長年ボルボのワークスドライバーとして、地元スウェーデンを中心としたSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権を筆頭に、WTCC世界ツーリングカー選手権やVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーなどに参戦した名手、ロバート・ダールグレンが2017年1月31日をもってレーシングドライバーとしてのキャリアを終える決断を下した。
今後はモータースポーツの現場を離れ、母国スウェーデン北部地域のボルボ・ディーラーの統括を担うマネジメント職に就任する。
今年で37歳を迎えるベテランは、昨年のSTCCで最終戦までタイトル争いを展開。ボルボのワークスチームであるポールスター・シアン・レーシングのTTA規定S60でチームメイトのリチャード・ゴランソンと激しいバトルを展開し、ファイナルラップの残り数メートルで惜しくも初戴冠を逃していた。
また並行してWTCCにもポールスターの同僚であるテッド・ビョークをサポートする形で3ラウンドにスポット参戦。ボルボS60ポールスターTC1のステアリングも握っていた。
ボルボ・ワークスは2017年に向けWTCCに3台のマシンを投入する計画を進めており、ダールグレンもオフシーズン中から、シートを得たいと表明。周囲からもレギュラーの最有力候補とみなされていたが、ここへきて一転。ダールグレン加入の可能性が消滅することとなった。
「この決断は、本当に一瞬の出来事のように突然のことだったんだ」と、振り返るダールグレン。
「僕は電話を受け、チームやボルボ首脳陣との会合に招かれた。そこで(ボルボ販売店のマネージャー職という)刺激的な打診を受け、その場ですぐに“イエス”と答えていた」
「心から納得して決断を下したんだ。『そんな重要なことを即断するなんて驚きだ』と言ってくれる人もいたけど、その後もしばらく決断について考えてみたけれど、今でも機会が来たらそれを取るのが正しいと感じているよ」
これを受けて、WTCCチームは先日行ったS60ポールスターTC1のテストに昨年引退を決めたイバン・ミューラーを起用。その後、TC1規定2年目のフルシーズンに向け2月27日に体制発表を行うとアナウンスした。
04年以来、一貫してボルボでレースを戦ってきたダールグレンだが、「すでに、いくつかオファーの電話を受けている」としながら、当面は新たな職務に集中したいと話した。
「すべてのレースを辞めるのは間違いないが、まずは新しい仕事で何が起きるかを理解し、深く職務に没頭する必要がある」
「その(習熟の)スピードが早ければ、次のことを考えられるかもしれないけどね」
昨季までパイプフレームにV6ミドシップの独自規定マシンを使用してきたSTCCは、既報のとおり今季から新たにTCR規定へとスイッチ。タイトルを連覇してきた完成度の高い旧規定S60は、新たにGT3カテゴリーとの混走でスウェディッシュGTにエントリー。ポールスターがオペレーションを担当することとなっている。