2017年02月07日 17:33 弁護士ドットコム
受託収賄などの罪に問われて、最高裁に上告している岐阜県美濃加茂市の藤井浩人市長が2月7日、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いた。藤井市長は「逮捕・起訴の時点から、一切事実にないことに巻き込まれてことがすすんできた。最高裁では正しい判断をしてもらえると信じている」と述べた。
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藤井市長は、市の浄水プラント導入をめぐって、業者から現金30万円を受け取ったとして、受託収賄などの罪に問われていた。一審の名古屋地裁では無罪判決を受けたが、二審の名古屋高裁で逆転有罪判決を言い渡されていた(懲役1年6月、執行猶予3年、追徴金30万円)。市長側は最高裁に上告している。
藤井市長は市民の信を問いたいとして辞職し、今年1月に投開票された美濃加茂市長選で再選を果たした。だが、5月には任期満了にともなう市長選がふたたび実施される予定だ。さらに、もし在任中に有罪が確定した場合、失職してしまう。こうした不安定な立場におかれながら、市長を続けることについて、藤井市長は会見で「公務は公務として、しっかりと切り離す」と説明した。
藤井市長はさらに、「無実である人間を罪に陥れることができ、場合によっては有罪にすることができる現状が、日本にあるということ。まだまだ修正・改善していかなければいけない課題があるということを身をもって知ることができた」と話した。
上告にあたって、藤井市長の弁護団には、新たに3人の弁護人が加わった(計9人)。今回新しく加わったのは、原田國男弁護士、喜田村洋一弁護士、吉峯耕平弁護士の3人。主任弁護人の郷原信郎弁護士は会見で「上告審にむけて最高の弁護団の体制にすることができた」と強調した。
弁護団は、二審判決について「実質的に心証だけで一審無罪判決をくつがえして有罪にした」と批判している。そのうえで、最高裁では、(1)二審で、新しい証拠が示されず、さらに被告人質問をおこなわないまま逆転有罪判決を下したことは手続き違反であること、(2)二審の事実認定は間違っていることなどを主張していくという。
(弁護士ドットコムニュース)