パワーユニットのマニュファクチャラーにとって燃料はレースにおける重要な要素だ。レッドブルがトタルからエクソンモービルへ燃料を変更したことで、2017年のチャンピオンシップ争いは新たな局面を迎えることになる。
メルセデスとペトロナスはF1のベンチマークとなっているが、レッドブルはエクソンモービルとの新たな関係により変化はすぐに訪れると示唆している。
昨年12月、レッドブルはエクソンモービルにサプライヤー変更することを発表した。エクソンモービルは、長年マクラーレンとパートナーシップを結んでいた会社だ。
エクソンモービルのグローバルモータースポーツ技術マネージャーであるブルース・クローリーは、レッドブルとのパートナーシップがすばやく形になったのは、これまでメルセデスとホンダの両方にターボV6エンジン向けの製品を供給し、様々なエンジンで仕事をした幅広い経験があったからだと述べた。
「幸先のいいスタートを切ったと思うよ。燃料とパワーユニットのパッケージは競争上の優位性がある。プログラムの初期結果にはかなり満足しているが、今後もさらなる改善を目指していく」
「レッドブルでの課題は、我々の潤滑油と燃料に対してパワーユニットがどこまで求めてくるかを見極めることだ」
「我々はF1で35年以上の経験があるので、エンジン設計が次第に変化していくのをたくさん見てきた」
「レッドブルが我々と仕事をすることに興味を持ったのは、パフォーマンス向上をもたらす実績があるからだ」
「彼らは今シーズン、タイトルを獲得することに高い関心を持っている。鍵となるのは技術面でのパートナーシップであり、我々は彼らに優れたパフォーマンスをもたらすためにここにいるわけだ」
昨年、レッドブルとエクソンモービルは技術面のプランについて話し合いを始めたが、商業的守秘義務とルノーのパワーユニット改造による実用上の制限があり、適切な動的テストが行えるのは数週間に限定されていることが分かった。
「もし6カ月くらい時間があったら良かったが、我々の開発プログラムはとても短い期間に詰め込まれたので、初日にはデータのない状態でスタートした。大きな挑戦だった」とクローリーは付け加えた。
「データを非常に重視するので、新しいプログラムの始めるには、過去の経験や初日の理論的評価がどれだけ良かったかといったことを手がかりにする。どこから始めるかをはじき出し、進むべき方向性をはっきり描くためだ」
クローリーはオーストラリアGPに向けて燃料と潤滑油の初期ロットがすでに海上貨物として出発しているが、残りのシーズンに必要なものを微調整するために、プレシーズンテストの縛りがあることで大変になるだろうと語った。
エクソンモービルの製品がどれだけ変更してきたのかを聞かれクローリーは次のように答えた。
「今取り組んでいる新しいパワーユニットが必要としているものは、ホンダとの仕事で慣れ親しんだものとは違うし、ホンダのパワーユニットはメルセデスのパワーユニットとは異なっていた」
「これは我々にとってV6ハイブリッド時代における3基目のパワーユニットだ。3基すべてが異なっているのはそれほど驚く事ではない。なぜならパワーユニットはすべて、異なった解決策やメカニカルデザイン、素材が採用されているからだ」
「こうしたすべての要素が潤滑油と燃料組成にかなり大きな影響を与えている。実際、それらがすべて同じだったら私は驚いただろうね」