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『A LIFE』熱演で話題、木村文乃の個性は“強すぎない”点にあり?

2017年02月06日 21:52  リアルサウンド

リアルサウンド

(c)TBS

 木村拓哉主演ドラマ『A LIFE~愛しき人~』(TBS)にて、先週末に放送された第4話を機に注目を集めたのが、主人公・沖田一光(木村拓哉)と同じ病院に勤めるオペナース・柴田由紀役を演じている木村文乃だ。


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 木村文乃扮する柴田由紀は、仕事以外のことには関心が薄く、どこか冷めた性格で普段はあまり感情を表に出さないキャラクター。看護師としての腕は、天才外科医の沖田が相棒にしたいと評価するほど優秀なのだが、これまでに積み上げてきた努力と技術力の高さを自負しているため、同僚や周囲の人間に対して反抗的な態度を取ってしまうことが少なくない。


 柴田の過去や考え方が浮き彫りになった第4話では、彼女の気難しい性格と同時に、隠されたチャーミングな一面が描かれ話題になった。中でも、松山ケンイチ扮する井川颯太と浜辺を歩くシーンで見せた、怒りを吐き出した後で照れくさそうに「お腹すいた!」とワガママを言う姿は、多くの視聴者を惹きつけたようだ。


 木村文乃の女優としての魅力を、ライターの磯部正和氏は次のように語る。


「木村文乃さんは、どちらかと言えばフェミニンな空気を醸し出すようなビジュアルを持ちながらも、サバサバした役柄を演じることが多いです。記者会見やインタビューでの言動を見ていると、ご本人も割とさっぱりとした性格をしているようなので、“持ち前の整った見た目とのギャップ”や“何にも媚びていない佇まい”が、老若男女を問わずに支持を得ているんだと思います。また、それらが嫌味なく自然とにじみ出てきているところも、好感を得ている理由のひとつでしょう。サバサバしているという点では、天海祐希さんや米倉涼子さん、吉田羊さんのように、芯がある強い女性のイメージで世の中から支持されている方々と通じるものがあります。クール系のパブリックイメージを持つ方は、恋愛メインの派手な作品よりもお仕事系の作品にハマる傾向が強く、木村さんも『サイレーン』の刑事役や『A LIFE』の看護師役でその特徴が活かされているといえます」


 また、彼女独自の特徴として、“強くあろうと努力するキャラクター”がハマる役者だと解説する。


「先ほど天海さんや米倉さんやを例にあげましたが、強いキャラがそこまで飛び抜けていないところが、木村さんの役者としての強みとも言えます。今回演じている役柄にも表れていますが、すべてを完璧にこなすヒロインではなく、ヒロインを目指して努力を重ねる役がハマっている。強そうだけどどこか隙のある感じが、芝居にも緩急を生みますし、視聴者も共感できるのでは。逆に、強すぎるキャラには憧れはしても、共感できないことはよくあることです。番手の都合上、いままではメインキャラを支える側の役が多いですが、主演が回ってきた時にどのようにキャラクターを演じていくのかが、女優としての次の勝負どころになるのかもしれません」


 天才医師や病院の副院長、難病を患うヒロインなどの個性豊かな登場人物が並ぶ中、視聴者側の視点に最も近く、コンプレックスとの向き合い方も含めて、共感されやすいキャラクターが柴田なのかもしれない。第4話の最後には、ヒロインの壇上深冬(竹内結子)に対して、ライバル宣言とも取れるような発言をしていた柴田。これから先、彼女はどのようにドラマをかき乱していくのだろうか。(泉夏音)