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憧れの湘南暮らしの不都合な真実 「塩害で自転車が錆びだらけ」「海鳥のフンでベランダ真っ白」

2017年02月05日 10:42  キャリコネニュース

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どこか南国のリゾートのような雰囲気が漂いながら、比較的都心へのアクセスも良い神奈川県の相模原湾沿岸に広がる湘南エリア。昨今、退職後の完全移住者から、ウィークデイは都心で週末だけ湘南の戸建で過ごすという人まで"湘南移住"を考えている人が急増しているという。

"湘南スタイル"なるライフスタイルに憧れる地方からの移住者も多く、中には都内よりもあえて湘南という選択をする人も少なくないらしい。

しかし、実際に生活してみると、漠然とした憧れやイメージではわからない、海と街が共存する地域特有の苦労も多いそうだ。地元住民たちの声や不動産関係者の証言から、リアルな湘南暮らしの実態を探ってみた。(文:伊藤綾)

エアコンの室外機が壊れやすいという話も

「湘南って"多摩"みたいに広い区域で、定義も曖昧なので一概に言えない部分はあると思いますけど」と前置きした上で語るのは茅ヶ崎に在住のAさん。

「私はやっぱり海の近くに住んでいるので、夜は暴走族が多くてうるさかったですね。夏の花火大会があるとポイ捨てが多くて家の自転車のカゴがゴミだらけみたいな感じになっていることも珍しくないです。隙間から家の中に砂も入ってきますし、肌も乾燥しやすい」

しかし、湘南で何よりも顕著に感じるのが"塩害"だという。

「自転車が錆びやすいというのは、湘南という海に近い地域のあるあるでしょうね。私の地域だと新品でも数日で錆び始めて数か月で錆びだらけになってしまいますね」

今では安物のママチャリも屋内で保管しているらしいが、近所ではエアコンの室外機がすぐに壊れてしまうという話も聞いたことがあるという。

「海に近ければ近いほど塩害は深刻になります。確かに屋根のない屋外で雨曝しにしておくと、自転車の鉄の部分は本当にすぐ錆びて困るって声は多いです」とは、JR鎌倉駅界隈の不動産を取り扱う不動産関係者の言。

「東京から移住してきた人だと、こういった塩害や慢性的な渋滞も相まって、なるべく駅の近くに住んで、車を持たないまま生活するという人も最近は少なくないです」(前述の不動産業者)

洗濯物は室内物干し、外に干すと塩がつく

辻堂に住むBさんも次のように語る。

「だから、お金持ちの家とかだとガレージがあって、その上に家がある感じのが多いですよね。塩害は高台まで上がればかなり軽減できるみたいですが、戸建なら塗料など塩害対策はそれぞれしていると思います。それでも普通の家と違って頻繁に窓掃除したり、年に数回はホースで家を洗ったりする手間は当たり前と思ったほうが良いのではないでしょうか」

屋根部分は雨で塩が流されるので意外と平気だというが、軒下やポーチなど、雨が当たりにくいところが錆びるという。

「あと、湘南暮らしと聞いて僕が意外と想像してなかったのは、極端なやつは海鳥のフンですね……。知人の家はベランダから海が見えるんですけど、そこに巣を作られちゃっていつも真っ白になるくらいフンを落とされるって、困っていましたよ」

また、「移り住んだ直後は『洗濯物が乾きにくいし塩がつく』って奥さんはよく言っていましたね」とBさんが述懐するように、季節や風向きなどによってもだいぶ差があるにしろ、洗濯物は基本的に室内干しという家は多いそうだ。

「海のそばに暮らす」という大きな魅力があることは事実だが、実際に生活する上ではこれらの苦労をしっかりと引き受ける覚悟が必要とされるだろう。

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