BTCCイギリス・ツーリングカー選手権に復帰する名門ボクスホール・ワークス。そのエースドライバーとして自身も久しぶりの母国選手権参戦を決めたトム・チルトンは、初年度の展望を「開幕戦でポイントを獲得できれば満足」だと明かした。
2009年にトリプルエイト・レーシングのオペレーションでシーズンを戦ったのを最後に、BTCCから退いていたボクスホールだが、17年シーズンにワークスマシンとして新型アストラの投入を発表。パワーマックス・レーシングとのジョイントで選手権復帰を決めた。
そのチームのエースに就任したチルトンは、2012年からWTCC世界ツーリングカー選手権に参戦。5シーズンを戦ったのち、今季はセバスチャン・ローブ・レーシングのシトロエンCエリーゼWTCCと、BTCCの新型アストラをドライブすることが決定。ふたつのツーリングカーシリーズで"ダブル・チャンピオンシップ"を狙うこととなる。
チームは新型アストラの完成を2月中旬と定めているが、3月にドニントンパークで行われる公式プレシーズンテストを前に、プライベートテストの日程はわずか2日間のみの予定。チルトンは「まだクルマを試してもいないから難しいけど」と前置きしつつ、シーズンへの期待をあまり高く持たない方がいいだろう、と語った。
「マシンはグリッド上で最短のホイールベースとなっているから、(開幕戦の)ブランズハッチのようなサーキットではチャンスはある」と、チルトン。
「予定している2日間のテストがウエットでないこと、忙しくなりすぎないことを願っている。コストを抑えるために、僕らの専有ではなく通常のトラックデイ(走行会)のスケジュールを利用するからね」
このテストがウエットになり、トラブル多発で時間を取られた場合、ブランズハッチへの希望を捨てなければならないと語るチルトン。開幕戦のリザルトはあまり高く目標設定すべきでない、と慎重な姿勢をみせる。
「もしスペインで2週間のプライベートテストができるなら、トップ6に入る自信はある。しかし、トラックデイの2日間のみで初戦に挑むことになるからトップ15が現実的な目標だろう」
「その状態で、世界でも最高峰のツーリングカー・ドライバーたちを相手に、まったくの新車で戦わなくてはならないわけだからね」
また、09年当時とは違い共通サブフレームを軸とするNGTC規定を採用するBTCCでは、「昔のように大きなアドバンテージを得るのは難しい」とも分析する。
「かつてのトリプルエイトでは、エンジニアがつねに新パーツを設計していたし、僕らも数多くのテストをこなしていた。そのコストはすべてホクスホールが負担してね」と回想するチルトン。
「でも、現行のNGTC規定では誰もが同じサブフレームと、それに伴って同じサスペンションを使用しなければならないルールだ。エンジンまで共通部品の用意がある」
「本当にわずかな部分でしか差異が生まれないから、例えばスバル(・レヴォーグ)のようにボクサーエンジンのデフを(FR化して)取り払い、ブロックを低重心かつ車体中央に寄せる、といった離れ業が必要なんだ」