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つわりで「傷病手当」がもらえる場合も…「働く妊婦さん」の身体を守る法律

2017年02月07日 10:43  弁護士ドットコム

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妊娠した女性の多くが悩まされる「つわり」。インターネット上の掲示板「ガールズちゃんねる」には、症状が重いために仕事を長期間休んだ人、人手不足で体調が悪くても休めなかった人などから、つわりの辛さを訴えるコメントが多数寄せられています。


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「妊娠4ヶ月です。 3ヶ月に入る前からつわりが始まり、その頃は動けない程だったのでその時から仕事を休んでいますが、気づけば2ヶ月も休んでしまっています」


「私のとこは人数ぎりぎりで回してたので休むに休めず( .. ) トイレにこもりっきりが多かったです。それでも休んでいいよなどの言葉はなかったです」


「つわりが酷すぎて起きることができず、4日連続で休んでしまいました。その後出勤したけど体調悪く、横になりつつフラフラ状態。結局切迫流産になり、今は2週間自宅安静でお休みしてますが、これも正社員で福利厚生がしっかりしてるからできることだと改めて感謝してます。パートさんとかだとなかなか長期で休むのは難しいですよね...」


中には、つわりがひどくて「7キロ以上痩せた」というコメントも。妊娠中の体調には個人差があるものですが、体調不良で長期間休まざるを得ない人もいます。


つわりで会社を休むことは法的に認められないのでしょうか。また、休む場合の給与や手当はどうなるのでしょうか。森田梨沙弁護士に聞きました。


●医師の指示で会社は休業を認めなければならない

男女雇用機会均等法(以下「均等法」といいます)第13条及びこれを受けた指針によると、妊娠中の女性労働者が、健康診査などで医師などから指導を受けた場合は、その女性労働者が受けた指導を守れるよう、会社は必要な措置を講じなければならないとされています。具体的には、「時差出勤」、「休憩時間の延長」、「休業」といった措置です。


そのため、有給休暇を使い切った後も、つわりが酷く、医師が休業を指示したような場合には、会社は医師が指示した期間の休業を認めなければなりません。


会社が休業を請求したことを理由に、解雇その他の不利益な取り扱いをすることは、均等法上禁止されています。なお、休業期間中は、会社に有給の休業制度がある場合を除き、法律上給与の支払いを請求することはできません。


●「母性健康管理指導事項連絡カード」の利用を

つわりの場合でも、安静にする必要ありと医師が診断したような時には、傷病手当を受け取ることができます。傷病手当の申請書には医師の意見を記入する欄がありますので、主治医の先生に作成を依頼しましょう。傷病手当は、正社員だけでなく、健康保険の被保険者であれば、要件を満たせば誰でも受け取ることができます。


職場の人手不足のために、つわりがひどくても仕事を休めない人もいるようですが、先ほども述べた通り、医師が休業の指示をしているにもかかわらず会社がこれを認めないことは、均等法第13条に反します。


厚生労働省は、医師の指示を正確に会社に伝えるため、「母性健康管理指導事項連絡カード」(http://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/josei/hourei/20000401-25-1.htm)(母子健康手帳に掲載されていることが多いようです)の利用を促していますので、こういった様式を利用し、休業を認めてもらえるよう会社に相談してみましょう。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
森田 梨沙(もりた・りさ)弁護士
中小企業法務、労働案件、一般民事(交通事故、不動産、離婚事件他)など幅広く手掛ける。事案の早期解決及び予防法務の観点から、依頼者と密なコミュニケーションをとることを常に心がけている。趣味はゴルフと漫画。
事務所名:共進総合法律事務所
事務所URL:http://www.kyoshin-law.com/index.html