僕は性格の悪いオタクを、もう30年以上やっている。金にモノを言わせて、古今東西の欲しいグッズを蒐集しては、ガラスケースに収蔵している。
オタクになる人間というものは、大概子どもの頃から何かのジャンルに、強烈に執着をしてしまっている。僕の場合は特撮に対する気持ちの熱量が完全にオーバーヒートしている子どもだったので、おっさんになってもいまだに冷めることができないでいる。(文:松本ミゾレ)
『巫女』『霊力』『異世界』が出てくる作品はオタクになりやすい?
さて、先日「ガールズちゃんねる」に「幼少期にふれたら、高確率でオタクになるだろう漫画」というトピックが立っていた。投稿者は現役のオタク女子。
「小さい時、『カードキャプターさくら』を読んでオタク街道まっしぐらで中二病にもかかりました! 他にも、『巫女』『霊力』『異世界』『タイムスリップ』みたいな単語がたくさんでてくる作品はオタクになりやすい気がします。ちなみに私は、社会人になって結婚して今でも漫画が大好きです」
子ども時代に親しんだものが、その後の人生にも大きな影響を与えることがある。この女性は、「カードキャプターさくら」をきっかけに、オタクとしての人生を歩むこととなったというわけだ。
特に多感な子どもにとっては、異世界だの巫女だのという記号は、比較的受け入れられやすい。現実の世界とはちょっとだけ違うエッセンスに、色々と想像力が掻き立てられることもあるだろう。
CLAMP作品にハマり、中二病になってしまった人も
このトピックには、様々な女性の意見が書き込まれている。オタクになってしまったきっかけの漫画作品について、具体例を挙げる書き込みも結構あり、「ローゼンメイデン」や「犬夜叉」「NARUTO」「幽遊白書」「聖闘士星矢」「鋼の錬金術師」あたりが出ていた。
小学校高学年のときにCLAMPの「X」にハマっていたという人は、それがきっかけでオタクと腐女子の道を歩むことになった。アラサーになった今も妄想ファンタジーの世界にふけっているのだそうだ。
「私の右腕には産まれながらに魔の紋様が刻まれていて、素肌を晒すと魔力が発動してしまうので常に長袖を着ていなければいけないという設定です」
大好きな作品に心酔しすぎてちょっとおかしなことになっている方もいるみたいだけど、それもひっくるめて名作の持つ影響力は凄まじい。
そういえば、知人の女性編集者にも「カードキャプターさくら」ファンが2人ぐらいいるし、色んなグッズを買い集めていると聞いたことがある。
僕は「忍者キャプター」は観たことがあるが、こっちの方はてんで知識がないので詳しくは語れないんだけど、調べてみるといまだに新しいグッズもリリースされているという。かつて観ていた女性たちが社会人になって、自由に使えるお金を持ったことを、グッズを販売する側はしっかりと理解しているということだろう。
同じような話は、「セーラームーン」にも当てはまるようだ。ここ数年はかつて原作、アニメを観ていた人向けに商品がいくつも販売されているが、これが案外好評のようだ。
漫画で言えば、最近ではかつて連載されていた少年コミックの続編が、WEB上で配信されることも増えてきた。子どもの頃に読んでいた漫画を、当時の作者が帰ってきて続きを執筆するというのだから凄い時代である。
連載終了から20年近く経っていた漫画の新刊が出るというケースもしばしば見かけるし、それにあわせてグッズも展開されている。それだけ日本のオタクたちは、一つの作品に対して持続的な熱量を注げるということなのだろう。一つの作品が、長い間ファンを掴んで離さないというのは、なかなか素晴らしい話である。
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