ヤマハは、マレーシア・セパンサーキットで行われているMotoGPオフィシャルテストで、2016年限りで禁止されたウイングレットに代わる新設計のカウルをテストした。
ウイングレットは15年からドゥカティのファクトリーチームが実戦投入をはじめると、16年にはすべてのマニュファクチャラーが投入した空力デバイス。
しかし、安全性を懸念する声が多方面から浮上したことで、FIMは17年からはウイングレットを禁止する決定を下している。
そのため、各陣営はウイングレットが生み出していたダウンフォースを取り戻すべく、さまざまな策を講じると予想されており、ヤマハは先陣を切って、対策案を披露した。
ヤマハはセパンテスト2日目、フロンカウル下部に大きめのバルジを持たせ、その中にウイングレットを装着したマシンを走行させた。ドライブしたのはバレンティーノ・ロッシとマーベリック・ビニャーレスのふたりだ。
また、テストライダーである野左根航汰もテスト初日の午後に、この新型カウルをテストしたという。
ヤマハのレーシングディレクターであるマッシモ・メレガリは「我々が何をテストしているかは一切教えることはできないが、やっていることは確認と比較だ。だからふたりのライダーから情報を得たいと思っている」とコメントしている。
ウイングレットの開発をリードしてきたドゥカティも、セパンでは、サイドに小さな穴をあけた新しいカウルをテストした。しかし、ドゥカティは3月下旬の開幕戦カタールGPまで、完成形の17年仕様カウルを投入することはないと予想されている。
なお、こうしたウイングレットに代わるデバイスの開発競争を防ぐため、新規参戦となるKTM以外のマニュファクチャラーは、フェアリングの使用許可数に制限が設けられる見込み。この判断はMotoGPのテクニカルディレクター、ダニー・アルドリッジの“独断”で下されたとされている。