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外出禁止なのに自費出版の営業命令…出版社「青林堂」従業員、パワハラ訴え提訴

2017年02月13日 18:04  弁護士ドットコム

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かつて伝説的な漫画誌『ガロ』(休刊)を刊行していた出版社「青林堂」の男性社員が、職場でパワーハラスメントや嫌がらせを受けて精神疾患になったとして、会社と社長らを相手取って、計約2380万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こした。


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訴えを起こしたのは、営業職として同社に勤めていた中村基秀さん(48歳)と労働組合「東京管理職ユニオン」。訴状などによると、中村さんは2014年6月、営業職として入社。職場で若手社員に対するパワハラが横行していたことなどから、職場環境を改善するため、東京管理職ユニオンの支部を結成したところ、同年12月に解雇された。


和解成立を経て、中村さんは2015年10月、復職したが、PCを与えられてもネットやプリンターへの接続が許されず、外出も禁じられたという。中村さん側は「それにもかかわらず、自費出版の営業を命じられ、『成果が出ていない』といった人格否定の発言やパワーハラスメントを繰り返し受けた」と主張している。中村さんは2016年2月、精神疾患(適応障害)の診断を受けて、現在休職している。


提訴後、原告側は、東京・霞が関の厚生労働省記者クラブで会見を開いて、当時の会話をおさめた録音テープを公開した。中村さんは「忘れたいけど、忘れられない。はっきりと決着をつけて、事件を終わらせて、次にすすんでいきたい。パワハラで苦しんでいる人のヒントになるようなたたかいにしたい」と話した。


青林堂は「当社従業員である中村基秀氏から当社宛に提訴がされたとの件につきまして、当社では未だ訴状を受け取っておりませんので、コメントは差し控えます」としている。


(弁護士ドットコムニュース)