ルノーのエンジン部門を率いるレミ・タフィンが、2016年シーズンに投入したパワーユニットで残した成果の大きさは予想以上だったと語った。
2014年と15年は、ルノーにとって厳しい2年間だった。新たに導入したV6ターボハイブリッドシステムに、パフォーマンスや信頼性に関する多くの問題が生じてしまったのだ。
しかし、チームは開発投資を拡大し、16年シーズンには大幅に改善を果たしたパワーユニットを投入することができた。また、シーズン開幕戦でレッドブルのダニエル・リカルドが5位入賞し順調な滑り出しをみせた後も、シーズン中に重ねたアップデートでさらなる競争力アップを行ってきた。
ワークスチームとしてのルノーは、16年シーズンにフルコンストラクターとして復帰して以降苦戦を強いられたが、パワーユニットの供給先であるレッドブルは躍進し、2016年のコンストラクターズ選手権をメルセデスに次ぐ2位で終えた。
ルノーにとってはイタリアGPが行われた高速のモンツァ・サーキットがひとつのバロメーターとなった。ルノーのパワーユニット搭載マシンは予選、決勝のリザルト、さらに最高速においても上昇がみられる。
「この変化には少々驚いた。ただ、戦績としては、むしろ今が正常なので、本当は驚いてはいけないんだが」とタフィンは語った。
「我々は実際にパワーユニットを改良し、信頼性を高めた。我々の作業によって、最大のパフォーマンスを引き出したわけだ」
シーズン中のルノーにとって信頼性こそがアキレス腱であり、タフィンによれば、それを高められたからこそ、ファクトリーのあるビリー-シャティヨンのスタッフは、パフォーマンス向上に意識を向けられたのだと言う。
「信頼性が高まったことで、ファクトリーにいるスタッフたちは雑念を払い、クリエイティブに発想して、前進することができた。明日何が起きるのか予想するのではなく、もう少し長い目で物事を捉えるということだ」
「オフシーズンに計画を練り、それに従って行動しパフォーマンスの最大化を図る。2017年が楽しみだよ」
「まだやるべきことはある一方で、すでに強力な基礎は作れている」
タフィンはさらに、ファクトリーのスタッフたちのモチベーションがアップし、自信を取り戻しつつあると述べた。
「みんなで働くことをやめたことはないが、自信を取り戻してきた感じはする」とタフィン。
「“はい、パワーを強化します”と宣言し、トラックで実際に能力を発揮させ、その力を計測できたら、それで仕事は完成だ」
「それ以上“達成できるか?”といった質問は不要になる。それは励みになるし、我々はチーム全体で最大の成果を挙げるためにもそこへ向けて作業していくべきなのだ」
2015年-2016年イタリアGPにおけるルノー製パワーユニットの戦績
ルノー搭載各マシンのベスト・パフォーマンスを比較
■モンツァ・サーキットにおけるルノーPUの改善具合
予選
2015年 ルノー +2秒249
2016年 ルノー +1秒254
決勝
2015年 リカルド 8位 +1周
2016年 リカルド 5位 +45秒295
スピードトラップ
2015年
予選 - 340.9km/h ダニール・クビアト(-13.7km/h)
決勝 - 347.9km/h マックス・フェルスタッペン(-10.4km/h)
2016年
予選 - 352.2km/h ケビン・マグヌッセン(-5.4km/h)
決勝 -356.4km/h ダニエル・リカルド(-2.6km/h)