節分といえば豆まきだが、近年、恵方巻を食べるという風習も全国に広まりつつある。しかしこの新しい風習の裏では、コンビニやスーパーの店員が販売のノルマを課せられ、買い取りを強要されるという事態が相次いでいる。
「強制ではない、というけど絶対買わなきゃいけない空気がある」
今年の初め頃から、ツイッター上には、恵方巻のノルマを課せられたというツイートが投稿され始めていた。
「うちのアルバイト先も『1人予約ノルマ〇本!不足分払いたくなかったら予約取れ!』って張り紙貼ってあるわ」
「恵方巻今年はノルマができてしまいました…助けてください」
今年の1月にとある大手コンビニでアルバイトを始めたという人は初日から16本のノルマを課されたといい、「という事で恵方巻買って頂ける方 DMかLINEで連絡下さい!!」と投稿。新人だろうとお構いなしだ。
また、「恵方巻きだけじゃなく毎シーズン買い取り強要あるんだよなぁ~『強制ではないんだけど』って言うけど、絶対買わなきゃいけない半強制の空気があるんだよなぁ~」という投稿もあった。明確に買い取りを強要されなくても、買わざるをえない雰囲気に呑まれて、嫌々自腹を切っているという人も多いことがうかがえる。
他にも、現役のコンビニ店員である男性は、店舗から「恵方巻き取りに来るの忘れてますよ。買わなかったら給料天引きされますよ」というメッセージが来たと報告していた。もし給料からの天引きとなれば、労働基準法違反だ。
コンビニ本社とフランチャイズ店の力関係も影響か
首都圏青年ユニオンの山田事務局長によると、やはり今年も恵方巻のノルマについての相談が寄せられているという。
「買い取りを強要されるだけでなく、『どれくらい売ることができるのか』と従業員が強く圧力をかけられることもあるようです。また店舗の外で恵方巻を売るときに寒くて仕方がないという声も聞きます」
近年では、NHKでも報道されるなど、社会問題としての認知が広がっている。それでも恵方巻のノルマがなくならないのはなぜなのか。
「コンビニチェーンの本社とフランチャイズの関係はブラックボックスになっています。本社は、表向きは、各店舗にノルマを課してはいないと言っていますが、本当なのかどうかわかりません。販売の割り当てがある可能性もありますし、今年はどれくらい仕入れることができるのかと圧力を掛けている可能性もあります」
個々人が自衛するためにはどうずればよいのか。
「買い取りの強要は違法だということを認識してください。『買い取りをするかどうかは任意』だと言われることもあるかもしれませんが、職場には力関係があり、『任意』と言っても『強要』になってしまいます。もし買い取りを迫られたら、労働組合に相談して下さい」