子どもが学校に入れば必然的にPTAに入る――。これまで常識とされてきたことに異論を唱える人が出始めた。1月27日、小学校の入学説明会に参加した保護者が、はてな匿名ダイアリーに「小学校やばいPTAやばい」という記事を投稿した。
「PTAってなに?あんたも加入すんですよみたいな顔してるけど親と先生のサークルだよね」と不満を訴える。規約も金額も明示されず、詳細が分からないものには入れないと非加入届を出したところ、
「あんたの子供にプリント配られないからイベント参加できないから卒業式に紅白饅頭配られないからとか言い出すんです」
と言われたそうだ。投稿者は、こう言い放つ。
「会員の子供、非会員の子供で差別するサークル、それがPTA。やばい。」
さらに、噂に聞いたPTAの活動内容が苦労のわりに効果が薄い、効率が悪いなどと指摘し、「PDF化してウェブでチェックしろおお…」などと雄叫びをあげている。(文:okei)
本来ならば加入は任意なのに知らない人が多い現状
筆者も幼稚園や小学校で役員を務めた経験があるので、強制参加やアナログなやり方に苛立つ気持ちはよく分かる。これに共感する人は多く、はてなブックマークは1400に上り、
「専業主婦がいる前提だからかなりきつい。部活の顧問の先生も含めて廃止してほしい」
など、多くのコメントが寄せられた。
ほとんどが共働き世帯である現在、平日の昼間に動くことが多いPTAの仕事に対する負担感は増している。「専業主婦が多かった時代のまま」という意見もあるが、子どもの安全を守る等の観点から、昔よりもやることは増えている。また、専業主婦でも暇なわけではない。介護など様々な理由があって働けないケースもあるのに、役員を押し付けられて困るという人は少なくない。
学校によって仕組みは異なるが、基本的には全員参加し、何かしらの役員をやらなくてはならないのが通例だ。法律的に加入は任意だが、それを周知することはないし、役員自身もそれを知らない人が多い。知っていたところで、とりあえず入っておく方がいいと考える人の方が、今はまだ多いだろう。
「何年か我慢すりゃ終わると思うからまったく改善されず」
毎年新学期の役員選出時期は、母親たちは戦々恐々になる。いざとなれば頑張る人もいれば、ただ言われたことを「こなす」だけの人、仕事でほとんど参加できない人も。どこかに不公平感や不満をモヤモヤさせながらも、「子どもが在学している数年間だけのこと」と割り切り、皆なんとかやり過ごす。はてなのコメントにこんな指摘があったが、的を射ている。
「何年か我慢すりゃ終わると思うからまったく改善されずに申し送りされていくだけの組織」
こうした流れに抵抗する人もいる。1月29日には、BuzzFeedの「#PTAやめたの私だ『入会しません』 ひとりの主婦の静かなる抵抗」という記事が大きな反響を呼んだ。小学校でのPTA活動に疑問を持った42歳の主婦(東京・会社員)が、子どもが中学に入るのをきっかけに、会員にならない旨を、学校とPTAに通知したという告白だ。
人と違うことをするのは勇気がいる。何も言わず任期をつとめてやり過ごすほうがラクであり、多くの人はそうしている。しかし、結局そのことがPTAという組織を形だけのお荷物団体にしてしまう恐れがある。この人はそこに一石を投じたかったのだろう。
「子どもが小学生になると意味のないタダ働きされる」と嘆く母親をなくすために
そんな風に消極的な人たちの集まりに、どんな意味があるのかと疑問を持つ人は多い。そもそも、PTAは先生と保護者が「在学する子ども全員」の教育環境をより良くするためのボランティア団体だ。卒業式に記念品が配られないなど、非会員の子どもを差別するのは根本から考え方が間違っている。
マイナス面ばかり挙げたが、実は筆者はPTAがまったく無駄とは思わない。人間関係が希薄になっている今だからこそ必要だと、活動を通して実感した面はある。ただ、時代に合わせて仕事を整理し無駄を減らし、アナログなやり方を改善することは必要だ。
改革が難しいとしても、せめて「PTAとは何か、どんな仕事をして、なんの意味があるのか」を毎年話し合い、加入は任意であることも含め、入学前にきちんと説明したほうがいい。今のままでは、「子どもが小学生になると、なんか知らんが意味のないタダ働きをさせられる」とネットに書き込む母親が減ることはない。
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