カルロス・サインツJr.は、今シーズン刷新されるF1マシンの要求に応えられるよう、冬季の身体トレーニングの時間を2倍に増やしたという。
2017年のF1マシンはボディとタイヤ幅が拡大しており、ダウンフォースの増加によってコーナリングスピードも向上する。これに耐えるため、ドライバーたちはトレーニング体制を強化している。サインツJr.は来季に向けたトレーニングについて、以下のように語っている。
「マシンは以前よりドライビングが難しくなるだろうから、昨シーズンの終わりまでのトレーニング方法は役に立たなくなる。通常の50分(のクロスフィットセッション)ではなく、グランプリと同じ時間の90分から120分間、行っている」
「つまり心拍数が1分間に180から190の状態で、前よりも長い時間のトレーニングをしていることになる。そうしたセッションに加えて、ボクシングや有酸素運動も取り入れている。すべての方法を常に行うことで、持久力を上げるんだ」
以前、2017年のF1は身体的に若手に有利だと述べていたサインツJr.は、体重を4キロ増やし70kgにした。トレーナーは首と肩の筋肉増強に特に焦点を置いており、首の筋肉を鍛えるため、特定の位置にウエイトを付けたヘルメットを使用してゴーカートに乗るトレーニングも行う。サインツJr.はトレーニングの内容を、次のように話した。
「僕たちはふたつの方法で首を鍛えている。ひとつめは、ジムで首にウエイトをつけて、引っ張ったり重さに耐えたりするトレーニングだ。これはコース上での動きにとてもよく似ていて、加速のGに耐えるためのもの。ふたつめは特別なゴーカートに乗ることで、これは週に2、3回行っている。ウエイトによって、ヘルメットは1.5キロから2キロ重くなる。これがF1マシンの中で耐えるGの再現になる」
フォース・インディアに加入したエステバン・オコンは、マシンの要求に耐えられるよう、トレーニングキャンプの期間を2週間から2カ月に延長。ハースのドライバーとなったケビン・マグヌッセンは、トレーニングに集中するため、休暇は出かけずにデンマークの自宅で過ごしている。
「マシンはドライビングが非常に難しくなるだろうから、ハードなトレーニングをするモチベーションは極めて高い。トレーニングによって大きな違いが出るんじゃないかと感じているんだ。トレーニングといっても、ただ2時間自転車をこいだりトレッドミルの上を走ったりするんじゃない。本当にきついトレーニングだ」とマグヌッセン。
マクラーレンのストフェル・バンドーンは、「シミュレーターでは正確にGの負荷を再現することはできない。ということは冬の間にたくさんトレーニングをして、予測される状況に備えなければいけない」と言う。マシンに乗ってみるまでは正確な予想ができないため、ドライバーはできるだけハードなトレーニングで備えるべきというのが、バンドーンの意見だ。