2月9~12日に行われるWRC世界ラリー選手権の第2戦スウェーデンに向け、参戦するドライバーたちが意気込みを語った。
WRC唯一のオールスノーラリーとなるラリー・スウェーデンは、1973年に初めてシリーズに組み込まれた。ステージは雪と氷に覆われているが、スタッド付きタイヤが凍結した地面に食い込むことで高いグリップ力を発揮。そのためシリーズでも屈指の高速イベントとなっている。
ドライバーたちはコースサイドにある雪壁も利用しながらコーナーを駆け抜けるほか、現地11日(土)にはジャンプの名物スポット、“コリンズ・クレスト”を通過するなど、ラリーならではの迫力ある戦いが繰り広げられる。
2月7日時点の暫定エントリーリストで、最上位クラスには全15台がエントリー。Mスポーツ、ヒュンダイ、シトロエン、トヨタの4チームに加え、プライベーターとしてマッズ・オストベルグ(フォード・フィエスタWRC)やヘニング・ソルベルグ(フォード・フィエスタWRC)らがエントリーしている。
また、ワークス勢のうち、シトロエンのステファン・ルフェーブルとクレイグ・ブリーンがマシンをスイッチ。ルフェーブルが16年仕様のシトロエンDS3 WRCで、ブリーンが17年型C3 WRCで実戦デビューを果たす。
WRC2クラスにはTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムに参加している新井大輝、勝田貴元の2名がフォード・フィエスタR5で参戦する。
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■Mスポーツ
●セバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)
「第1戦モンテカルロで最高のスタートを切ることができたけれど、浮かれている暇はない。第2戦スウェーデンも特殊なイベントだし、やるべきことは山積みだ」
「毎年、ラリー・スウェーデンは楽しみながら戦っているよ。雪と氷に覆われたステージを驚くような速さで駆け抜けるんだからね。特に今年はマシンも変わって、さらにスピードは上がりそうだ」
「少しのミスも許されないだろうから、ドライビングに高い精度が求められることになる。ほんのわずかな差が順位に大きく影響するから、1秒たりともロスできない」
「2戦連続で表彰台に上がることができたら、シーズンの走り出しとしては最高だし、自信は充分にある。もちろん、目標達成にはハードワークが必要だけどね」
「まだ、ライバルたちのポテンシャルを100%把握できていないけど、見応えがある超接近戦になることを期待しているよ」
●オット・タナク(フォード・フィエスタWRC)
「第2戦スウェーデンを戦うことを楽しみにしている。シリーズ屈指の高速イベントで、アドレナリンも出るから、好きなラリーのひとつなんだ。特に今年はよりパワフルなマシンで挑むわけだから、より特別な1戦になると思う」
「設定されるステージも平均速度が高く、流れるように走れるから、ドライブしていて楽しいんだ。いいリズムをつかむためにもリラックスしながら、集中して臨まなくてはね」
「1番重要なのは、いい感触を持ちながらクリーンに走ること。今のところ、天候も僕たちの予想通りになりそうだから、タイム向上に利用できる雪壁も多くなりそうだ」
「タイムを出せるラインが限られている点がもっともチャレンジングな要素だろう。特に新雪の上ではラインに乗っていないと、あっという間にグリップしなくなってしまうからね」
「早くマシンをドライブしたくてたまらない。今回もいい結果を残せるだけのポテンシャルがあると思っているよ」
■ヒュンダイ/ヒュンダイ・モータースポーツ
●ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)
「第2戦スウェーデンは、とにかく特殊なイベントだ。スタッド付きのスノータイヤで走る唯一のラリーだからね」
「より多くの経験が求められる1戦でもある。これまで何度も上位争いを繰り広げてきたイベントだから、自信を持って戦いに臨める」
●ダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)
「路面コンディションが理想とするものになっていれば、楽しみながら戦えるイベントなんだ」
「走り込むほど平均速度が上がっていく。今回もいい成績を残すべく、(総合4位でフィニッシュした)ラリー・モンテカルロと同じくプッシュしていく」
●ヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20クーペWRC)
「まるで“冬の夢の国”のようなラリーなんだ。スピードも速いしジャンピングスポットも多いから、僕も好きなイベントだよ」
「雪の上を疾走する感覚や雪壁を利用しながらの走行は、ほかのイベントでは体験できないものだ」
■シトロエン/シトロエン・レーシング
●クリス・ミーク(シトロエンC3 WRC)
「第1戦モンテカルロは想定外の結果に終わった。だから、僕やチームは100%の自信をもって第2戦スウェーデンに挑むとは断言できない。ただ、開幕戦で学んだことを活かして、より強力になっているはずだ」
「シーズンは始まったばかりだし、まずは僕の好きなイベントに参加できることを喜びたいね。本来であれば、ラリー・スウェーデンでの目標は優勝だと言いたいけれど、現実的には天候に左右される要素が多いんだ」
「開幕までに雪が積もってくれれば、競技初日の出走順は理想的だ。しかし、気温が下がらず、雪や氷が溶けてしまうと、そのアドバンテージは減少することになる」
「いずれにせよ、ベストを尽くすよ」
●ステファン・ルフェーブル(シトロエンDS3 WRC)
「僕にとって第2戦スウェーデンは、もっとも学ぶべきことが多いイベントだ。2年前に1度だけ出場したことしかなく、当時はシトロエンDS3 R5での参戦だったからね。だから、今回は旧型スペックのマシン(DS3 WRC)をドライブすることに、一切不満は感じていないよ」
「プレッシャーのかからない状況になるから、とにかく自分のペースで進歩していきたい。僕の目標は不本意な結果だった第1戦モンテカルロから復調することだ」
「ラリー・スウェーデンのリザルトについて、具体的な目標を置くことは難しいけど、少しでもポイントを持ち帰ることを念頭に戦うつもりだ」
●クレイグ・ブリーン(シトロエンC3 WRC)
「シトロエンC3 WRCを操り、ライバルとバトルを繰り広げられると思うと嬉しいよ。ずっと待ち望んでいたから、早くスタートして欲しいよ」
「ラリー・スウェーデンは、僕が初めてシトロエンからWRCに参戦したイベントだから、思い出深くもある」
「スウェーデンの路面コンディションや雪壁に囲まれた状況では、小さなミスが大きなタイムロスに繋がりにくいんだ。だから、より自信を持って攻めることができる。どんな結果を想像すればいいかは見当がつかないけれど、とにかくチャレンジし続けるよ」
■トヨタ/TOYOTA GAZOO Racing
●ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)
「ラリー・スウェーデンは、2008年に最初に勝利したラリーで、とても良い思い出があるけれど、当時と状況は異なるだろう」
「クリスマス前、そして先週雪上テストを実施し、その間にもクルマの改善を重ねることができた。今年の我々の目標は、開発を着実に続けることだから、そういった観点でも良かったと思っているよ」
「第1戦モンテカルロでは期待以上の成績を収めることができたけれど、我々は新しいチームで、新しいプロジェクトに取り組んでいるから、スウェーデンでも同じ結果を得られるとは思っていない」
「現時点で、スウェーデンは暖かいと聞いているから、昨年同様の難しいコンディションになると思う。ただ、気温が下がり雪が増えれば、ベストな走りを披露できると思うよ」
●ユホ・ハンニネン(トヨタ・ヤリスWRC)
「良いセットアップをみつけるために、3日間雪上テストを実施した。第1戦モンテカルロでは、ラリーが始まる前に、良いセットアップをみつけてマシンに自信をもって臨むことができた」
「モンテカルロでは多くのことを学んだけれど、ラリー・スウェーデンは(コンディションが)まったく違うラリーだから、初めから学んでいかなければならない」
「テストでは、実際に走ることになるであろう少し荒れた路面のコースを使うことができた。クルマの挙動を確認できたし、タイヤからスタッドが外れた際のシミュレーションなども行ったよ」
「ラリー・スウェーデン自体は、私がもっとも多く経験しているラリーのひとつで、モンテカルロに比べるとタイヤの選択もシンプルだから、楽しみにしている。今回もアプローチを変えることなく、一歩ずつ学ぶ姿勢で取り組みたいと考えている」