アゼルバイジャンのバクー・シティ・サーキットでのグランプリ主催者が、初開催の2016年は、ドライバーたちが初体験のコースに慎重にアプローチした結果、面白みを欠くレース展開になったが、今年はそうはならないと語った。また、今年はル・マン24時間レースとの日程がぶつかっていないこともプラスに働くと予想している。
昨年6月、F1ヨーロッパGPと共にバクーのストリートサーキットで行われたGP2の決勝では、第1レース開始早々のターン1で多重クラッシュが発生、その影響で半数近くのマシンがリタイア。2回のレースの中で、事故が相次ぎ、セーフティカーが何度も出動、リタイアが多数出る、波乱の展開になった。
そのため、F1の決勝にも同様に番狂わせを期待する声が高まったが、セーフティカーも出動せず、アクシデントによるリタイアも一台もないまま、51周のレースは平穏に終わった。
レース後、優勝したニコ・ロズベルグは、F1ドライバーたちはGP2の大混乱のレースを見て、そこから学んだのだと語った。
アゼルバイジャンのGP主催者、アリフ・ラヒモフは、ロシアGPを引き合いに出して、2017年のレースではドライバーたちがより積極的な走りを見せるはずだと示唆した。ソチでのロシアGPは初開催の2014年には波乱のないレースとなったが、翌2015年には比較的エキサイティングな展開になった。
「ソチのロシアGPが良い例だ」とラヒモフはロンドンを訪問中に語った。
「ソチの1年目は面白くなかった。アクシデントも何もなかった」
「コースが退屈だと言っているわけではない。素晴らしいコースだ。だが、1年目のレースは、変動のないレースになった。我々のケースと同じだ」
「(ロシアでは)翌年は素晴らしいショーが見られた」
「(コースの問題というよりも)ドライバーたちの自信の問題なのだ」
「ドライバーたちは、昨年、(バクーでの)初のレースを経験した。それによって自信を深めたら、今後はもっと面白くなっていくだろう」、
「(バクーは)とても厳しいコースだ。ここではミスは一切許されない」
「(そういう意味で)ここには素晴らしいショーを披露できる、大きなポテンシャルがある」
2017年には名称が「ヨーロッパGP」から「アゼルバイジャンGP」へと変更され、日程も昨年と異なり、ル・マン24時間レースとのバッティングを避ける形で調整された。
「(今年は)アゼルバイジャンのレースにもっとメディアと観客を呼び込むことができる。いいことだよ」とラヒモフは言う。
「昨年、大勢の人々が(バクーの)レースがどういうものなのかを見るチャンスを得た。我々はさまざまな国の多数の観客を引き付けることができたのだ」
「(今年は)観客がふたつのレースのどちらを見るか、選ばずに済むのでよかったと思う」
「プレス関係者にとって、ル・マンはビッグイベントだ。多数のメディアがどちらかのレースを選ばなければならなかった。だが今年はその必要がなくなる」
ラヒモフによると、バクーのレースへの関心は増しているようで、「昨年の同時期の5倍のチケット」が売れているということだ。
「地元の人々も、レースがどういうものなのかを知り、理解した上で(チケットを)買い求めている。彼らは(サーキットに)行きたくてたまらないんだ」