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山田尚子監督&早見沙織、映画『聲の形』舞台挨拶で日本アカデミー賞受賞を語る

2017年02月01日 22:02  リアルサウンド

リアルサウンド

【左から】早見沙織、山田尚子

 本日2月1日、新宿ピカデリーにて映画『聲の形』の大ヒット御礼舞台挨拶が行われ、山田尚子監督とヒロイン西宮硝子役の早見沙織が登壇した。


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 この舞台挨拶は、本作の第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞受賞を記念して行われたもの。映画の上映前、集まった観客からの大きな拍手に迎えられ登壇した2人。早見は、「またこうして、年が明けて2017年にも皆様の前でお話をすることができて嬉しく思います」と挨拶。山田監督は「お久しぶりです」と早見との再会を喜んだ。


 日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞してのいまの気持ちを聞かれた2人は、互いに「おめでとうございます」と声をかけ合いながらあまり実感がないことを告白し、「賞をいただいているんですよね?」と逆に聞き返す様子も。山田監督は「作品賞なので、みんなでいただいた賞。観客の皆様ももらっていることになると思います」と集まった観客に向けてコメント。山田監督は受賞の知らせを会社(京都アニメーション)で聞いたと言い、「松竹さんからいただいたメールを読んでもらったんですけど、作品名が全然出てこなくて、『まだ待て。違う作品かもしれない』と(笑)。京都アニメーションはもう1作品(『劇場版 響け!ユーフォニアム~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~』)あったので(笑)」と喜びそびれたことを明かした。


 9月17日の公開から約5ヶ月、舞台挨拶は今回が28回目だということを知らされた2人は驚いた様子を見せ、今回の舞台挨拶が14回目の登壇だという早見は、「こんなに舞台挨拶したことないです!」とコメント。すべての舞台挨拶に登壇している山田監督は「飛行機で北海道に行ってその日のうちに九州に行ったり、手話付きで挨拶をさせていただいたり、いろいろな経験をさせていただきました。でもすべて去年のことなんですよね。すごいなぁ」と感慨深そうに振り返った。


 ここで、石田将也役の入野自由から届いた手紙が紹介されることに。「早見さん、山田監督、本日は舞台挨拶に伺えず申し訳ありません。日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞受賞おめでとうございます。みんなが同じ方向を向いて、精一杯の情熱と愛情を注ぎ込んだ『聲の形』が作品賞受賞。作品に関わった全員に贈られた賞ですね。このひとつの結果がより多くの皆様に『聲の形』を知っていただく機会になれば、これ以上嬉しいことはございません。スタッフ、キャスト会場の皆様にもう一度おめでとうございます」と、手紙の内容が読み上げられると、会場は再び拍手に包まれる。早見が「入野さんとも『獲ったね! めでたいね』と話をしました」と語ると、10月ごろに行われた舞台挨拶以来入野とは会っていないという山田監督は「お元気なんですよね?」と早見に語りかけ、微笑ましい様子を見せた。


 早見は「1日半ぐらいで録ったんですが、すごく濃密な現場でした。とても結びつきが強かったです」と改めて現場を振り返ると、山田監督は「早見さんと植野役の金子(有希)さん、(石田美也子役・ゆきの)さつきさんとかとはご一緒したことが会ったんですけど、ほとんどが初めての方だったんです。私は皆さんに対してすごくフラットにいったんですが、皆さんもフラットにきてくださったので、すごく楽しかったです。入野さんの手紙にあったように、みんなが同じ方向を向いてできたというのはまさにそうだと思いました」と話した。


 「2人にとって『聲の形』がどのような作品になったか」と質問が投げかけられると、早見は「一言で表すのは難しいですよね。観てくださる方々それぞれの形があって、それが違うのがまた面白いのかなと感じました。一人ひとり、言葉にはできないけど、何か大事なものをもらったんじゃないかなと思える作品です」と回答。山田監督は原作の素晴らしさに触れながら、「人生をかけて制作にあたった作品でした。その気持ちもすごく乗っているし、素晴らしい出会いもたくさんありました。早見さんも含め『聲の形』を作ったスタッフみんなとの出会いが本当に素晴らしかった。とても大事な作品です」と力強く語った。


 また、会場では本作のBlu-ray&DVDが5月17日にリリースされることも発表された。Blu-rayの初回限定版には、キャラクターデザインを担当した西屋太志描き下ろしの特製ケースとスペシャルブックレットが特典として封入され、映像特典として、「映画『聲の形』公開記念特番 ~映画『聲の形』ができるまで~ ロングバージョン」や舞台挨拶映像、ロングPVなどが収録される。


 最後に、早見は「こんなに時間が経ってもこれだけ多くの皆様と『聲の形』を共有できるのはすごく嬉しいですし、やっぱり作品の持つパワーあってこそかなと思います。これからもこの作品を胸において、今年1年も過ごしていただければ嬉しいです」と感謝の気持ちを述べた。山田監督はもうちょっと喋りたい様子を見せながら、「『聲の形』は、観た方の希望の光を少しでも灯すことができればと思い、スタッフ一同、心を込めて、愛を込めて、人生を込めて作った作品です。初めて観ていただく方の希望の光を灯すことができればと。これからも幸せな体験をしていただければと思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします」と語り、盛大な拍手とともに会場を後にした。(宮川翔)