2017年02月10日 10:23 弁護士ドットコム
始業時間が10時なのに、毎朝9時30分に出勤している方が「これは違法として訴えられるものですよね」と、Yomiuri Onlineの「発言小町」に質問を寄せました。トピ主によれば、10時までの30分間は、「社内清掃と朝礼」をしており、9時30分に「遅れると『遅刻扱い』です。給料も引かれます」。ところが、9時30分に出勤しても、この30分間の給料は支払われていないそうです。
【関連記事:月1での性交渉に満足しない夫「プロを呼ぶから別居したい」】
入社面接の際、「当社は営業が10:00からですが、お客様を迎える準備のために9:30から出勤してもらっています」と言われていました。ただ「合格した時は就職難で困っていたので」、そのまま入社してしまったそうです。
レスには、似たような経験を投稿し、「中小企業にはこんなところまだまだたくさんあるんでしょうね」とも嘆く方もいました。
トピ主さんが言うように、30分間の無給労働は「違法」なのでしょうか?太田 伸二弁護士に聞きました。
(この質問は、発言小町に寄せられた投稿をもとに、大手小町編集部と弁護士ドットコムライフ編集部が再構成したものです。トピ「毎日30分早く出勤する義務。」は、こちら(http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2017/0111/790491.htm?g=15)
●立派な時間外労働、「早出残業」です
トピ主さんの職場は始業時間が10時ですから、9時30分から10時までの間に働いた分は「時間外労働」になります。始業時間前の時間外労働は「早出残業」と呼ばれています。
トピ主さんが行っている社内清掃や朝礼は、会社の指示で業務として行っているものですから、そのための時間は労働時間に当たります。また例えば、事業所内で着替えることを義務づけられているような場合には、制服への着替えなどの時間も、労働時間に当たります。
労働者が時間外労働を行った場合、会社はそれに対して残業代を支払う義務があります。トピ主さんの会社がこの30分間の分の残業代を払っていないとしたら「違法」です。
また、10時始業にもかかわらず、9時30分に出勤していないことを「遅刻扱い」して給料を減額することは許されません。
未払いの残業代や違法にカットされた給料については、2年前の分まで遡って請求することができます。退職してからでも残業代請求はできますが、残業時間の証拠を集めやすいのは在職中です。今すぐ残業代請求をするつもりまではない方でも、どのような証拠を残せばいいかについて、弁護士に一度相談してみてはどうでしょうか。
【取材協力弁護士】
太田 伸二(おおた・しんじ)弁護士
2009年弁護士登録。新62期。ブラック企業対策仙台弁護団事務局長、ブラック企業被害対策弁護団副事務局長、日本労働弁護団全国常任幹事。
事務所名:新里・鈴木法律事務所
事務所名:新里・鈴木法律事務所