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ヨーロピアンF3:チーム間格差縮小を目的にレギュレーションの大改訂を敢行。17年は激戦必至か

2017年01月31日 20:12  AUTOSPORT web

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シューマッハーの長男や日本の牧野の参戦が決まり注目度が集まるヨーロピアンF3
ヨーロピアンF3を運営するFIAは、コスト削減とパフォーマンス格差の是正を主目的とした大幅なレギュレーション変更を2017年シーズンより敢行する。

 今回改定された項目は、エントリーフィー減額などのコスト削減策に加え、主催者によるエンジンのランダムな割り当て、チーム間のデータ共有の義務付けなどから、ドライバーの年齢制限にいたるまで多岐にわたる。

■エンジンのランダムな割り当て、走行データの共有など、より公平で接近した争いを演出

 この施策は2017年から導入される新レギュレーションの項目のひとつであり、特定のチームがエンジンを供給するメーカーから特別な恩恵を受けているとの疑惑を払拭するため、制定されたものとみられている。

 FIA選出の技術責任者が、エンジンの初回使用前、同じメーカーからエンジン供給を受ける各チームへ無作為にエンジンを割り当てるというもので、レギュレーションのさらなる詳細はシーズン開幕前に改めて各チーム宛へ通知されるという。

 加えて、2013年のF1でも問題となったエンジンマッピングに関する規制を強化し、同じメーカーのエンジンを使用するチーム間で、公平かつレギュレーションに沿ったエンジンマッピングが行われていることを、FIAが調査する。

 また、チーム間のパフォーマンス格差を是正するため、参加チームに対し、1回目の予選後にスロットル開度とブレーキ、速度に関するデータの開示を義務付け、全チームで共有することとなった。

 さらに、上位2チームのドライバーが最速タイムを記録した際の走行データを、すべてのチームとドライバーが自由に活用できるという施策も導入予定だ。

 チーム間の格差を是正する施策はこれだけではない。ヨーロピアンF3では、合同テストとチームのプライベートテストの機会がそれぞれ6度与えられているが、いくつかのチームがアドバンテージを得るため、フォーミュラ・ルノーなどのマシンを用い、規定の回数にカウントされることのない、レギュレーションのグレーゾーンを突くようなテストを行っていたことが問題視されていた。

 これを受けFIAは、2016年12月18日以降、レースが開催されるサーキットでのプライベートテストを一切禁止するという旨を各チームに通達している。

■風洞実験の禁止、参戦費用の減額などを実施し参加台数増加を目指す

 また、2017年シーズン用にダラーラが開発した空力のアップデートキット導入を機に、チームによる風洞実験を禁止しコスト削減を図るとともに、資金力豊富なチームが独自の空力パーツを投入することを抑制する。

 加えて、エンジンのリース費用が従来の3分の1に削減され、エントリーフィーも大幅に減額されるうえ、2016年に導入された、ルーキードライバーに付与される賞金の増額を予定している。さらに、レース週末に帯同するチームスタッフの人数と、トランスポーターの台数も制限される予定だ。

 また、参加ドライバーは25歳以下に限るという年齢制限も新たに加えられ、出場可能な年数は最大で4シーズンまでに延長された(従来は3シーズン)。

 ヨーロピアンF3にエントリーするチームは31日、FIAとのミーティングを行い、参加台数の確保に苦労しているシリーズの今後について、改めて議論を行う予定だ。