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“AKB48選抜”が抱える課題ーー小嶋陽菜の卒業作メンバーから考える

2017年02月10日 18:13  リアルサウンド

リアルサウンド

AKB48 8th ALBUM『サムネイル』Type A

 AKB48が、47thシングル『シュートサイン』の選抜メンバーを発表した。


(参考:AKB48メンバーが本気で恐れるアイドルとは? 渡辺麻友「AKB48全員を集めても敵わない」


 表題曲は同作をもってグループを卒業する1期生メンバー・小嶋陽菜がセンターを務めるほか、大西桃香、山本彩加(NMB48)、吉田朱里(NMB48)がAKB48名義のシングルとしては初選抜入りを果たしている。


 選抜メンバーは前作から10名増で32名の大所帯となり、姉妹グループのメンバーも多く含まれている同曲。このラインナップについて、リアルサウンドでAKB48系の記事を多数執筆し、『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う(青弓社ライブラリー)』の著者でもある香月孝史氏はまず、今作の位置付けについてこう定義する。


「今回の『シュートサイン』は小嶋さん卒業作の表題曲ではあるものの、“卒業曲”としての楽曲は別途カップリングに収録されており、『シュートサイン』はドラマ『豆腐プロレス』(テレビ朝日系)の主題歌としての側面が強い一曲です。選抜メンバーも、前作『ハイテンション』から卒業した島崎遥香さんを除く全員が引き続き登板し、姉妹グループからも多くのメンバーが起用されており、小嶋さん卒業という一点に集中するというよりは、様々な要素を含んだ一曲といえるでしょう」


 そんなラインナップにおいて、同氏はNMB48メンバーの抜擢に注目したいと語る。


「NMB48はもともとタレント性の高いメンバーの多いグループですが、これまでの活動では山本彩以外はそこまで全国にリーチしていなかった印象です。グループ内で活躍し、センターも経験している白間や、NMB48最新作で選抜に大抜擢された山本彩加、YouTuberとしての活動でグループのファン以外を獲得しつつある吉田などが、今作を通してどこまでアプローチできるのか気になります」


 続けて、姉妹グループからメンバーが起用されることの多い、ここ数年のAKB48選抜が抱える課題についてこう指摘する。


「かつてはあくまでAKB48としての選抜メンバーが選定され、そこにプラスアルファの要素として姉妹グループから数名入るかたちだったものが、現在は増加する各姉妹グループからエース格が入るのは当たり前で、加えてそれら姉妹グループの期待株が入るという構成になっています。いくつもの視点が一つのシングル内に集約されるので、それぞれのグループのファンから観ても『100%満足する』という状態になりえないのが現在のAKB選抜。いわば今は、AKB48のシングル表題曲が“48グループ全体の表題曲”となっているわけですが、NGT48もその対象になり、今年はさらにSTU48が増えることを考えると、よりAKB48所属の若手メンバーに焦点が当たりづらくなってしまうことは確かです」


 そんな状況を打破できるのは、今回初選抜の大西を含み、ここ数作で選抜に起用されることの多いAKB48チーム8メンバーなのではないかと同氏は推察する。


「今回は小栗さんと大西さんが選抜メンバー入りを果たしましたが、チーム8自体は単独で冠番組を複数持つなど、選抜かどうかのみに左右されない体制を作りつつあるように思います。先日から舞台公演を行なっている乃木坂46の3期生が似たような動きをしていることからも、総合プロデューサーである秋元康氏が『独立させたチームを作る』という育成方法を試みているという見方もできます。これらの動き如何で今後のAKB48が決まるといっても過言ではないため、チーム8とAKB48本体、それぞれの動向を合わせて注視していきたいですね」


 あらためて“AKB48選抜”の持つ意味を考えさせられた、今回の47thシングル表題曲メンバー。小嶋陽菜卒業後のAKB48は今後、どのようにしてこの課題を打破することができるのか。


(編集部)