2017年シーズンに向け移籍市場が活発化するVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカー。そのシリーズにあって、今季で開催5回目を迎える耐久イベント『パーテック・エンデューロ・カップ』を見据え、優勝請負人であるアレクサンダー・プレマがフォード陣営のDJRチーム・ペンスキーに移籍。こちらも今季移籍組の元チームメイト、スコット・マクローリンとタッグを組むこととなった。
VASCでは、シリーズ内でイベント名に『500』以上の名称が付く長距離レースのうち4戦(サンダウン500、バサースト1000、ゴールドコースト600のみ300kmを2ヒート)にのみ、耐久カップのポイントが授与されるのに向け、例年各陣営とも1台のマシンに2ドライバー体制の『助っ人』起用を行ってきた。
プレマは昨年の同カップにトリプルエイト・レースエンジニアリングのレッドブル・ホールデンからエントリー。シーズン総合優勝も果たしたシェーン-ヴァン・ギズバーゲン(SVG)とペアを組み、見事にカップ・タイトルを獲得している。
それ以前の2013年にはフルシーズン・エントリーのドライバーとしてギャリー・ロジャース・モータースポーツ(GRM)に在籍。その際のチームメイトがルーキーのマクローリンだった。さらに翌年以降はレギュラーから離れたものの、2年連続で耐久カップに向けGRMでマクローリンとのタッグも経験している。
「F1で言うならフェラーリに匹敵する、この伝説的な名称のチームに加入できて光栄だ。スコット・マクローリンとまた組めることにも興奮しているよ」と、プレマ。
「僕らはチームメイト時代にとても深い友情を育んだし、お互いともに働き、強いパートナーとして戦えることを楽しみにしている」
「昨年、久しぶりに(カップドライバーとして)スーパーカーに戻ったとき、多くの人は僕のパフォーマンスを不安視したはずだが、結果はご覧のとおりだ。今年のカップタイトルも家に持ち帰って飾っておくつもりだよ」
一方のマクローリンも、プレマとの"リ・ユナイト"を大歓迎する、と語った。
「アレックスは僕と一緒に2017年のカップを戦うのにふさわしい、絶対的にナンバー1のドライバーであり最高の選択肢だ」と、マクローリン。
プレマのレッドブル・レーシング・オーストラリアからDJRペンスキーへの移籍は、シーズンの勢力図に大きな影響をもたらす可能性があり、同時に今季はトリプルエイト・レースエンジニアリングで17年間もトップエンジニアを務めたルード・ラクロアも、DJRチーム・ペンスキーへの移籍を決めている。
マクローリン、プレマともに現行のCOTF(カー・オブ・ザ・フューチャー)規定のホールデン、ボルボ、そしてフォードを知る数少ないドライバーでもあり、同時にホールデンでチャンピオンマシンを作り上げたラクロアのノウハウがフォード・ファルコンに注がれれば、タイトル争いの行方も興味深いものとなりそうだ。
チームはこの後、2月7日に2017年向けのラウンチを開催予定で、レギュラーは既報のとおりスコット・マクローリンと残留組のファビアン・クルサードが務める。メインスポンサーは昨年に引き続きシェルとなり、チーム名もシェル・Vパワー・レーシングチームになるとみられる。