元F1ドライバーで、FIAが統括するシングルシーター委員会の委員長を務めていたゲルハルト・ベルガーは、イギリスを拠点とする多くのチームがヨーロピアンF3から撤退し、エントリー台数が激減している現状について「悲しい」と述べた。
ベルガーは2012年に復活した現在のヨーロピアンF3の基盤を作った功労者とされている。委員長の座をフェラーリF1の元チーム代表、ステファノ・ドメニカリに譲った直後の15年シーズンには、シリーズはじつに35台ものエントリーを集める盛況ぶりを誇った。
だが、現時点で17年シーズンにエントリーを表明しているのはわずかに5チームで、参加台数は18台から20台ほどになってしまう可能性がささやかれている。
15年シーズンに参戦していたイギリスのチームであるフォーテック・モータースポーツ、チーム・ウエストテック、そしてダブルRレーシングの3チームは、16年シーズンのエントリーを取り止め、マカオGPで山下健太を起用し4位に入賞したTスポーツは参戦する意向はあるものの、17年のドライバー探しに奔走中という状況だ。
「なぜヨーロピアンF3が弱体化しているのか、詳しいことは分からない。どうして多くのチームとドライバーを失ってしまったのだろうか?」とベルガーは述べる。
「私は常にイギリスのチームが求めていることに対し、敏感に行動していた。参加台数を集めるのに苦労していたイギリスF3の存続に反対したときのように、少し意見が食い違うときがあったとしてもね」
「だが、シングルシーターの核となるのはこれまでも、これからもイギリスのチームだ。そして、カーリンを除く彼らは、“フォーミュラ”(活動方針)を換えたようだ」
「私は常々、彼ら(イギリスのチーム)が選手権に必要だと訴え続けてきた。だが、彼らはもうここにはいない。痛ましいよ。選手権やチームが置かれている状況を、情を込め、親身に助けたいが、それにはあまりにも多くの時間が必要だ。そして、机の上は他にやるべきことでいっぱいなんだ」
ベルガーは、ヨーロピアンF3のエントリーが大きく減少した原因をピンポイントで指摘することは困難だと付け加えた。
「エントリーが短期間でここまで激減したということは、正しくない“何か”があるのだろう。だが、他に注力すべきことがある現在の私の立場上、強い物言いは避けるべきだし、FIAがなにを失ったかは言い難い」と述べた。