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水曜日のカンパネラが目指す、自由なエンターテインメント「“祝祭を担当した人”ぐらいの立ち位置にいたい」

2017年02月03日 18:03  リアルサウンド

リアルサウンド

水曜日のカンパネラ(撮影=外林健太)

 主演で歌唱担当のコムアイと楽曲制作を手掛けるケンモチヒデフミ、それ以外を担当するDir.Fによる3人組、水曜日のカンパネラがメジャー1stフルアルバム『SUPERMAN』を完成させた。2016年6月リリースの『UMA』以降メジャー・レーベルに活動拠点を移し、ファッション誌や各地のフェス、TV番組出演を含むボーダーレスな活動を活発化させてきた3人が、世界情勢がひっ迫する現代に焦点を当てたのは、武力ではなく文化を用いて新しい時代を切り開いた過去の偉人たち。CD版とUSB版の2種類が用意された全編には、「坂本龍馬」や「チャップリン」、ガーナの創造神「オニャンコポン」、日本創世記の神話をモチーフにした「アマノウズメ」まで、情報過多のエクストリームとも言える魅力的な世界が広がっている。今回はコムアイとケンモチヒデフミに、作品の内容やメジャー・デビュー以降の変化、そして様々な境界線を横断する彼女たちのエンターテインメントについて訊いた。(杉山仁)


(関連記事:水曜日のカンパネラはライブ・エンタテインメントの新基準を示したーー『未確認ツアー』レポート


・「上手く表現することに徹した」(コムアイ)


ーー今回のタイトルは『SUPERMAN』ですが、ここにはどんな意味が込められているんですか?


コムアイ:これは結構前に決めた話で、デジタルシングル『SUPERKID』を出す頃には、もう『SUPERMAN』にしようと思っていたんですよ。その中から数曲出すということで、EPの名前が『SUPERKID』(『SUPERMAN』の子供)になりました。でも、『SUPERMAN』に決まるまでは結構迷いましたね。アルバムのテーマを考え始めたのも結構前で……。


ーー前作『ジパング』だと、コムアイさんが鉄工所で開催されたレイブに遊びに行って、そこから鉱石が人の手を介してシルクロードを渡っていくようなイメージが生まれました。


コムアイ:今回は……何だろう。能面とか?


ーー能面ですか?


コムアイ:私は2016年の1月頃、仕事をほぼお休みして大学の卒論を書いていて、そこで能を調べていたんですよ。そうしたらすごく面白くて。能は「現実の世界にどうやってこの世のものではないものを出現させるか」という芸術で、そのスキルが高ければ高いほど「いい能」とされているんです。それをどうやって作るのかを具体的に説明している本を読んでいたら、能には「翁」という面があって、一番格が高い演目もそれを使っているということを知って。しかも、他の面は怖かったりおどろおどろしかったりするのに、「翁」の面は目がへの字で、ちょっとほにょほにょしてるんですよ(笑)。つまり、温かさで人を包み込んだり、「何があっても大丈夫だ」と感じさせるような面だったんです。今回のアルバムは、曲を作る前から「そういうアルバムになったらいいな」と思っていました。


ーーそれがどんな風に『SUPERMAN』というタイトルに繋がっていくんでしょうね?


コムアイ:まずはそれで、色んな文化人を曲名にしたいと思ったんですよ。これまでもそういう曲はありましたけど、今回はいつもよりそこを意識したというか。「坂本龍馬」や「チャップリン」もそうだし、本当はキング牧師も入れようと思ったんですけど、今回は「文化の力」や「戦うこと以外で世の中を切り開いたり、イマジネーションを授けるような存在」をフィーチャーしたかったんです。


ーーつまり、水曜日のカンパネラにとってのスーパーマンは、アメコミ・ヒーローのように拳を使って戦うのではなくて、「文化を用いて戦う存在」だということですね。


コムアイ:そうそう。それに、「私たち自身がスーパーマンだ」と言っているわけではないんですよ。スーパーマンは2016年の日本にはいないけど、いつか出て来てくれると思うし、それならその瞬間に立ち会いたい、ということで。今回はそういう人を応援するような気持ちで歌いました。だから「グッズを作りましょう」という話になっても、いわゆる「ザ・スーパーマン」な雰囲気の赤と青のイメージや、シンボルのようなものは避けて作ったんです。


ーー曲としてはどの辺りからできはじめていったんですか?


ケンモチ:アルバムには入っていない「松尾芭蕉」をプリウスさんのCM曲として作って、その流れでまずは「チャップリン」を作りました。それから「カメハメハ大王」や「アラジン」ができていった感じですね。最近は僕のトラックも新しくしていかないと、「これは前やりましたよね?」と言われることが多いんです(笑)。だから、音楽的には『ジパング』のタイミングでやれていなかったことや、アプローチの違うものを取り入れましたね。


コムアイ:いろんなの聴いてましたね。


ーーどんなものを聴いていたんですか?


ケンモチ:(DJ Diamondを流しながら)たとえば、こういうジュークっぽいものとか。あと、通年聴いていたのはClap! Clap!とかですね。


コムアイ: Clap! Clap!参考にしているの結構多い、(頭の斜め上を指しながら)ずっとこの辺にある感じで。


ケンモチ:歌が乗っていないからありがたいよね(笑)。


コムアイ:似ようと思っても似せられないから、思い切り参考にできる(笑)。今に限ったことではないですけど、ケンモチさんって本当に掘るパワーがすごいんですよ。


ケンモチ:一応、コムアイが気に入りそうなものの中で「これはもうやったな」「これはすでにいるアーティストっぽくなるな」と、予想しながら掘っているんですけどね。


ーー今回は、「坂本龍馬」「オニャンコポン」などでサンプリングを大胆に使っているのも印象的でした。


ケンモチ:コムアイが「自分の声が鳴り続けているとアルバムに起伏がなくなっちゃう」と言っていたんですよね。だから、ボーカル・グループにメンバーの歌い分けがあるように、コムアイ以外の声を入れて新鮮さを保とうと思ったんです。


ーーその結果、以前よりも楽曲に詰まった情報量がさらに増えています。


コムアイ:制作中、(曲の情報量を)減らそうという話が全然出なくて……。私も出来上がったものを聴いて「情報過多だなぁ」と思っていたんです(笑)。今回は1曲ずつ完成させるように作ったんですけど、本当は(情報量が)「80」の曲と「130」の曲の間に、「20」の曲があった方が流れとしてはいいじゃないですか。でも、通して聴いてみると「80」以上の曲ばっかりで(笑)。それで1曲、「20」みたいな曲も作ろうとしたんですよ。


ケンモチ:でも、スケジュール的に間に合わなかった!


ーー(笑)。また、歌詞の面でも情報量満載という感じですね。一休さんがキットカットを食べていたり、チャップリンが料理番組に出演していたり、カメハメハ大王が職質を受けていたり、DJスサノオの選曲で天照大神(あまてらすおおみかみ)とアマノウズメが「アガって↑」いたり……。


ケンモチ:今回はよりふざけようと意識した感じはします(笑)。


コムアイ:とはいえ「坂本龍馬」は名言(「日本を今一度せんたくいたし申候。」)からはじまる素直スタイル(笑)。


ーー(笑)。龍馬の偽名の「才谷梅太郎」が登場するのも面白かったです。


ケンモチ:気づきましたか? あと、自分が印象に残っているところだと「アラジン」のド頭の「アラジンコンパウンド(コンパウンド=研磨剤。アラジンが魔法のランプをこする動作にかけている)」は、自分で作っていても「この言葉以外ハマらないな」と。この間、爆笑問題の太田光さんが、「俺だって新しい音楽を聴くよ。水曜日のカンパネラとか。『♪アラジン~』」と歌っていたんですけど、やっぱりその部分を覚えてくださっていたんですよ。


コムアイ:私は「アマノウズメ」の〈朝帰り/アマノウズメ/タクシーを待つ〉ですかね。ぼーっと待ってる感じが浮かぶし、「タクシーを待つ」という普通の歌詞が上手くハマったと思うんです。あと、「世阿弥」は「のうのう」とか「ひょうひょう」とか、音と歌がぴったりハマった曲。カンパネラの曲はデモ段階でケンモチさんが作ったガイドのメロディが入っているんですけど、それを自分の脳裏に焼き付かない程度に聞いて、トラック自体を信頼してどう歌うのか構築し直しました。それって当たり前のことだと思うんですけど、これまでやっていなかったんですよ。写真撮影もそうですけど、私はショートケーキのイチゴみたいに、色んな現場で他の人が用意してくれたものに(仕上げとして)最後に乗ることが多くて。だから、もっと上手く乗れる存在になりたいと思うようになってきたんです。それで今回は、ケンモチさんたちが用意してくれたことを上手く表現することに徹しました。


ケンモチ:今回はどの曲も、コムアイ自身のこだわりの歌い方が出てきた感じはしますね。


ーー「チャップリン」の歌い方もかなり面白いです。


ケンモチ:最初にできた曲が「チャップリン」だったんで、みんな結構困惑したんですよ(笑)。また変な曲から出来ちゃったなぁって。


コムアイ:でも、私も最初の方にできた曲の中では一番気に入っている曲ですね。


ケンモチ:それとは対照的に、最後の方にできたのが「一休さん」「世阿弥」「アマノウズメ」。「坂本龍馬」も結構遅かったかな。


・「「やりたいライブ像」に引き込むことができはじめている」(コムアイ)


ーーアルバムの曲順はどんな風に考えました?


コムアイ:最後まで悩みました。締め切りを過ぎて、次の日の昼間にライブ会場で「どっちだ……?」って悩んだりもして。序盤は「アラジン」で最初にバーン! と玉が割れるイメージで、その後「坂本龍馬」でちょっと落ち着きながらも進んでいって、「一休さん」でストンと肩の力が抜けて、「オニャンコポン」みたいなドープな曲が出てくる感じというか。


ーー「オニャンコポン」は古代ガーナの創造神の名前だそうですが、曲の中では猫や猫カフェと繋げて歌われています。よく見つけましたね(笑)。


コムアイ:苦肉の策だったんですよ(笑)。今回は世界の文化人を集めるというテーマだったので、6曲できたときに、世界地図の上にピンを差していったんです。そうしたら「やばい、全然アフリカがない」という話になって。ニャホ・ニャホ=タマクロー(ガーナの元サッカー協会会長で政治家)はいますけど……なかなか合う人が見つからなくて悩みました。


ケンモチ:しかも、ニャホ・ニャホ=タマクローはすでに曲があるんですよね。


コムアイ:それでモッタイナイの人(日本の価値観=モッタイナイに共感したケニアの女性環境保護活動家、ワンガリ・マータイ)にしようかとも迷ったんでんすけど、決め手がなくて。そんなときに「アフリカ/神様」で検索したら、検索結果の一番上に出てきたのが「オニャンコポン」だったんです。「これだ!」と思ってリンクを開く前に「ケンモチさん、これで行きましょう」って伝えたら、「えっ、いいの?」って(笑)。


ーー(笑)。アルバムが「アマノウズメ」で終わるというのも重要だったんじゃないですか?


ケンモチ:いわゆる湾岸のウォーターフロントにあった芝浦GOLDとかジュリアナ東京に、天照大神(あまてらすおおみかみ)が引きこもっていて、アマノウズメが踊りを踊ってその岩戸から引き出すという曲なんですけど、ディスコで大神を見つけて、最後は朝帰りをしてタクシーを待つという(笑)。この曲には「ただいま」という感じもあるし、また朝がくるというニュアンスもあると思うんです。アルバムの終わりを完全に告げるわけではなくて、ここからまたはじまる、というニュアンスで。


コムアイ:全部の曲を包括できる別ポジションの曲ですよね。他の曲がズンズンいっている中で、この曲はちょっと引いているというか。私の歌も、曲の中のアマノウズメのキャラクターも、自分の人生じゃなくて人の人生をサポートする感じになっていると思うんです。


ーーなるほど。それが最初のアルバム・タイトルの話と繋がってくるわけですね。


コムアイ:そうです。あと、最後の一番しんどいときにできた「一休さん」が、いつもみんなにトンチ(=アイデア)を求められるケンモチさんの姿と重なって、ケンモチさん自身が「たまにはみんなに『ありがとう』って言われたい」と言っているように聞こえたりして。後で聞いたら、ケンモチさんは全然意識していなかったらしいんですけどね(笑)。


ケンモチ:(笑)。この曲も一休さん自身の歌ではなくて、いつも傍から見ていて「あいつは凄いよな」と言っている人の歌なんですよね。


ーーそれにしても、メジャー・デビュー以降はライブの規模が大きくなったり、フェス出演が増えたり、コムアイさんが地上波のTV番組に出たりと、やれることがかなり広がってきていますよね。


コムアイ:機会はいっぱいもらえているので、もうちょっと頑張りたいんですけどね。ライブに関して言うと、どんなに演出を考えても、お客さんって結局は「この人ってどういう人なの?」というところを見てくれるじゃないですか。特にカンパネラの場合、ライブでは「女がひとりで歌ってる」ので、そう見られやすいと思うんですよ。それで、私はどこに行っても、たとえばサンフランシスコのSXSWでライブをしたときもそれを感じたんです。ライブではカラオケで歌っているだけなのを批判されると思っていたら、結局そうではなくて、「この人はどういうことがやりたいのか」を見てくれたというか。それに応えれば伝わるライブが出来ると思うんですよね。その力を今鍛えているところです。自分では、2016年のツアーを通して「やりたいライブ像」にみんなを引き込むことができはじめているんじゃないかな、と思えるようになってきているんです。音のうねりにみんなと一緒に巻き込まれて、自分がいる場所も分からなくなる、みたいな(笑)。ただ楽しくてしょうがない、そういうライブがしたいとずっと思ってきたんですよ。


ーーお客さんもコムアイさんもみんな一緒に楽しむイメージですね。


コムアイ:そうなるともはや演出もどうでもいいというか、みんなで音を追いかけていくような感じになる。私自身が遊びに行ってもそういうライブが一番好きだから、自分の現場でもそれをやりたいとずっと思ってきて、少しずつ理想像との距離が縮まってきているのかな、と思っているんですよ。


ーー水曜日のカンパネラのライブには色んな仕掛けが用意されていますが、今のコムアイさんは、それをさらに追究するのとはまた違うモードになっているということですか?


コムアイ:より「ちゃんと歌いたい」と思っているというか。仕掛けはもちろん今後もやりますけど、これまではどこかで「仕掛けを沢山用意しているから許してね」という気持ちがあったと思うんです。でも、そういうところに甘えない方が、仕掛け自体もより活きると思うし。今は曲によってどういう表情で、どう歌うかということを考えているんですよ。


・「誰も気づかなかったものを作れたら」(ケンモチ)


ーー3月には、キャリア初となる武道館での単独公演『八角宇宙』も控えていますね。


コムアイ:武道館に向けては演出も色々と考えていますけど、その使いどころを工夫して、歌を歌うときは全方向からその「歌」だけに視線が集まるようにしたいですね。でも、私ってもともと武道館自体には興味がないんですよ。


ーー以前話をきかせてもらったときには、オリンピックにも興味がないと言っていました。


コムアイ:へそ曲がりで本当に申し訳ない(笑)。でも、「ビートルズが(昔武道館で来日公演を)やったからって何? 私はロックをやってるわけじゃないし」みたいな(笑)。武道をやる場所としては興味があるんですけどね。そういえば、私は昔、武道館のアリーナでバイオリンを弾いたことがあるんです。私にとっての武道館は、むしろその思い出。昔バイオリンのスクールに通っていたとき、同じ教本を使っている3歳~15歳ぐらいの子たちが集まって、武道館でバイオリンを弾く演奏会があったんです。難しい曲から順番に弾くので最初は5人ぐらいからはじまるんですけど、曲が簡単になるにつれて人数が増えて、最後は1000人ぐらいの子供でアリーナが埋まるという……! ラストは、一番簡単な「きらきら星」をみんなで演奏するんです。今思い出しても結構ヤバいイベントだなぁと思うんですけど……。


ケンモチ:それは何の話なの(笑)。


コムアイ:(笑)。話を戻すと、武道館公演の『八角宇宙』というタイトルは、(日本古来の武道の成り立ちに関係する「東西南北」の方位を明確にするため、八角形に設計された)武道館の形から取っているんです。今回は図形とか立地を大事にしたい。どこの場所でライブをするときもそうですけど、私はその場所で昔何があったかを知るのが好きなんです。沖縄の鍾乳洞でライブをしたときも、貝塚的な感じでカニの甲羅が沢山でてきたという話を知ってすごく面白くて。何でも、昔その鍾乳洞で原始人がカニパーティーをしていたらしいんですよ(笑)。武道館も、そういう意味で面白い場所だと思い始めているところです。


ーーなるほど、当日が本当に楽しみですね。今の水曜日のカンパネラには様々なチャンネルがあると思いますが、2人が思うエンターテインメントとは、一体どういうものだと?


コムアイ:私にとっては「祝祭」ですね。「自分が前に出てみんなを盛り上げよう」「踊らせよう」というよりも、何か祝祭があって、「それを担当した人」ぐらいの立ち位置にいたい(笑)。みんなが楽しんでくれるなら、私自身のことはどうでもいいんです。


ケンモチ:僕は曲を作って届けるのが仕事ですけど、組み合わせの妙で、誰も気づかなかったものを作れたらいいなと思いますね。僕にとって水曜日のカンパネラは、その実験の場でもある。それを誰にも聴かれず部屋でやることもできますけど、水曜日のカンパネラではそれをみんなでシェアできますよね。僕はソロでも活動してきましたけど、「すごいもんができたな」と思っても、それがすぐに沢山の人に伝わることはなかったし、ライブも頻繁にはなかったから、お客さんからのレスポンスもあまり見えなくて。でも、今度の武道館や昨年末の『FNS歌謡祭』(フジテレビ系)もそうで、カンパネラでは僕が一生面と向かっては会わないかもしれない人たちにまで届けられて、レスポンスもすごく見える場で面白い実験ができる。そういう状況に、すごくやりがいを感じているところですね。


ーー結成当初と比べて、グループを取り巻く環境にはどんな変化を感じますか?


コムアイ:ひとつひとつに必死すぎて、まだ落ち着いて振り返れてはいないですけど、でもいつの間にか人に知られているんですよね。観てくれる方がいて、前提として共有できるものがあればそれを裏切ることもできるので、今の方が面白いことができることは感じています。昔は観てもらうことに必死で、表現に奇抜なものを入れる必要性を感じていたんですよ。でも今は、違う方法でも人を惹きつけることを考えられるようになったというか。


ケンモチ:今でもそうですけど、「カンパネラだけは絶対認めない」「これは音楽じゃない」という人が結成当初から沢山いたんです。でも、そういうコメントをしてくれていた人たちも、1カ月後に「でもこの曲は覚えてる」「CD買っちゃった」ってファンになってくれたりすることがあって。だから、気に入ってくれるにしてもそうでないにしても、僕らの存在を気にしてくれる、僕らに気付いてくれる人が増えているのが本当に嬉しいですね。コムアイも言いましたけど、最初は変なことをして人を振り向かせることに必死だったんで。


コムアイ:(手を振りながら)「こっちー!!!」ってね。事務所の社長も、私が「鹿の解体ができる」と言ったら、「一度捕まってみたら? 出所したアイドルとしてやっていくのも面白い」と冗談を言っていて(笑)。水曜日のカンパネラは、もともとそういう自由な環境ではじまったグループなんです。今思うと、それがすごくよかったのかもしれないですね。(取材・文=杉山仁)