2016年のMotoGPチャンピオン、マルク・マルケスは、17年のセパンテストで浮き彫りになったホンダのエンジンと制御系の問題に関しては昨年ほど危惧していないと語っている。
ホンダは、16年シーズンのオフテストで強力なパワーを持つエンジンと共通ECU(エンジン・コントロール・ユニット)の組み合わせを試したが、想定した成果を得られずに苦しんだ。
16年のカタールテストで一定の進歩が見られ、開幕戦カタールGPではマルケスが表彰台を獲得した。しかし、ホンダの加速力不足の問題は解消されず、17年に向けてはまったく新しいエンジン理論へと発想の転換を余儀なくされる。
17年に入り、先日セパンで行われたオフィシャルテストでは1日目にマルケスが3番手に入るなど競争力は向上したものの、悩まされた電子制御の問題についてはエンジンのどの部分に特化して改善すべきか明確な視点のないままに終わってしまった。
「16年シーズンの僕たちは、今よりも上位陣からはずっと遠い位置にいたし、僕自身もすごく悩んでいた」とマルケスはセパンテスト後に語っている。
「16年の今ごろは、僕は問題点すら把握できていなかった。でも今はどこに課題があるのかチームとして理解できているんだ」
「ただ、結論を出すのは違うサーキットで走ってからだね。マレーシアのサーキットは他とは異なる」
「セパンのコンディションは独特なんだ。本当に暖かい。15年にも、セパン(のオフィシャルテスト)ではすごく速く走れたのに、他のサーキットではものすごく苦労したことを覚えている」
マルケスは、2月15日からフィリップアイランドで行われる2回目のオフィシャルテストでタイムを大幅に縮めるのではなく、一歩ずつでも確実に進化することが大事だと考えているようだ。
またマルケスによれば、セパンでテストされた2種類のエンジンは「ほぼ同じ」ラップタイムを出しているものの、そのうちひとつがほぼ最大限までポテンシャルを発揮できているのに対して、もうひとつはホンダの現行の電子制御系に連動しきれていないとも語っている。
「まったく違うふたつのマシンを試したんだが、タイムはほぼ一緒だった」
「そのうちのひとつでは性能を限界まで引き出せたが、もうひとつの方はまだポテンシャルも改善の余地もあるね」
「つまり、ひとつの方はもうリミットまで性能は引き出せたから、これ以上伸ばすのは難しいという感じだ。もうひとつの方はトルクが大きい分、改善の余地があると思うんだ」
「だけど、今はまず方向性をどちらかに定める必要がある」