)の変化が激しかったです。それでも日を追うごとに少しずつコツがつかめてきました」
「トラブルはたくさんありましたが、いろいろな経験をしながら走りきれたことは自信になり、次へ繋がる大きなイベントになりましたよ」
次に新井、勝田が挑む戦いは3月16~19日に行われるイタリア・ラリー選手権第1戦。両名は、ラリーチャレンジプログラムとしては、初めてターマック(舗装路)ラリーに挑む。