2月5日、オーストラリアのマウント・パノラマ・サーキットで『リキモリ・バサースト12時間レース』が開催され、ポールポジションからスタートしたマラネロ・モータースポーツのトニ・バイランダー/クレイグ・ロウンデス/ジェイミー・ウインカップ組55号車フェラーリ488 GT3が優勝した。
インターコンチネンタルGTチャレンジ開幕戦として開催されるバサースト12時間は近年、ヨーロッパの自動車メーカーが注力するレースとなり、今年も多くの強豪チーム、ワークスドライバーがエントリーした。
夜明け前の5日午前5時45分にスタートが切られた決勝レースは、スタート直後に3番手に浮上した8号車ベントレー・コンチネンタルGT3がパンク、予選10番手から上位を狙う23号車ニッサンGT-RニスモGT3はミッショントラブル、スタートから2時間目前で首位に立っていた911号車ポルシェ911 GT3 Rは操舵系トラブルに見舞われるなど、序盤から有力チームが相次いで優勝争いから脱落する波乱の展開となった。
ポールポジションからスタートしたマラネロ・モータースポートの88号車フェラーリ488も順調とは言えず、トニ・バイランダーが首位で迎えた1回目のリスタート時に、禁止されているウェービングを行ったとして序盤にドライブスルーペナルティを受ける。
また、3時間を過ぎたころにはふたたび首位に浮上していたが4度目のリスタート時に、最終コーナーで2番手を走るSTM/HTPモータースポート22号車メルセデスAMG GT3のクレイグ・ベアードにイン側から追突されスピン。コーナー外側のグラベルにスタックしてしまう。
その後レースが中盤から終盤に移ると、優勝争いはアクシデントに見舞われながらもスピードとストラテジーによって三度上位に浮上してきた88号車フェラーリ488と22号車AMGの2台に絞られた。
残り1時間を迎え、88号車フェラーリのジェイミー・ウインカップが最後のピットインを行い、タイヤ交換と給油のフルサービスでコースに復帰する。一方、シェイン・バン・ギスバーゲン駆る22号車AMGはスプラッシュ&ゴーでコースに戻ることでラスト44分の時点で逆転に成功する。
しかし、タイヤを交換したウインカップがすぐさまバン・ギスバーゲンに追いつくとバックストレートで並びかけ右側二輪をダートに落としながらオーバーテイクを決めた。残り時間35分で88号車フェラーリが首位の座を取り戻し、その後は危なげない走りでトップチェッカーを受けた。
戦略が実らず2番手に下がってしまった22号車AMGは、その後も歯車が噛み合わず、バン・ギスバーゲンが残り30分というところで下位クラスのマシンに追突し、相手マシンをクラッシュさせてしまう。
この一件で22号車AMGにはドライブスルーペナルティの裁定が出るが、ペナルティを履行する直前にまさかのクラッシュ。チェッカーを目前にしてリタイアとなってしまった。
これによって3番手を走っていたコンペティション・モータースポーツ・パワード・バイ・アイスブレーク12号車ポルシェがプロ・アマクラス優勝とともに総合2位表彰台を獲得。また3位にはベントレー・チームMスポーツの17号車ベントレー・コンチネンタルGT3が入っている。
「今日の優勝はビギナーズラックだったかもね」と語るのは、自身初めてのGTカーレースでトップチェッカーを受けたジェイミー・ウインカップ。
「チーム一丸となって戦ったマラネロ・モータースポートと、素晴らしいパフォーマンスをみせたチームメイトに感謝するよ」
2位表彰台を逃すクラッシュを喫したバン・ギスバーゲンは「ミスをした自分自身に腹が立っている」とコメント。
「オーバーテイクを許した後もジェイミー(・ウインカップ)についていけると思ったが、僕はミスを犯しクルマを壊してしまった。100パーセント僕の責任だ。チームとチームメイトに謝罪したい」
「優勝したフェラーリを祝福するよ。彼らは素晴らしい仕事をした」
15年以来2年ぶりの総合優勝を目指し、2台体制でレースに挑んだニッサン・モータースポーツは、バサースト初参戦のヤン・マーデンボローらが駆る24号車GT-Rが中盤まで上位勢の一角として健闘する。レースをリードする場面も多く見られたが、7時間過ぎにミッショントラブルに見舞われ、優勝争いから脱落。最終的に2周遅れの8位完走を果たした。
千代勝正らがドライブする23号車も、レース序盤にミッショントラブルを抱えて戦線離脱を余儀なくされた。修復後にレース復帰を果たすが、32位完走という結果に終わっている。